土の乾湿ムラと、かん水の届き方

土の乾湿ムラと、かん水の届き方

この記事の結論

ハウスの乾湿ムラは、かん水の出口ごとに出る量のばらつきと、土の締まりや乾き方の違いが重なって起きます。手前・中間・末端の出口でコップに1分間ずつ受けて量を比べれば、設備と土のどちらが主な原因かを切り分けられます。

出口の量がそろっていなければ洗浄や交換を先に、そろっていれば1回の量を減らして回数を増やす組み替えを先に行います。

ハウスの中で生育がそろわない、通路側だけ乾く、奥の株に水が届いていない気がする。その現象の見分け方と、測って確かめる手順を生産者の方に向けて書きました。

目次

ムラが出る場所は、だいたい決まっている

出やすいのは、通路側、ハウスの両端、そしてかん水ラインの末端です。通路側は地面が踏まれて締まり、水が横に逃げます。両端は側面からの風と日射で、表面の乾きが速くなります。

株元と株間の差も見落とされます。点滴の場合、濡れているのは出口の直下だけで、株間の土は乾いたままということが起こります。地上部は同じように見えても、根の広がる範囲が違ってきます。

ハウスの図に、乾きやすい場所を書き込んでおくと判断が早くなります。毎作同じ場所が乾くなら、原因は土と地形にある可能性が高く、作ごとに場所が変わるなら、設備を疑います。

同じ量を出しても、届き方が違う理由

1つは送り出しからの距離です。長いラインでは、手前の出口から順に水が抜けていくので、末端に届くまでに圧力が下がります。勾配があれば、そこにも差が出ます。

もう1つは出口そのもののばらつきです。詰まりかけた出口は、見た目には水が出ていても量が落ちています。この2つは、コップで受けて量を測れば、その場で切り分けられます。

配管の太さと分岐の数も影響します。1本のラインに多くの出口をつないでいると、末端に届くまでに水が抜けてしまいます。ラインを分けて、それぞれの本数をそろえるだけで差が縮むことがあります。

乾いた土は、水をはじく

ご存じのとおり、土はいちど強く乾くと水が入りにくくなります。表面で水がはじかれて横に流れ、乾いた層の下は濡れないという状態です。表面に藻や微細な土が層を作っていると、この傾向は強まります。

こうなると、かん水の時間を延ばしても解決しません。流れ出た水が通路に溜まるだけです。1回の量を減らして回数を増やし、水が入る速さに合わせるほうが、結果として深くまで濡れます。

マルチを張っている場合は、水が入る場所が穴の周りだけに限られます。株元は濡れているのに株間は乾いたまま、という状態が続きます。

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出口のばらつきを抑える

出口のばらつきは、洗浄と交換で元に戻せます。ただし洗ったあとも同じ速さで汚れが付き直すため、洗浄の間隔がそのままムラの出る周期になります。

UFB DUAL® は、水がノズルを通るときの圧力の変化だけで泡を作ります。直径は1マイクロメートル未満で、細い流路にも入り込むため、出口の内側のような狭いところまで届きます。マイナスに帯電した泡が汚れの付着力を弱めるので、付着物は固まりにくくなり、すでに付いた分も剥がれて水流で流れやすくなります。洗浄は続けますが、次の洗浄までの間隔が延びる方向に変わります。

泡が土の構造を変えることはありません。UFB DUAL® で変わるのは、かん水のラインと出口の内側への汚れの付き方です。土の締まりと作土の深さは、耕うんや資材で対処します。

交換するか洗浄するかは、量の落ち方で決めます。洗っても量が戻らない出口は、内側の形が変わっているので交換の対象です。

測って確かめる

測るものは3つです。出口から出る量、土の水分、そして濡れた範囲の深さです。どれも1回では判断できないので、同じ曜日と時刻に続けて取ります。

測るもの やり方 そこから分かること
出口の量 コップで1分受けて量る(手前・中間・末端) 出口ごとのばらつき
土の水分 土壌水分センサーを同じ深さに置く かん水の回数と量の過不足
濡れた深さ かん水の直後に掘って断面を見る 水が入っているかどうか
ラインの圧力 フィルターの前後で圧力差を読む 詰まりの進み方

見直す順番

最初に設備を直します。出口の量がそろっていない状態で制御を変えても、どの変更が効果を上げたのか分かりません。洗浄と交換で量をそろえ、そのうえでセンサーの値を見ます。

次に1回の量と回数を組み替えます。最後に、ラインの分割や末端の開放といった配管の設計です。ここまで手を打っても残るムラは、土の構造に原因があると考えます。

記録は1週間で足ります。出口の量、センサーの値、掘って見た濡れの深さを同じ紙に並べると、次に何を変えるかが決まります。

よくあるご質問

土壌水分センサーはどこに置けばよいですか

乾きやすい場所と、いちばん湿っている場所の2か所です。1か所だけだと、その場所の値でハウス全体を代表させてしまいます。深さは根の主な広がりに合わせ、区画ごとに同じ深さにそろえます。

かん水の時間を長くすれば、奥まで届きますか

強く乾いた土では、届かないことが多くあります。時間を延ばしても表面で水がはじかれ、通路に流れ出るためです。1回の量を減らして回数を増やすほうが、深くまで濡れます。

出口の量がそろわない原因は詰まりですか

詰まりだけとは限りません。距離や勾配による圧力の差も原因になります。手前・中間・末端の3か所でコップに受けて量を測ると、どちらが主な原因か切り分けられます。

水を変えれば、乾湿のムラはなくなりますか

土の構造によるムラはなくなりません。UFB DUAL® で変わるのは、かん水のラインと出口の内側への汚れの付き方で、詰まりによる出口ごとの量のばらつきを抑える方向に働きます。

水圧が落ちると、末端がさらに弱くなりませんか

水圧はほとんど変わりません。UFB DUAL® の減水率は約5%で、低い水圧でも泡が生成される構造です。いまのかん水の設計を組み替える必要はありません。

アリージェンス合同会社 代表 沼倉孝秀

沼倉 孝秀(ぬまくら たかひで)

アリージェンス合同会社 CEO。UFB DUAL®・emiiR®(エミール)・α-HT® の正規一次販売店として、製品の選定から設置、設置後の窓口までを担当しています。

アリージェンス合同会社

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