この記事の結論
設備が募集期間の短縮に役立つのは、内見に来た方が2件、3件を見比べて1件に決める場面です。家賃・写真・掲載の仕方に問題がなく候補に残っている物件なら、「全戸の水を元栓型の設備で変えている」といった、ほかの物件にない1行が決め手になります。
試算の例では、家賃100,000円・10戸・年間の退去2戸で、募集期間が1回あたり0.5か月短くなると年100,000円です。元栓直下に付ける20Aの設備(本体と工事費で400,000〜430,000円)なら約4.0〜4.3年で回収できる計算で、家賃と戸数を自分の建物の数字に替えれば同じ式で確かめられます。
募集期間が伸びていて、設備で手を打つかどうかを決めたいオーナーさま向けに、短縮の効果を金額に直す手順と、ほかの差別化設備との比べ方をまとめました。
募集期間は、3つに分けて見ます
「空室期間が長い」とまとめてしまうと、打つ手が選べません。期間は3つに分かれていて、それぞれ有効な手が違います。
1つ目は、掲載してから問い合わせが来るまでの段階です。ここは家賃、写真、掲載しているポータルサイトの数の仕事です。2つ目は、問い合わせから内見までの歩留まり。ここは対応の速さと、部屋の情報量です。
3つ目が、内見から申し込みまでです。同時に2件、3件を見比べている方が、どちらを選ぶかを決める段階です。設備が役に立つのはここで、ほかの物件と並べられたときに、決め手として残るかどうかの話になります。
設備を導入する前に、1つ目と2つ目に問題がないかを確かめます。家賃が相場から離れている状態で設備を足しても、期間は変わりません。
家賃100,000円の部屋で、数字を置いてみる
築15年、10戸、家賃はどの部屋も100,000円という建物を想定します。年間の退去が2戸あるとして、募集期間が短くなったときの金額を計算してみます。
この置き方だと、20Aを1台の総額430,000円を年間100,000円で割って約4.3年です。工事費が下限に収まって総額400,000円なら約4.0年になります。
| 置く数字 | 額 |
|---|---|
| 家賃(1戸・月) | 100,000円 |
| 空室1か月あたりの機会損失(1戸) | 100,000円 |
| 年間の退去 | 2戸 |
| 募集期間が1回あたり0.5か月短くなったときの年間 | 100,000円 |
| 20Aを1台導入するときの総額(本体+工事費) | 400,000〜430,000円 |
| 10戸で割った1戸あたり | 40,000〜43,000円 |
| 総額を、1年に短縮できる金額で割ると | 約4.3年(430,000円 ÷ 100,000円) |
この表は計算の例です。ご自身の数字を入れて確かめてください。
もう少し詳しく:この置き方のどこを自分の数字に替えるか
替えるのは4か所です。家賃、戸数、年間の退去の件数、そして募集期間が何か月短くなると見るか。最後の1つは読めない数字なので、0.3か月、0.5か月、1か月と3通り置いて、いちばん小さい数字でも判断できるかを見ます。
設備の側の数字は変わりません。20Aなら総額400,000〜430,000円、25Aなら600,000円(メーカー希望小売価格850,000円)に工事費を足した額で、戸数が増えても台数は1台のままです。変わるのは家賃と戸数の側だけなので、計算は簡単です。
戸数で割ると、桁が変わります
元栓型の設備は、建物への引き込み1系統につき1台です。戸数が増えても台数は増えません。だから1戸あたりの金額は、戸数で割った額になります。
10戸で20Aなら1戸あたり40,000〜43,000円。20戸なら20,000〜21,500円。32戸で40Aを1台なら、本体2,500,000円に工事費150,000円を足して1戸あたり約82,800円です。口径が上がっても、戸数で割れば桁は近いところに収まります。
各戸に器具を配る方式では、戸数ぶんの台数が必要です。退去のたびに残っているかを確かめ、無くなっていれば補充します。戸数が増えても、1戸あたりの負担は下がりません。
くわしいご案内賃貸の設備投資は何年で回収できるか|水回りの設備で計算してみる
ほかの差別化設備と、同じ項目で比べる
設備を比べるときは、価格に加えて、導入後の運用の手間で比べます。導入後に手が掛かるかどうかは、5年、10年と続けるうちに差になります。
