オフィスビルの冷却塔で実証を行ったところ、10年以上そのままだったと見られる硬いスケールが、指で剥がれる状態になっていました。
溶かしたのではありません。付き方が変わって脆くなった結果です。どこまで変わるかは、水質と付着の状態で決まります。
すでに厚くスケールが付いている冷却塔をお持ちの設備管理の方に向けて、付着したあとのスケールがどうなったのかを、現場で見たまま書きます。
オフィスビルの冷却塔で何を見たか
実証を行ったのは、中央熱源方式の空調を持つオフィスビルの冷却塔です。稼働年数が長く、ルーバーにも充填材にも硬いスケールが層になって残っていました。清掃の記録から、10年以上そのままだったと見られる層です。
当社が扱う emiiR®(エミール)を取り付けて運転を続けたあと、その層に触れると指で剥がれました。工具でこそげたのではなく、手で触れて崩れる状態に変わっていたということです。
ここで大事なのは、剥がれたという事実よりも、剥がすために何もしていないという点です。酸で溶かす薬剤も入れていませんし、こそげ落とす作業もしていません。運転していただけです。
ルーバーの清掃が、どう変わったか
この冷却塔では、それまでワンシーズンごとにケレンでこそげ落としてから高圧洗浄する、という手順で清掃していました。硬い層は水圧では落ちないので、先に人の手で崩す工程が必要だったからです。
実証のあと、管理会社さまからは、高圧洗浄だけで落ちるようになったとお聞きしました。ケレンの工程が1つ抜けた形です。
工程が1つ減ると、何が変わるか
ケレンは人の手の作業です。人数と時間がそのまま費用になります。工程が1つ抜ければ、清掃にかかる日数が短くなり、見積書の行が1つ減ります。
減るのは委託費だけではありません。作業の日は、建物側の担当者が立ち会います。日数が短くなれば、その立ち会いの時間も戻ってきます。屋上での作業日数が減れば、養生や安全の段取りも軽くなります。
| 工程 | 実証の前 | 実証のあと |
|---|---|---|
| ケレン(こそげ落とす) | ワンシーズンごとに必要 | 行わずに済んだ |
| 高圧洗浄 | ケレンのあとに実施 | これだけで落ちた |
出典:当社が行った実証での記録(2026-09-26 時点)。
なぜ脆くなるのか
スケールが硬いのは、成分がきれいな結晶として育ち、下地と強く結びついているからです。硬さは、結晶の育ち方で決まります。
この装置を通した水では、結晶の内部に欠陥が入りやすくなり、育っても硬くなりにくくなります。下地との境目の状態も変わるため、層としてくっつく力が弱くなります。
だから、溶かして無くすのとは働きが違います。成分を水から取り除くわけでもありません。付き方を変える、というのがいちばん近い言い方です。すでに付いている層についても、時間をかけて脆くなり、剥がれやすくなる傾向があります。
厚く付いている設備で、どこから確かめるか
すでに層になっている冷却塔で見るべきなのは、剥がれたかどうかではなく、清掃の手順が変わるかどうかです。見る場所は3つです。
- ルーバー:手が届くので、層の硬さの変化がいちばん早く分かる
- 充填材:目詰まりの度合いと、水の落ち方
- 熱交換部:伝熱面の付着。冷やす力と電気代に直結する
もう少し詳しく:写真の残し方
同じ場所を、同じ角度で撮ってください。ルーバーなら端から何枚目か、充填材なら点検口から見える範囲のどこかを決めておきます。角度が違うと、比べたときに変化が分かりません。
スケールの厚みは、定規を添えて撮ると後で比べられます。清掃の記録と一緒に保管しておけば、次の契約更新のときに工程を見直す材料になります。
どこまで変わるかは、水質と付着の状態で決まります
同じことがどの冷却塔でも起きるとは書きません。付いている層の成分と厚み、原水の水質、運転の条件で、変わり方は違います。シリカの多い硬い層は、時間がかかります。
働かない条件もはっきりしています。中性からアルカリ性の水で働く方式で、強酸性の水では働きません。冷却塔の循環水はふつうこの範囲に入ります。
だから、判断は自分の設備で確かめてからにしてください。確かめる材料は、清掃の工程が1つ減るかどうかという一点で足ります。
3か月の無償デモで確かめる
デモ機を実機の冷却塔に取り付けて、約3か月のあいだ、費用のご負担なしで確かめていただけます。期間中もブロー水と分散剤は減っていくので、確かめているあいだに費用が浮きます。
見ていただくのは、電気伝導率と補給水量の動き、そして付着の状態の写真です。週に1回、のぞき穴からセラミックスの流動を見ていただくのと、終了時のデータと写真の共有をお願いしています。社名を公開するかどうかはお選びいただけます。
よくあるご質問
付いているスケールは、必ず剥がれますか
水質と付着の状態で変わります。オフィスビルの冷却塔では、10年以上そのままだったと見られる層が指で剥がれる状態になりました。同じ変化が起きるかどうかは、3か月の無償デモで確かめるのが確実です。
剥がれたスケールは、どこへ行きますか
下部水槽に落ちて沈みます。ストレーナーの詰まりを見ながら、堆積物は清掃のときに取り除きます。剥がれはじめの時期は、ストレーナーの確認の頻度を上げてください。
酸洗いと、どう違いますか
酸洗いは、薬剤でスケールを溶かして落とす作業です。こちらは溶かすのではなく、付き方が変わって脆くなります。運転を続けているあいだに働くので、作業として止める必要がありません。
清掃の契約は、すぐに見直せますか
工程が変わったことを記録に残してから見直すのが順番です。清掃の前後の写真と、実際にかかった作業日数を残してください。次の更新のときに、ケレンの工程を外す相談ができます。
熱交換器の内側も見られますか
分解や内視鏡での確認が必要になるため、点検の計画に合わせて見ます。先に分かるのは、ルーバーと充填材の変化です。冷やす力の変化は、消費電力と冷却水の温度差から追えます。
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