ボイラーのスケールとは|燃料費を抑える給水側の対策

ボイラーのスケールとは|燃料費を抑える給水側の対策

この記事の結論

ボイラーのスケールは、給水に溶けていたカルシウムやシリカが、缶水(ボイラーの中で沸いている水)が濃くなるにつれて伝熱面に固まった層です。熱が水へ伝わりにくくなるので、同じ量の蒸気を作るのに燃料が余分にかかり、伝熱面も過熱して傷みます。

給水の側で打てる手は、軟水器で硬度を下げる方法と、物理的な水処理で固着しにくくする方法の2つです。物理的な水処理がボイラーに使えるかどうかは、給水の水質と運転条件を伺い、製造元に確かめてからお答えします。軟水器はシリカには働かないので、シリカが多い水かどうかが選び方の分かれ目になります。

ボイラーの点検で伝熱面のスケールを指摘された方に向けて、燃料が増える仕組みと、給水の側で打てる手を整理しました。

目次

伝熱面に付くと、何が増えるか

ボイラーは、燃焼の熱を水に渡して蒸気や温水を作る設備です。熱を渡す面に層が挟まると、そのぶん熱が水へ届かず、燃焼側に残ります。

残った熱は排ガスの温度を上げます。排ガス温度が上がるほど、煙突から捨てている熱が増えます。同じ蒸気を作るのに燃料を足すことになり、これが燃料費の増え方として出てきます。

もう1つの影響が、伝熱面そのものへの負担です。層の下は熱がこもって局所的に温度が上がり、材料が傷みます。点検でスケールを指摘されるのは、燃料の話だけでなくこの理由もあります。

材質 熱伝導率の目安(W/m·K)
銅 約400
炭素鋼 約50
炭酸カルシウムスケール 約0.6〜2.0
シリカスケール 約0.3

缶水と補給水の違い

ボイラーの中で沸いている水を缶水、外から足す水を補給水と呼びます。蒸気として出ていくのは水の分子だけなので、溶けていた成分は缶水に残ります。

だから缶水は、運転するほど濃くなります。濃くなった分を捨てるのがブローです。捨てた分を補給水で足すので、ここでも成分が入ってきます。冷却塔とまったく同じ形です。

違うのは温度です。ボイラーは沸点まで上げるので、温度で溶けにくくなる成分が先に出ます。炭酸カルシウムがその代表で、伝熱面のいちばん熱い場所に集まります。

付きやすい水の条件

カルシウム硬度が高い水は付きやすくなります。石灰質の地層を通った地下水や、硬度の高い地域の水道水が該当します。補給水の水質分析で、全硬度の欄を見てください。

シリカが多い水も相手です。こちらは温度ではなく濃度で析出するので、缶水を濃くして運転している設備で現れます。火山性の地層を通った井水に多く含まれます。

そして運転のしかたも効きます。ブローが少なく缶水を濃く保っている設備、負荷の上下が激しい設備、休止と起動を繰り返す設備は、同じ水質でも付きやすくなります。

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落とす工程と、止めておく時間

落とすのは、設備を止めてからの作業です。手で削るか、酸を循環させるかに分かれます。どちらも缶体を開けるので、止めておく期間の段取りが本題になります。

酸洗浄は炭酸カルシウム系に効きます。シリカが混ざった層はほとんど溶けません。材質にも制約があり、濃度と時間を抑えて防食剤を併用するのが通例です。ゴムのパッキンやシール材は、洗浄のあとに交換する前提で見ておきます。

止める期間をいつ取るかは、建物の使い方で決まります。蒸気を止められない時期がある設備では、洗浄の予定そのものが組めないことがあります。だから「落とす」側だけで管理していると、打つ手が季節に縛られます。

給水側で手を打つという考え方

落とす工程が季節に縛られるなら、付き方の側に手を入れる選択があります。相手にするのは缶水ではなく、その手前の給水です。

軟水器は、カルシウムとマグネシウムをナトリウムに置き換えて硬度を下げる装置です。効きますが、再生のための塩と排水が続き、シリカには働きません。

当社が扱う emiiR®(エミール)は、外部電力と化学薬品を使わず、水の流動エネルギーだけで析出と固着の挙動を変える装置です。成分を取り除く装置ではないので、水中のミネラルはそのまま通ります。硬い結晶に育って伝熱面に固着する前に、細かいまま水流に運ばれる状態にします。給湯の系統では、家庭用の給湯機に機能部品として組み込まれた例があり、蒸気ボイラーに使えるかは、水質を伺って製造元に確かめます。

冷却塔と同じところ、違うところ

同じなのは、水を濃くして使う設備だという点です。出ていくのは水だけで成分が残り、濃度が限界を超えたところから析出します。ブローで薄めるという打ち手も同じです。

違うのは、析出を引き起こす主な力です。ボイラーは温度で、冷却塔は濃度です。だから相手にする成分の順番が変わります。ボイラーでは炭酸カルシウムが先、冷却塔ではシリカが上限を決めていることがよくあります。

もう1つの違いは、費目の出方です。ボイラーは燃料費に出て、冷却塔は電気代と水の代金、薬剤費、清掃費に分かれて出ます。両方を持っている建物では、伝熱面という同じ条件で比べると、見直しの案が1枚にまとまります。

見る点 ボイラー 冷却塔
析出を引き起こす主な力 温度 濃度(蒸発による濃縮)
先に出る成分 炭酸カルシウム シリカ、炭酸カルシウム
出てくる費目 燃料費、缶体の傷み 電気代、上下水道費、薬剤費、清掃費
落とす作業の制約 設備を止める期間が要る シーズンオフに清掃できる

冷却塔もお持ちなら

冷却塔もお持ちの建物では、冷却水の側から手を入れる方法として、当社が扱う emiiR®(エミール)があります。電源も薬剤も使わずに、スケールが固着しにくい状態を作る装置で、3か月の無償デモで数字を取れます。ボイラーの給水側の対策とあわせて、お問い合わせのときにご相談ください。

よくあるご質問

ボイラーのスケールは、どのくらいの厚みで燃料に出ますか

伝熱面では1mmに届く前から効いてきます。熱伝導率が鋼の数十分の一しかないため、薄い層が断熱材のように働きます。排ガス温度の推移を記録していれば、そこから傾向が読めます。

軟水器を付ければ、スケールは出なくなりますか

硬度成分によるスケールは減ります。ただしシリカには働かないので、シリカが多い水では残ります。再生のための塩と排水が続くため、運用の負担も含めて比べてください。

缶水のブローを増やせば解決しますか

濃度は下がりますが、燃料の側で損をします。熱を持った水を捨て、捨てた分の補給水を温め直すことになるためです。ブローの量は、濃度と燃料のつり合いで決めます。

冷却塔と同じ装置が使えますか

冷却塔向けの型式とは別の扱いになります。蒸気ボイラーは缶水の温度と水質が冷却塔とまったく違うため、給水の水質分析と運転条件を伺い、製造元のエミール・ジャパン株式会社に使えるかどうかを確かめてからご案内します。

いま厚く付いています。まず何をしますか

止められる時期を押さえて、落とす工程の段取りを組んでください。あわせて剥がした層を酸に入れて、炭酸カルシウム系かシリカ系かを確かめます。成分が分かると、洗浄の方法と、次を付けさせない手の選び方が決まります。

アリージェンス合同会社 代表 沼倉孝秀

沼倉 孝秀(ぬまくら たかひで)

アリージェンス合同会社 CEO。UFB DUAL®・emiiR®(エミール)・α-HT® の正規一次販売店として、製品の選定から設置、設置後の窓口までを担当しています。

アリージェンス合同会社

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