| 項目 | 元栓型1台の水の設備 | 各戸に配る器具 | 共用部に置く設備 |
|---|---|---|---|
| 対象になる範囲 | 元栓を通る水すべて | 取り付けた場所だけ | 共用部だけ |
| 台数の増え方 | 戸数が増えても1台 | 戸数ぶん | 1台から数台 |
| 入居者の手間 | なし | 取り付けと交換 | 使い方の周知 |
| 紛失・持ち去り | 起きない | 退去のたびに確認が要る | 起きにくい |
| 交換と更新 | 消耗品なし | 器具ごとに交換 | 機器の更新が要る |
| 専有部の工事 | 不要 | 各戸に入る | 不要 |
| 募集図面への書き方 | 全戸に共通の設備として書ける | 設置した部屋だけ | 建物の設備として書ける |
短くなるのは、どの部分の期間か
内見に来た方がまず比べるのは、間取りと家賃と駅距離です。そこが近い2件で迷ったときに、設備の欄を見比べます。ほかの物件にない設備が1つ書いてあると、印象に残りやすくなります。
全戸が対象であることも役に立ちます。どの部屋を案内しても同じ説明ができるので、案内する側が迷いません。1階の部屋だけ、角部屋だけといった説明の分岐が要りません。
相場から離れた家賃、写真の質、ポータルサイトの掲載の仕方は、設備では変わりません。ここは募集の側の仕事として分けて考えます。
設備の前に整えておくこと
次の4つに当たっているときは、設備より先に手を付けるところがあります。
- 家賃が周辺の相場から離れている。比べる前の段階で候補から外れています
- 空室の理由が駅距離や間取りにある。設備では変わりません
- 募集図面とポータルサイトに設備の行を書いていない。導入しても入居希望者に伝わりません
- 仲介の担当者に説明していない。内見の場で話すのは仲介の担当者です
費用と工事
10戸の試算で使った20Aは、UFB DUAL® の当社販売価格で350,000円(メーカー希望小売価格498,000円)です。建物の引き込みが25Aなら総額650,000〜680,000円、40Aなら2,650,000円(いずれも税抜)です。工事費は、水道メーターの周りの仕上げで50,000〜80,000円、40A・50Aなら150,000円程度を見込みます(税抜)。
満室のままでも工事は進められます。作業は3時間から半日で、直結給水の建物では接着剤が固まるまでの1〜2時間だけ断水し、受水槽のある建物では各戸の断水がありません。
試算に入れる費用はこの2つだけで、あとから毎年かかるものはありません。お見積もりは製品代と工事代を分けて出し、その金額を超えて請求することはありません。保証は計10年(メーカー2年、筆頭正規特約店 株式会社ライヴスの延長8年)です。
口径ごとの価格と工事費は、一棟まるごとの導入費用の記事にまとめています。
よくあるご質問
空室期間は、どのくらい短くなりますか
10戸・家賃100,000円・年間の退去2戸で、募集期間が1回あたり0.5か月短くなるなら年100,000円です。20Aを1台の総額430,000円をこれで割ると約4.3年になります。内見から申し込みまでの段階が短くなります。短くなる月数は建物ごとに変わるので、0.3か月・0.5か月・1か月の3通りを置いて、いちばん小さい数字でも判断できるかを見てください。
1戸あたりいくらになりますか
総額を戸数で割った額です。10戸で20Aなら40,000〜43,000円、20戸なら20,000〜21,500円、32戸で40Aを1台なら約82,800円です。台数は戸数では増えないので、戸数が多いほど1戸あたりは下がります。
募集図面には何と書けますか
設備の欄に「全戸ウルトラファインバブル」と書けます。専有部の工事が要らず、元栓を通る水すべてが対象なので、部屋を選ばず全戸と書けます。仲介の担当者にも、この一行を渡しておきます。
満室のままでも工事はできますか
できます。作業は水道メーターの周りだけで、各戸への立ち入りはありません。断水は1〜2時間で、受水槽のある建物では各戸の断水もありません。
家賃を上げる材料になりますか
家賃を上げる材料より、家賃を下げずに募集を続ける材料として使うほうが合っています。戸数で割ると1戸あたりの金額が小さくなる設備なので、値下げを1回見送れれば、費用に見合う計算になりやすくなります。
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