この記事の結論
共用部の配管の詰まりやにおい、経年劣化による漏水、給湯器の故障はオーナーさまの負担、専有部の排水口に髪の毛や油を流したことによる詰まりは入居者さまの負担が基本です。判断は、起きた場所が共用部か専有部か、原因が経年劣化か使い方か、の2点で行います。
オーナーさまの負担になるもののうち、共用の配管に汚れがたまって起きる詰まりやにおいは、元栓直下に付けて汚れの付着力を弱める水の設備で起きにくくできます。詰まり・におい・汚れの付着によるクレームを抑えられるので、まずは過去1年のクレームを原因別に数えてみてください。
水回りの連絡が来たときに、費用をどちらが持つのかで迷わないために、原因別の対応表と、設備で抑えられる範囲を整理しました。
費用の負担を決めるのは2つ
迷うのは、原因が複数あるように見えるときです。見る順番を決めておけば早く決まります。共用部か専有部か。経年劣化か使い方か。この2つです。
共用部で、経年劣化が原因ならオーナーさま側です。専有部で、使い方が原因なら入居者さま側です。残りの2つの組み合わせが、話し合いになるところです。根拠は民法第606条第1項で、賃貸人は使用に必要な修繕をする義務を負い、賃借人の責めに帰すべき事由で修繕が必要になったときは除かれます。
迷った段階で業者を呼ぶと、調査の費用をどちらが持つかでもう一度迷います。先に写真と発生の状況を聞いておくと、どちらの話かの見当が付きます。
原因別の早分かり表
連絡の内容から、費用を持つのが基本どちらかと、設備で抑えられるかどうかを並べました。
| 連絡の内容 | 主な原因 | 費用を持つのが基本 | 設備で抑えられるか |
|---|---|---|---|
| 共用の排水管の詰まり・臭い | 配管内にたまった汚れと経年劣化 | オーナーさま | 抑えられる(汚れが付きにくくなる) |
| 専有部の排水口の詰まり・臭い | 髪の毛、油、清掃の頻度 | 入居者さま | 一部(汚れが落ちやすくなる) |
| 元々の水圧が弱い | 地域の給水圧、建物の給水設備 | オーナーさま | 抑えられない |
| 設備の導入後の水圧低下 | 導入した装置の減水率 | オーナーさま | 抑えられる(減水率は約5%) |
| 浴室や台所の水垢・カビ | 水の成分、湿気、清掃の頻度 | 入居者さま(構造が原因ならオーナーさま) | 一部(落としやすくなる) |
| 給湯器の不調 | 本体の寿命と故障 | オーナーさま | 抑えられない |
| 漏水(配管の劣化・詰まり) | 配管の経年劣化、共用部の詰まり | オーナーさま | 一部(劣化と詰まりの進み方) |
もう少し詳しく:表の右端の読み方
オーナーさまが費用を持つのが基本の5つのうち、設備が届くのは3つです。届かない2つは、修繕と更新の計画で持つほうです。
「一部」と書いた欄は、原因の一部にだけ関係するという意味です。使い方が原因の詰まりは、入居のときにお渡しする案内で減らすほうが早く済みます。
設備で抑えられる2つ
共用の配管に汚れが付くこと
共用の排水管の詰まりと臭いは、内側にたまった汚れが元です。マイナスに帯電したウルトラファインバブルが、油や皮脂のような汚れに吸着し、付着する力を弱めて水流で剥がれやすくします。
詰まりの連絡が減れば、緊急の業者手配と立ち会い、入居者さまへの説明と報告もそのぶん減ります。高圧洗浄の間隔を見直す材料にもなります。
すぐに変わるものではありません。すでに付いている汚れが落ちるまでには時間がかかるので、数か月の単位で見ます。
退去のときに残る水回りの汚れ
排水口のぬめりと、浴室の汚れ。退去の立ち会いで揉めやすいのはこの2つです。汚れが付きにくくなると、落とす範囲が小さくなります。
原状回復の範囲が小さくなると、敷金の精算も早く終わり、入居者さまとのやり取りの回数も減ります。
