潅水設備の目詰まりと、洗浄の手間

潅水設備の目詰まりと、洗浄の手間
この記事の結論

潅水チューブの目詰まりは、鉄、炭酸塩のスケール、有機物の3つに分けると原因が特定できます。詰まっているものが違えば、効く洗浄も違います。

水の側でできるのは、汚れが壁面に付く力を弱めて、いちど離れた汚れが戻りにくくすることです。洗浄の回数そのものを見直す材料になります。

ハウスの潅水チューブが詰まる、末端の株に水が届かない、洗浄に時間を取られる。この3つの原因の切り分け方と、付きにくくする手立てを生産者の方に向けて書きました。

目次

詰まりの原因は、3つに分けられる

同じ「詰まり」でも、中身が違えば対処が変わります。まずチューブを切って、出てきたものを見るのがいちばん早い切り分けです。

鉄(赤茶色の粉や泥)

地下水を水源にしている農場で多く出ます。溶けていた鉄が空気に触れて酸化し、細かい粒になってフィルターとドリッパーに溜まります。乾くと赤茶色の粉が残ります。

炭酸塩のスケール(白く硬い付着)

カルシウムなどが管の内側で固まったものです。水が乾く出口付近と、流れが緩む曲がりに付きます。硬いので、こすっても崩れず、酸で溶かす洗浄の対象になります。

有機物と藻(ぬめりのある詰まり)

光の入るタンクとチューブの中で藻が育ち、それを足場に微生物が増えて、ぬめりのある層になります。液肥を通している管ではとくに育ちやすく、指で触るとすべります。

原因ごとに、いま行われている対処

鉄には、沈砂とフィルターの多段化、そして定期の逆洗が当たります。取りきれない細かい粒は、末端まで運ばれてドリッパーに溜まるので、フィルターの目と洗浄の間隔がそのまま詰まりの速さを決めます。

炭酸塩のスケールには酸を通す洗浄、有機物には薬液を流す洗浄が当たります。どちらも「付いたものを落とす」作業なので、落とした翌日から同じ速さで付き直します。

タンクとフィルターの手前を遮光するのは、藻の側に効く数少ない予防の手です。光と栄養のどちらかを切ると、育つ速さは落ちます。

洗浄の頻度は、何を見て決まっているか

多くの農場で判断の材料になるのは、末端の株の元気のなさです。つまり、詰まりが生育に出てから動くことになります。

先に気づける数字が2つあります。ひとつは末端のドリッパーから1分間に出る水の量。もうひとつは、フィルターの前後の圧力差です。どちらも週に1回、同じ場所で測って記録するだけで傾向が見えます。

この2つを取っておくと、洗浄の効果も分かります。洗ったあとに量と圧力差がどこまで戻るかで、次に洗う時期を決められるようになります。

付きにくくする、水の側の手立て

ウルトラファインバブルは直径1マイクロメートル未満の泡で、浮き上がらずに水の中を長くただよいます。表面はマイナスに帯電していて、プラスに帯電した疎水性の汚れに吸着し、付着力を弱めて水流で離れやすくします。細い流路にも入り込むので、ドリッパーの内側のような狭い場所まで届きます。

壁面を泡が覆うことで、離れた汚れが再び付くのを抑える働きも期待できます。付き方が緩やかになれば、洗浄の周期と、酸や薬液を回す回数を見直す検討材料になります。

取り付けるのは元栓から潅水ラインまでの給水側です。貯水タンクの前でも、給水管の途中でも、農場の設備に合わせて位置を選びます。電源も薬剤も使わず、水圧だけで泡をつくるので、ハウスの外に電気を引く工事は要りません。

溶けている鉄そのものが減るわけではありません。水質を変える装置ではないので、鉄の多い水源では、いまのフィルターと沈砂の設計はそのまま続けていただきます。

確認の手順と、費用

導入の前に、末端の吐出量とフィルターの圧力差を2週間ぶん取ってください。同じ曜日、同じ時刻、同じ場所で測ります。導入後は同じ手順で続け、洗浄までの日数がどう動いたかを見ます。

口径は給水管の太さで決まります。ハウス1棟なら20Aが350,000円、25Aが600,000円(税抜)で、工事費は50,000〜80,000円が目安です。農場全体の元栓に入れる場合は40Aの2,500,000円が入り、工事費は150,000円程度が基準です。

水が止まるのは1〜2時間です。配管を切って UFB DUAL® をつなぎ込んだあと、接着剤が固まるまで通水できないためです。全体は3時間〜半日なので、潅水の間の時間帯に組めます。保証は計10年で、消耗品はありません。

口径 当社販売価格(税抜) メーカー希望小売価格 工事費(税抜・目安)
20A 350,000円 498,000円 50,000〜80,000円
25A 600,000円 850,000円 50,000〜80,000円
40A 2,500,000円 オープン価格 150,000円程度

出典:自社の価格表と工事費表(2026-09-26 時点)。税抜。

よくあるご質問

詰まりはどれくらい減りますか

水源の水質と設備の状態で変わります。末端の吐出量とフィルターの圧力差を測って記録すると、洗浄までの日数の動きとして自分の農場の数字が出ます。

いまのフィルターや沈砂は外せますか

外さないでください。水質そのものを変える装置ではないので、鉄や砂を取る設備はこれまでどおり必要です。洗浄の間隔を見直すのは、記録が出てからの順番になります。

電源や薬剤は要りますか

要りません。水道の水圧だけで泡をつくる構造で、可動部と消耗品がありません。ハウスまで電気を引く工事も発生しません。

潅水を止める時間はどれくらいですか

水が止まるのは1〜2時間です。配管をつないだ接着剤が固まるまで通水できないためで、全体は3時間〜半日です。潅水の間の時間帯に合わせて組めます。

いくらかかりますか

ハウス1棟の20Aなら本体350,000円と工事費50,000〜80,000円で、合計400,000〜430,000円(税抜)です。農場全体の元栓に入れる40Aは本体2,500,000円で、工事費150,000円程度が基準になります。

アリージェンス合同会社 代表 沼倉孝秀

沼倉 孝秀(ぬまくら たかひで)

アリージェンス合同会社 CEO。UFB DUAL®・emiiR®(エミール)・α-HT® の正規一次販売店として、製品の選定から設置、設置後の窓口までを担当しています。ハウスの潅水設備では、水源と配管の状況をお聞きして、取り付け位置と口径を一緒に決めています。

アリージェンス合同会社


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