この記事の結論
クエン酸は尿石を溶かすので、爪で押して削れる程度の薄いものなら落とせます。重曹は尿石を溶かさず、クエン酸と混ぜると中和して泡が出るだけで、尿石を溶かす働きは弱まります。
クエン酸は水に薄めず、ペーストか、液を含ませた紙を貼って乾かないように置き、1時間ほどで一度、崩れるかを確かめます。一晩置いても爪で崩れない厚みは、業務用の酸性洗剤で緩めて削る手順に移ります。
クエン酸と重曹で尿石を落とそうとしたのに、思ったように落ちなかった。この記事では、クエン酸と重曹がそれぞれ何に働くかと、クエン酸で落とせる厚み、置く時間の目安が分かります。
クエン酸で落ちる理由と、使い方
ご存じのとおり、尿石はカルシウムの結晶で、酸で溶けます。クエン酸は酸なので尿石を緩めますが、弱い酸のため、業務用の強い酸性洗剤より緩むまでに時間がかかります。
使うときは、水に溶かした液より、ペースト状にしたほうが面に留まって濃いまま働きます。粉を少量の水で練って、落としたい面に貼り付けます。垂れる場所では、トイレットペーパーを当ててから染み込ませると、その場に留まります。
溶かした液を便器に入れても、水で薄まってしまいます。水位を下げるか、面に直接置くかのどちらかにしてください。
| 使うもの | 液性 | 働く対象 | 尿石への働き |
|---|---|---|---|
| クエン酸 | 酸性 | カルシウムの結晶 | 溶かして緩める |
| 酢 | 酸性 | カルシウムの結晶 | 緩めるが弱い。においが残る |
| 重曹 | 弱アルカリ性 | 油分と、こするための粒 | 溶かさない |
| クエン酸と重曹を混ぜたもの | 中性に近づく | 泡による浮かし | どちらの働きも弱まる |
重曹の役割
重曹は弱いアルカリ性で、皮脂や油分の汚れに向きます。尿石はアルカリ性の条件でできる結晶なので、アルカリ性の重曹では溶けません。
それでも重曹が役に立つ場面があります。粒が細かい研磨材として働くので、クエン酸で緩めたあとの面を軽くこするときに使えます。この使い方なら、陶器の面を荒らしにくいです。
重曹を使うのは、クエン酸を水で十分に流してからにします。クエン酸が残った面に重曹をかけると、そこで中和が起きて泡が出るだけになります。
2つを混ぜたときに起きること
クエン酸と重曹を混ぜると、勢いよく泡が出ます。これは酸とアルカリが反応して二酸化炭素が出ているだけで、洗浄力が足し合わされたわけではありません。
反応が終わったあとに残るのは、酸でもアルカリでもない中性寄りの液です。泡が立つので効いているように見えますが、尿石を溶かす力は、クエン酸だけのときより弱くなっています。
混ぜて使うなら、溝や排水口にたまったよごれを泡で浮かせる目的に限ります。尿石を落とすときは、クエン酸だけで置いてください。
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置く時間の目安と、落ちる厚み
置く時間は、1時間ほどを最初の目安にします。1時間たったら一度紙を外し、樹脂のヘラで軽く押して、崩れる手ざわりになっていれば取り除きます。まだ硬ければクエン酸を足して置き直し、長くても一晩までにします。乾くと働きが止まるので、紙の上からラップで覆っておきます。
落とせる厚みには限りがあります。目安は、爪の先で押して削れる程度までです。盛り上がって層になり、爪では崩れない厚みが一晩置いても緩みきらない場合は、クエン酸の範囲を超えていると判断し、業務用の酸性洗剤に切り替えます。
施設の清掃でクエン酸が向いているのは、薄いうちに定期的に取る場面です。厚くなった尿石を毎回クエン酸で落とそうとすると、置く時間が長くなり、作業の予定が組みにくくなります。
落ちないときに起きていること
落ちないときの理由は、だいたい3つです。厚みがクエン酸の届く範囲を超えている、乾いて働きが止まっている、水で薄まっている、のどれかです。
色が薄くなっても、下の層が残っていることがあります。尿石の表面はざらついて次の尿石が引っかかりやすいため、下の層が残っていると、そこから短い期間で元の見た目に戻ります。
落ちたかどうかは、色ではなく手ざわりで確かめます。水で濡らしてなでたときにざらつくなら、層は残っています。
便器を傷めない範囲
陶器の表面には釉薬の薄い層があり、ここを削ると水がしみて汚れが残るようになります。クエン酸で釉薬が傷むことはありませんが、こすり方で傷が入ります。金属のヘラや粗い金属たわしは使わないでください。
便座や便器の樹脂の部分は、陶器よりずっと柔らかいので、重曹でこするだけでも細かい傷が残ることがあります。樹脂は緩めて拭き取るまでにして、こすらない手順にしてください。
金具やメッキの部分に酸が垂れると、変色することがあります。作業する前に、垂れる先を紙で覆っておくと、あとの手間が減ります。
よくあるご質問
クエン酸の代わりに酢を使えますか
使えます。どちらも酸で、カルシウムの結晶を緩めます。ただし濃度が低いため時間がかかり、においが残ります。厚みのあるものは、クエン酸を練ってペーストにしたほうが早く終わります。
クエン酸を使ったあとは、水で流すだけでよいですか
はい、水で十分に流してください。クエン酸が残ったまま塩素系の洗剤を使うと、有害な塩素ガスが出ることがあります。同じ日に塩素系も使うときは、とくに念入りに流してから次に進みます。
パックを一晩置いても落ちないのは、置き方が悪いのですか
多くは、置き方より厚みの問題です。爪で押して崩れないものは、クエン酸で落とせる範囲を超えています。乾いていないか、水で薄まっていないかを確かめたうえで落ちないなら、業務用の酸性洗剤で緩めて削る手順に移ります。
クエン酸を使い続ければ、尿石は付かなくなりますか
いいえ。薄いうちに取り続ければ厚くなるまでの間隔は延びますが、クエン酸は今ある尿石を溶かすもので、次の尿石が付くのを止めるものではありません。同じ場所に短い間隔で何度も出る建物では、便器から先の排水管の状態や、給水に設備を付けて尿石を付きにくくする方法も比べてみてください。
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