この記事の結論
食品工場の排水のBODを押し上げているのは、茹で湯を入れ替えるときに抜く湯、洗浄の最初のすすぎ、床に落ちた原料を水で流す作業のように、有機物が少ない水に濃く溶けて一度に出る工程です。
濃さを下げる手は、排水処理の設備を足す前に工程の側にあります。固形物を水で流す前に回収する、最初のすすぎを分ける、茹で湯の入れ替え回数を見直す、の3つで出どころを絞ると、除害設備の負荷と、濃さで加わる料金の両方が軽くなります。
排水のBODが高いと言われ、除害設備の負荷や水質使用料に悩んでいる食品工場の設備・環境のご担当者さま向けに、濃さの出どころを工程で分ける手順を書きました。
BODとは何を測っているか
ご存じのとおり、BOD(生物化学的酸素要求量)は、水の中の有機物を微生物が分解するときに使う酸素の量で、5日間で使われた量を1リットルあたりのミリグラムで示すのが一般的です。
一緒に測られることが多いCOD(薬品で有機物を分解するときの酸素の量)とSS(水に浮いている固形物の量)も、でんぷんや糖、たんぱく質、油を含む食品工場の排水では、BODとそろって高くなりがちです。
濃さで請求が変わる自治体がある
大阪市は、下水道条例第11条で、BODやCOD、SSが1リットルあたり200ミリグラムを超える汚水を月1,250立方メートル以上流す事業場に、一般の使用料とは別に水質使用料を加えています。BODとCODは大きいほうの値を使い、濃さの区分ごとに1立方メートルあたりの単価が決まっています。
2,600ミリグラムを超える汚水は、そのままでは下水道へ流せず、除害施設で基準以下にしてから流すことになります。区分と単価、認定の流れは自治体の制度で決まるので、くわしくは水質使用料の記事にまとめています。ほかの市の基準は、それぞれの条例で確かめます。
食品工場の排水が濃くなりやすい理由
食品工場の排水は、原料そのものが有機物です。茹でれば麺からでんぷんが、洗えば器具からたんぱく質と油が、床を流せば落ちた原料が、水に溶けて排水へ出ていきます。
濃さを決めるのは、溶けた有機物の量と、それを薄める水の量の比です。節水を進めると水の量が減り、有機物の量が同じなら濃さは上がります。そのため濃さの問題は、水の量ではなく、有機物をどこでどれだけ流しているかから考えます。
くわしいご案内食品工場の下水道料金は、どの工程が決めているか|水量と濃さを工程ごとに分ける
有機物の出どころを工程で分ける
出どころは、工程ごとにほぼ決まっています。量が多いか少ないかより、1回に濃く出るかどうかで並べると、手を付ける順番が見えます。
| 工程 | 出ていくもの | 出方 | 工程の側の手 |
|---|---|---|---|
| 茹で湯の入れ替え・差し水 | でんぷん・打ち粉 | 入れ替えのたびに濃い湯が一度に出る | 入れ替えの回数を見直す |
| 洗浄の最初のすすぎ | 残った製品・油・たんぱく質 | 洗浄の始めに濃く出る | 先に固形物をかき取る、最初の水を分ける |
| 床・ラインの水洗い | 落ちた原料と残渣 | 流した分がそのまま出る | 水で流す前に掃き取る |
| 揚げ・調理器具の洗浄 | 油 | 洗浄のたびに出る | 油を先に拭き取り、回収する |
出どころを絞る工程の側の手
いちばん確かなのは、水に溶かす前に取ることです。床や器具に残った原料は、水で流す前にかき取り、掃き取って固形のまま回収します。洗浄の最初のすすぎは、濃いまま流さず、分けて扱える配管や容器があれば別にします。
茹で工程では、入れ替えの回数が、そのまま濃い湯を捨てる回数です。湯の中のでんぷんを減らせれば、捨てる回数と、1回に出ていく濃さの両方に手が届きます。給水に UFB DUAL® を入れた茹で釜では、うどんが崩れにくくなり、湯へ溶け出すでんぷんも抑えられるので、入れ替えを減らせるかを検討する材料が増え、排水の有機物が減ることも期待できます。
BODの値がどう変わったかを確かめるのは、自社の排水の分析です。工程の手を変えた日を記録に残し、同じ時刻・同じ升で採った水の分析結果を前後で並べます。
自治体ごとに違うところ
濃さで料金を加えるかどうか、どの濃さから加えるか、どの流量から対象になるかは、自治体の条例で決まっています。大阪市では、市が事業場の水質を認定し、約1年たった後に再び認定すると案内しています。
除害施設の設置が必要になる基準も、自治体の条例と、排水を受け入れる下水道の側の決まりで変わります。所在地の下水道の窓口に、自社の工場がどの区分に当たっているかと、次の認定の時期を確かめておきます。
工程と時刻を合わせて測る
排水の濃さは、1日の中で大きく変わります。茹で湯の入れ替え、洗浄の開始、終業の床洗いの時刻に濃さが跳ね上がり、あとは薄まります。1日1回の採水では、どの工程が押し上げているかが見えません。
工程の時刻表を横に置き、その前後で升から水を採って比べます。分析に出すのは要所だけにして、あとは濁りの写真で見比べれば、費用を抑えて出どころを絞り込めます。どの工程から手を付けるかが決まったら、その工程の給水と手順の見直しに進みます。
よくあるご質問
食品工場の排水のBODを下げるには、何から始めればよいですか
排水処理の設備を足す前に、濃い排水を出している工程を特定します。工程の時刻に合わせて升の水を採って比べ、茹で湯の入れ替え、洗浄の最初のすすぎ、床の水洗いのどれが押し上げているかを確かめます。
節水すると排水の濃さは上がりますか
溶けている有機物の量が同じなら、薄める水が減る分だけ濃さは上がります。濃さの問題は水の量ではなく、有機物をどの工程でどれだけ流しているかから考えるのが確かです。
水を変えるとBODは下がりますか
うどんの茹で湯では、下がる方向が期待できます。UFB DUAL® の水でうどんを茹でると、湯の濁りとでんぷんの流出が抑えられ、入れ替えの回数を見直す材料になります。排水に出ていく有機物の量が減ることは期待できますが、BODの値は自社の排水の分析で確かめてください。
水質使用料はどこの自治体でもかかりますか
自治体の条例で決まります。大阪市では、月1,250立方メートル以上で、BODなどが1リットルあたり200ミリグラムを超える事業場が対象です。所在地の条例と下水道の窓口で確かめてください。
除害施設の負荷も軽くなりますか
流れ込む有機物の量が減れば、除害施設の負荷は軽くなる方向です。固形物を先に回収する、最初のすすぎを分けるといった工程の手と組み合わせると、効果が大きくなります。
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