この記事の結論
切り替えの前後で測るのは、冷却水の電気伝導率(どれだけ濃くなっているかの目安)、補給水量、ブロー水量、分散剤の使用量、伝熱面と充填材の写真の5つです。どれも既存のメーターや記録、携帯型の計器で取れます。
測るのは切り替えの直前、1か月後、3か月後の3回で、同じ季節の中で比べます。あわせて、冷却水の温度や付着が悪化したら元の薬注に戻す、という条件を先に紙に書いておくと、社内の判断を数字で下せます。
冷却水の水処理を別の方式に替えてよいか、社内で説明する材料を用意している設備担当の方に向けて、測る項目と戻す条件の決め方をまとめました。
先に測る項目を決める
切り替えが止まるのは、効果が出なかったときではありません。効果が出たのかどうかを、あとから示せないときです。替えたあとに何を見るかを決めていないと、水がきれいに見える、去年より汚れていない、といった印象だけが残ります。
測るものは5つで足ります。すべて既存の設備と記録から取れるので、新しい計器を買い足さなくても始められます。
| 測るもの | 測り方 | この数字で分かること |
|---|---|---|
| 循環水の電気伝導率 | 携帯型の計器で冷却水槽から採水して測る | いま何倍に濃縮できているか |
| 補給水量 | 補給ラインのメーター、または循環水量と運転時間から | 入れている水の総量 |
| ブロー水量 | ブロー弁の設定と運転時間、または排出側のメーター | 捨てている水の量 |
| 薬剤の使用量 | 薬剤の納品書と補充の記録 | 分散剤をどこまで下げられたか |
| 伝熱面と充填材の状態 | 点検口から同じ角度で撮る写真 | 付着が進んでいるか、緩んでいるか |
測るタイミングと、季節の扱い
冷却塔は夏に偏って動きます。4月の数字と8月の数字を並べても、水処理を替えたせいなのか、負荷が上がったせいなのかが分かれません。比べるのは、同じ季節の同じ運転条件のあいだです。
実務では3回測れば足ります。切り替えの直前、切り替えから1か月後、3か月後です。直前の数字が基準になるので、ここを取り損ねると比べる相手がなくなります。
前の年の同じ月の記録が残っていれば、それも並べてください。負荷の違いを言われたときに、外気温と運転時間を添えて答えられます。
薬注を下げる順番と、その理由
薬剤は3つに分かれていて、下げられる順番が決まっています。先に下げるのはスケールの分散剤です。付着が抑えられているかどうかは、電気伝導率と伝熱面の状態で確かめられるので、判断の材料がそろっています。
殺藻剤は続けます。藻と細菌の側は水の性質だけでは止まらないので、ここを同時に下げると、何が原因で何が変わったのかが分からなくなります。切り替えの検証では、変える条件を1つに絞ってください。
下げ方は、一度に止めるのではなく段を踏みます。まず注入量を半分にして、電気伝導率と写真に変化が出ないことを確かめ、次にさらに下げる。段を踏むと、変化が出た地点がそのまま原因になります。
くわしいご案内冷却塔の水処理の費用|5つの費目と、費用の下げ方
どうなったら戻すか、先に決めておく
戻す条件を決めていないと、少し気になることが起きた時点で議論が振り出しに戻ります。決めておけば、条件に当たらないかぎり続ける、という運用になります。
現場で使いやすいのは次の3つです。冷却水の出口温度が同じ負荷で規定より上がった、伝熱面の写真で付着が前回より増えた、電気伝導率が想定の上限を超えても下がらない。このどれかに当たったら、薬注を元の量に戻してもう一度測ります。
戻す判断は失敗ではありません。条件が合わなかったことが数字で分かった、という結果です。これを先に紙にしておくと、決裁する側も止める道があることを確認して進められます。
社内報告に使う表の形
調べるのは設備担当でも、決めるのは総務や経理です。渡す紙は、水質の専門用語ではなく、費目と数量で組むほうが通ります。
左に項目、真ん中に切り替え前、右に切り替え後を置き、いちばん下に差を書きます。項目は、薬剤の使用量、補給水量、ブロー水量、清掃の工程数の4行で足ります。金額は、社内の単価を入れる欄を空けておいて、経理側に埋めてもらう形にすると数字の責任が分かれません。
| 項目 | 切り替え前(3か月) | 切り替え後(3か月) | 差 |
|---|---|---|---|
| 分散剤の使用量 | 納品書から | 納品書から | 数量の差 |
| 補給水量 | メーターの差 | メーターの差 | 水量の差 |
| ブロー水量 | 弁の設定と運転時間 | 弁の設定と運転時間 | 水量の差 |
| 清掃で必要だった工程 | 工程名を列記 | 工程名を列記 | 減った工程 |
この表は報告の形の例です。ご自身の記録と社内の単価を入れて使ってください。
検証の入口として、3か月の無償デモがあります
当社が扱う emiiR®(エミール)は、水の流動エネルギーだけで、スケールを硬い結晶に育てず固着させない装置です。分散剤を外しても付着が進まないか、濃縮倍数を上げてブロー水を絞れるかが、検証の5つの数字に表れます。切り替えの前に、実際の冷却塔に取り付けて3か月測っていただく無償のデモをご用意しています。
お願いするのは、週に1回、装置ののぞき穴から中のセラミックスが流動していることを見ていただくことと、期間が終わったあとにデータと写真を共有していただくことです。社名を出すかどうかはお任せしています。
この3か月は、検証のために決めた5つの数字をそろえる期間でもあります。導入するかどうかを決める前に、自分の建物の水で測った表が手元に残ります。デモのお申し込みとお見積もりは無料です。
よくあるご質問
測定は自分たちで行うのですか
電気伝導率と写真は、現場の方に取っていただくのが基本です。毎日そこにいる方が測るほうが、記録が途切れないためです。携帯型の計器で水槽から採水して測る作業です。補給水量とブロー水量は既存のメーターと運転記録から取れます。読み方と記録の様式は当社からお渡しします。
季節をまたがずに判断できますか
夏の運転期間の中で3か月取れれば判断できます。春から夏へまたぐと、負荷が上がったことと水処理の効果が混ざるため、同じ季節の中で前後を比べる形にしてください。前年の同月の記録があれば、あわせて並べます。
薬注を下げるのが不安なときは、どう進めますか
注入量を半分にする段からで構いません。分散剤だけを下げて、電気伝導率と伝熱面の写真に変化が出ないことを確かめてから、次の段に進みます。殺藻剤は下げずに続けます。
戻す判断は、どの数字で決めますか
同じ負荷で冷却水の出口温度が規定より上がった、伝熱面の付着が前回の写真より増えた、電気伝導率が想定の上限を超えても下がらない、のいずれかです。この3つを切り替えの前に紙に書いておきます。
社内の稟議には何を出せばよいですか
切り替え前と後の3か月を比べた表です。薬剤の使用量、補給水量、ブロー水量、清掃で必要だった工程の4行に数量を入れ、単価は経理側で埋めてもらう形にすると話が早く進みます。
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