この記事の結論
灌水チューブの目詰まりは、中身によって、鉄・マンガンの粒、炭酸塩(白く硬いスケール)、藻や微生物のぬめりに分かれ、それぞれ有効な洗浄が違います。詰まったチューブを50センチほど切り、中身の色と手ざわりを見れば見分けられます。
洗浄の手間を減らすには、1回の洗浄を速くするより、汚れが付き直す速さを遅くして、次の洗浄までの間隔を延ばすことを考えます。
末端の株に水が届かない、フィルターの洗浄に時間を取られる、洗ってもすぐ戻る。その切り分け方と、付き方そのものを遅くする手立てを生産者の方に向けて書きました。
出てきたものを見て、3つに分ける
詰まったチューブを50センチほど切って、中身を白い紙の上に出してみてください。色と手ざわりで、どの系統かがほぼ決まります。切った日付を書いて残しておくと、進み方も追えます。
3つが混ざっていることもよくあります。そのときは、量の多いものを中心に、洗浄の組み方を決めます。
| 見た目・手ざわり | 中身 | 出やすい条件 |
|---|---|---|
| 赤茶色の粉や泥 | 酸化した鉄 | 井戸水を水源にしている |
| 黒褐色の付着 | 酸化したマンガン | 井戸水を水源にしている |
| 白く硬い付着 | 炭酸塩(スケール) | 硬度の高い水・出口付近で乾く |
| ぬめりのある詰まり | 藻と微生物 | 光が入るタンクと配管・液肥を通している |
中身ごとに、有効な洗浄が違う
鉄とマンガンには、沈砂とフィルターの多段化、そして定期的な逆洗で対処します。取りきれなかった細かい粒は末端まで運ばれるので、フィルターの目と洗浄の間隔が、詰まりの進み方を大きく左右します。
炭酸塩には酸を通す洗浄、藻と微生物には薬液を流す洗浄で対処します。タンクとフィルターの手前を遮光するのは、藻に対する数少ない予防策です。光と栄養のどちらかを断つと、藻の育つ速さが落ちます。
洗っても、翌日からまた同じ速さで汚れが付き始めます。
フィルターと末端の開放でできること
フィルターの目は、出口の穴より細かいものを選びます。ここが逆だと、通り抜けた粒が末端に溜まります。目を細かくするほど洗浄の回数は増えるので、洗う人の手間と合わせて決めます。
末端を開けて流すフラッシングは、溜まった粒を押し出す作業です。ラインごとに順番と時間を決め、いつどこを流したかを紙に残します。決めていないと、同じラインばかり流すことになります。
出口の交換は、量が戻らなくなったものから行います。洗っても量が戻らない出口は、内側の形が変わっています。
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洗浄の時期を、数字で決める
多くの農場で判断の材料になっているのは、末端の株の勢いです。つまり、詰まりが生育に表れてから対応することになります。
先に気づける数字が2つあります。末端の出口から1分間に出る量と、フィルターの前後の圧力差です。週に1回、同じ場所で測って記録するだけで、進み方の傾向が見えます。
この2つを取っておくと、洗浄の効果があったかどうかも分かります。洗ったあとにどこまで戻るかで、次に洗う時期を決められます。
付き方そのものを遅くする
UFB DUAL® が作る泡は、直径1マイクロメートル未満です。水道の水圧がノズルを通るときの圧力の変化で、水に溶けている空気を細かくしています。泡は浮かないのでラインの先まで運ばれ、表面のマイナスの電荷が、プラス側に帯電した汚れとの付着力を弱めます。
管の内側を泡が覆うことで、離れた汚れが戻りにくくなる働きも期待できます。導入後も洗浄は続きますが、付着物は固まりにくくなり、すでに付いた分も剥がれて水流で流れやすくなります。変わるのは洗浄の作業ではなく、次の洗浄までの間隔で、酸や薬液を回す回数を見直す材料にもなります。
水質そのものは変わりません。溶けている鉄やマンガンが減るわけではないので、いまのフィルターと沈砂の設計はそのまま必要です。取り付けるのは元栓から灌水ラインまでの給水側で、電源も薬剤も使いません。
確認の手順と、費用
導入の前に、末端の吐出量とフィルターの圧力差を2週間ぶん取ります。同じ曜日、同じ時刻、同じ場所です。導入後も同じ手順で続け、洗浄までの日数がどう変わったかを見ます。
UFB DUAL® の本体は、取り付ける位置の給水管の太さ(口径)で選びます。口径は、水道メーターやポンプの表示、または写真から当社が判断します。20Aなら本体350,000円(メーカー希望小売価格498,000円・税抜)で、ほかの口径の価格は、灌水設備の費用をまとめた記事でご覧いただけます。工事費は、砂利や土で60,000〜70,000円、コンクリートやアスファルトで70,000〜80,000円、40A・50Aで150,000円程度です。
灌水を止める必要があるのは1〜2時間です。配管を切って本体をつなぎ、接着剤が固まるまで通水できないためです。工事全体は3時間〜半日なので、灌水の予定を伺って、止める時間帯を決めます。保証は計10年で、消耗品はありません。
灌水の給水管に多い20Aなら、本体350,000円(メーカー希望小売価格498,000円)と工事費60,000〜80,000円で、総額410,000〜430,000円(税抜)です。口径ごとの価格と工事費は、灌水設備の費用の記事にまとめています。
よくあるご質問
取り付ければ、洗浄はしなくてよくなりますか
いいえ、洗浄は続けます。付着物が固まりにくく剥がれやすくなるので、変わるのは次の洗浄までの間隔です。末端の吐出量とフィルターの圧力差を導入の前後で同じ手順で記録すると、その変化を自分の農場の数字で確かめられます。
いまのフィルターや沈砂は外せますか
外さないでください。水質そのものを変える装置ではないので、鉄や砂を止める設備はこれまでどおり必要です。洗浄の間隔を見直すのは、記録が出てからの順番になります。
電源や薬剤は要りますか
要りません。水道の水圧だけで泡を作る構造で、可動部と消耗品がありません。ハウスまで電気を引く工事も発生しません。
灌水を止める時間はどれくらいですか
水が止まるのは1〜2時間です。配管をつないだ接着剤が固まるまで水を通せないためで、全体は3時間〜半日です。工事の日時は、灌水の予定に合わせてご相談ください。
液肥を通したままで使えますか
使えます。取り付けるのは液肥を混ぜる前の給水側です。肥料や薬剤を水に入れる装置ではないので、いまの施肥の手順は変わりません。
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