くわしいご案内マンションの水回りクレームを減らす|管理視点で見た実態
設備では変わらないもの
給水の圧力がもともと足りない建物は、設備を導入しても水圧は上がりません。水の勢いが弱いという連絡には、増圧ポンプなどの検討が別に必要です。
給湯器の不調は本体の寿命です。設置年を台帳で押さえて、更新の順番を決めるほうが早く終わります。
配管の腐食と赤水には、更新工事の可否を確かめるとともに、赤錆を黒錆に変えて配管を延命する emiiR® という別の設備があります。
専有部の使い方が原因の詰まりも、設備では止まりません。入居のときにお渡しする案内に、油と髪の毛の扱いを1行入れておくほうが確実です。
1件あたりの手間を、時間で数える
件数だけでは判断できません。1件にかかる時間を比べると、減らす価値のある連絡はどれかが見えます。
| 段取り | かかる時間の例 | だれの時間か |
|---|---|---|
| 受付と状況の聞き取り | 20分 | オーナーさま・管理会社さま |
| 原因の見当と業者の手配 | 30分 | オーナーさま・管理会社さま |
| 日程の調整 | 20分(入居者さまと業者の往復) | 全員 |
| 当日の立ち会い | 2時間 | オーナーさま・管理会社さま |
| 結果の確認と入居者さまへの報告 | 20分 | オーナーさま・管理会社さま |
この表は計算の例です。ご自身の管理の手順に合わせて時間を入れてください。
もう少し詳しく:年間の時間に直す
合計すると1件で3時間半ほどです。年に6件あれば21時間、年に12件なら42時間になります。いまの件数を入れて、減らせる件数と掛けてみてください。
時間だけでなく、夜間や休日にかかることも数えます。緊急の連絡は時間帯を選べないので、同じ1件でも重さが違います。
工事のときに、連絡を増やさないために
工事そのものが連絡の元になると、抑えた分が相殺されます。この工事は共用部だけで終わるので、各戸への立ち入りがありません。
工事の日の断水は、直結給水の建物で1〜2時間です。配管をつなぐ接着剤が固まるのを待つ時間で、受水槽のある建物なら、設備が水道メーターと受水槽のあいだに付くので各戸は断水しません。
工事全体は3時間〜半日です。断水のある建物では、時間帯を前日までに掲示します。ここまで段取りしておけば、当日に来る連絡は駐車の案内についてだけになります。
工事の段取りまで含めたお見積もりは、給水方式と引き込みの口径が分かればお出しできます。お問い合わせのときにお知らせください。
よくあるご質問
共用の配管が詰まったときの費用は、だれが持ちますか
経年劣化が原因ならオーナーさま側です。専有部の使い方が原因だとはっきり分かる場合は入居者さま側になります。調査で原因が分かれたときは、負担の割合を先に決めておくと後の話が早く終わります。
設備を導入して、水圧の連絡は増えませんか
増えにくいです。減水率は約5%で、泡を作りながら水圧を保つ構造です。元々の水圧が足りない建物では、水圧そのものは変わりません。
高圧洗浄はやめられますか
やめる判断ではなく、間隔を見直す材料になります。汚れの付き方は建物ごとに違うので、次の洗浄のときに内側の様子を記録しておくと、間隔を決める根拠になります。
管理会社に任せている場合、だれが手配しますか
どちらでも進められます。工事日の告知と立ち会いをどちらが持つかだけ、先に決めておいてください。お見積もりと保証の窓口は当社ひとつです。
保証は何年ですか
計10年です。メーカー保証2年と筆頭正規特約店 株式会社ライヴスの延長保証8年を合わせた年数で、窓口は当社ひとつです。故障したときに連絡する先は1か所です。
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