断水と濁った水のとき、ラインをどこで止めてどこから再開するか

断水と濁った水のとき、ラインをどこで止めてどこから再開するか

この記事の結論

断水や濁った水のときは、原料の洗浄・茹で・仕込みのように製品に水が直接触れる工程から止め、止めた時点の仕掛かり品は時刻とロットを記録して保留にします。止める判断をするのが品質保証部か、その日の責任者かを、先に決めておきます。

再開は、受水槽があれば槽から、直結なら元栓に近い蛇口から末端へ順に、透明になるまで流します(自治体の案内も「透明になるまで流してから使う」です)。蛇口ごとに濁り・色・においと残留塩素を確かめて記録してから、製品に触れる工程に戻します。

断水や濁った水のときの手順を決めておけ、と言われた食品工場の品質保証部・製造課長さま向けに、法令と自治体の案内を確かめたうえで、ラインの止め方と再開の順番を整理しました。

目次

水道法が定めているのは、給水の緊急停止と周知

工場の外で水に異常が起きたとき、最初に対応するのは水道事業者です。水道法第23条は、人の健康を害するおそれのある水だと知った水道事業者に、すぐ給水を止めることと、その水が危ないことを使う人へ知らせることを義務づけています。同じ条の第2項は、そうした水に気づいた人にも、水道事業者へ知らせるよう求めています。工場の側から見れば、まず届くのは水道事業者からの給水停止の知らせか、自社の蛇口で見つけた異常のどちらかです。

国土交通省の飲料水健康危機管理実施要領も、国の責任体制と情報の集め方を定めたもので、事業者に向けて煮沸の手順を示したものではありません。工場の側の手順は、水道事業者と自治体の案内、保健所の指示、そして自社の管理の基準で組み立てることになります。

自治体の案内は「透明になるまで流してから使う」

断水が明けたときや、水道の工事のあとに出る濁った水について、蒲郡市や新潟市は、透明になるまで流してから使い、濁った水は飲用に使わないよう案内しています。

煮沸については、京都市上下水道局が、臭気を下げる方法として沸騰後に蓋をとって5〜6分煮沸することを挙げ、あわせて、一度沸騰させた水道水は消毒の効果がなくなるので早めに使うよう案内しています。工場の手順も、流して透明になったことを確かめてから使う、という形を基本にします。

止まるものを先に並べる

水が止まったとき、あるいは濁ったときに止まる工程は、工場ごとに決まっています。当日に探さなくて済むように、先に一覧にしておきます。

  • 原料の洗浄・茹で・仕込み:製品に水が直接触れる工程。最初に止める
  • CIP・器具の洗浄:止めると次の生産の立ち上げが遅れる
  • 製氷・冷却:氷を使う工程は、止めた時刻の在庫で動ける時間を出す
  • 手洗い・トイレ:作業者の衛生の手順に直結する

くわしいご案内監査で毎回同じところを指摘される|清掃・防虫・機器の付着を、水の側から

止める順番と、仕掛かり品の扱い

止める判断は、品質保証部か、その日の責任者が行うと決めておきます。水道事業者の断水の情報、または蛇口の水の濁りや色、においの異常で判断し、製品に水が直接触れる工程から止めます。

止めた時点の仕掛かり品は、時刻とロットを記録して保留にします。その扱いは、自社の管理の基準と、保健所や水道事業者の指示に従って決めます。受水槽のある工場では、槽の水でしばらく動けますが、濁った水が槽に入った場合は、槽の水も使えなくなります。

再開する前に流す範囲

再開の前に、水を流す範囲を決めておきます。受水槽がある場合は槽から、直結なら元栓に近い蛇口から始め、末端の蛇口まで順に、透明になるまで流します。給湯器、製氷機、茹で釜への給水、CIPの給水の系統も、それぞれの出口で流します。

流したら、蛇口ごとに濁り、色、においを確かめ、残留塩素を測って記録します。工場監査の指摘事例集でも、使用する水の残留塩素のチェックが問いとして挙がっています。UFB DUAL® を取り付けている工場でも、装置の側でする操作はありません。電源も消耗品もなく、減水率が約5%なので、流す水の勢いもふだんとほとんど変わりません。

手順を先に紙にしておく

手順書は、1枚で足ります。当日に読む人が、上から順に進められる並びにします。

書いておくこと 中身
情報を得る先 水道事業者の断水・濁水の情報の窓口と、確かめる担当
判断する人 止める・再開するを決める人と、その代わりの人
止める順番 製品に水が触れる工程から。工程ごとの止め方
仕掛かり品 時刻とロットの記録、保留の置き場所、判断の手順
再開の前 流す範囲と順番、確かめる項目(濁り・色・におい・残留塩素)
連絡 取引先と社内への連絡の順番と、伝える項目

よくあるご質問

濁った水が出たら、煮沸すれば使えますか

煮沸で濁りは取れません。自治体の案内は、濁った水は飲用に使わず、透明になるまで流してから使う、というものです。京都市は煮沸を臭気を下げる方法として案内しており、一度沸騰させた水道水は消毒の効果がなくなるとしています。

断水のとき、受水槽の水は使えますか

使えます。受水槽に貯まっている水で、しばらくは動けます。ただし濁った水が槽に入った場合は、槽の水も使えません。再開の前には、槽から順に透明になるまで流してください。

仕掛かり品はどう扱えばよいですか

止めた時刻とロットを記録して保留にし、自社の管理の基準と、保健所や水道事業者の指示に従って扱いを決めます。当日に迷わないよう、置き場所と判断の手順を手順書に書いておきます。

再開の前に何を確かめればよいですか

蛇口ごとに濁り、色、においを確かめ、残留塩素を測って記録します。給湯器、製氷機、茹で釜やCIPの給水の系統も、それぞれの出口で流して確かめます。

UFB DUAL® を付けていると、再開のときに何か操作が要りますか

要りません。装置の側で操作することはありません。電源も消耗品もないので、水が戻ればそのまま使えます。再開前に流す手順は、取り付けていない工場と同じです。

アリージェンス合同会社 代表 沼倉孝秀

沼倉 孝秀(ぬまくら たかひで)

アリージェンス合同会社 CEO。UFB DUAL®・emiiR®(エミール)・α-HT® の正規一次販売店として、製品の選定から設置、設置後の窓口までを担当しています。

アリージェンス合同会社

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