元栓側に付けた設備は建物の設備です。入居者さまの持ち物ではないので、退去のやりとりに出てきません。
各戸に配ったシャワーヘッドは戸ごとの備品になります。退去のたびに、あるかどうかを点検することになります。
設備を後付けしたあと、退去のときに誰のものとして扱われるのかを知りたいオーナーさま向けに、付けた人ごとの扱いと、契約書での書き方を整理しました。
入居者さまが付けたものと、オーナーさまが付けたもの
シャワーヘッドの原状回復を扱った記事は、ほとんどが入居者さま向けです。「自分で交換していいのか」「退去のときに元に戻すのか」という話です。
オーナーさま側が設置した設備をどう扱うかは、そこには書かれていません。ですが、こちらのほうが判断の影響が長く続きます。付けた人と、付けた場所で、扱いが変わります。
線は「戸の中か、戸の外か」で引かれる
戸の中にある器具は、入居者さまが触れます。触れるものは、外されることも、替えられることもあります。
戸の外、つまり元栓や水道メーターの周りにあるものは、入居者さまが触れません。触れないので、退去のときに状態を確かめる相手がいません。ここが実務上の大きな違いです。
| 付けた人 | もの | 退去のときの扱い |
|---|---|---|
| 入居者さまがご自分で | シャワーヘッド、浄水器、シャワーホース | 元に戻して退去するのが原則。外した純正品を保管していないと、そこが話し合いになる |
| オーナーさまが各戸に配った | シャワーヘッド | 戸ごとの備品。台帳に載る。無くなっていれば補充する |
| オーナーさまが元栓に付けた | 元栓一体型の給水設備 | 建物の設備。入退去のやりとりに出てこない |
| オーナーさまが交換した | 水栓、ユニットバス、給湯器 | 建物の設備。経年での交換はオーナーさま負担 |
出典:自社の施工と提案の実務からの整理(2026-09-26 時点)
元栓側の設備は建物の設備になる
元栓一体型の給水設備は、建物に入ってくる給水管に割り込ませるものです。給湯器や受水槽と同じ位置づけで、建物の付属設備として扱われます。
入居者さまの入退去に関係しない
退去の立ち会いで確認するのは、お部屋の中の状態です。元栓の設備はそこに含まれません。入居者さまに説明する必要も、返してもらう必要もありません。
設備管理台帳に載るのは1台です。戸数が増えても行数は増えません。修繕計画に載せるときも1行で、更新の時期を戸ごとにずらして管理する手間が出ません。
保証は建物に付いてまわる
保証は計10年(メーカー2年+当社の延長8年)で、建物に付いてまわります。入居者の入退去とは関係がないので、原状回復の話に巻き込まれません。
この10年のあいだに入居者さまは何度か入れ替わります。保証は建物の設備に付いているので、入れ替わりの影響を受けません。物件を売却する場合も、建物の設備としてそのまま引き継がれます。
シャワーヘッドを配った場合に起きること
各戸に配ったものは、戸ごとの備品になります。備品は、退去のたびに確認する対象です。
紛失・持ち去り・自己交換
退去後の点検で無くなっていることがあります。悪意があるとは限りません。入居者さまが気に入って持って行った、引っ越しの荷物に混ざった、途中でご自分の好きなものに替えて元のものを捨てた。理由はさまざまです。
どの理由でも、次の募集までに補充することになります。1個の単価に、想定する紛失の割合と戸数を掛けた額が、毎年かかる費用として乗ります。ご自身の戸数と入れ替わりの頻度で計算してみてください。
備品にすると、原状回復の話し合いが1つ増える
備品として台帳に載せた以上、無くなっていれば請求するかどうかの判断が必要になります。金額が小さいだけに、請求するほうが割に合わないことも起こります。
そのうえ、外した純正のシャワーヘッドの保管も入居者さま任せになります。配った設備と純正品の両方が行方不明、という状態が退去のたびに起こりえます。元栓側の設備では、この話し合いが最初から発生しません。
契約書と重要事項説明での書き方
元栓側の設備は建物の設備なので、契約書で特別に書く必要はありません。書くとしたら、募集のときに伝えるための一文です。
各戸に配る場合は、備品として書き分けておくと退去時のやりとりが短くなります。下の表は書き分けの例です。実際の文言は、管理会社さまと契約書の様式に合わせて決めてください。
| 書く場所 | 元栓に1台つけた場合 | 各戸にシャワーヘッドを配った場合 |
|---|---|---|
| 契約書の設備欄 | 書かなくてよい(建物の給水設備) | 備品として品名と数量を書く |
| 重要事項説明 | 給水設備の説明として触れる程度 | 貸与する備品として明記する |
| 退去時の精算 | 対象外 | 有無を確認し、紛失時の扱いを決めておく |
| 募集図面・ポータルの備考 | 建物の給水設備として1行書く | 室内の設備として1行書く |
| 設備管理台帳 | 1行(戸数が増えても1行) | 戸数ぶんの行 |
出典:自社の提案の実務からの整理(2026-09-26 時点)
退去の立ち会いで、水回りのどこを見るか
原状回復の見積もりで、水回りから上がってくる項目はだいたい決まっています。設備を入れる前に、この項目を記録しておくと、あとで比べられます。
- 浴室:床の排水口、目地、鏡の水の跡
- 台所:シンクの排水口、排水トラップ、蛇口の根元
- 洗面:排水口、ボウルの縁、洗濯機の排水ホースの周り
- トイレ:便器の内側の輪、タンクの中
- 共用部:受水槽の周り、屋外の散水栓
もう少し詳しく:記録の取り方
同じ間取りの部屋で、水回りの項目だけを抜き出して並べてください。設備を入れる前の2部屋と、入れたあとの2部屋があれば、比べる材料になります。
ここで出る差は、清掃のしやすさから来ています。汚れが離れやすくなると、こすらずに落ちる範囲が広がります。その結果として、見積もりに上がる項目が減り、立ち会いでの話し合いが短くなることにつながります。
よくあるご質問
オーナーが後付けした設備は、退去のときに原状回復の対象になりますか
元栓側に付けた設備は建物の設備なので、対象になりません。各戸に配ったシャワーヘッドは戸ごとの備品になるため、有無の確認の対象になります。
入居者が勝手にシャワーヘッドを交換していました。どうなりますか
元に戻して退去するのが原則です。外した純正品を保管していない場合は、そこが話し合いになります。元栓側の設備であれば、この話し合いは発生しません。
元栓に付けた設備は、物件を売るときどうなりますか
建物の付属設備として引き継がれます。保証も建物の設備に付いているので、そのまま続きます。
契約書に何か書き足す必要はありますか
元栓側の設備なら、契約書に特別な記載は要りません。各戸に配る場合は、貸与する備品として品名と数量を書いておくと、退去時の確認が早くなります。
設備を入れたことを入居者に説明する必要はありますか
使い方の説明は要りません。付け替えも操作もないためです。募集図面やポータルの備考に、建物の給水設備として1行書いておく形で足ります。
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