この記事の結論
院内感染対策の手順書には、水について、朝と休診日明けの通水、断水や濁水のときの動き、その記録の3つを書きます。根拠にするのは、ユニットのメーカーの取扱説明書の指示と、院内の取り決めです。
歯科初診料の施設基準とその届出様式には水の管理を書く欄がないので、届出の書類に水の手順を書き足す必要はありません。水の手順は、院内の手順書にまとめます。
院内感染対策のマニュアルや手順書を整えるなかで、水のことを何と書けばよいか迷っている歯科クリニックの院長先生と、書類を担当するスタッフの方に向けて書きました。
歯科初診料の施設基準に、水の項目は一つも出てこない
院内感染防止対策の施設基準は、基本診療料の施設基準と届出の手続きの取扱いを示した厚生労働省の通知(保医発0305第7号、令和8年3月5日)の別添1 第2の7に書かれています。この通知の本文と届出様式を、水に関わる語で全文検索すると、「煮沸」「水道水」「給水」「ユニットウォーター」「貯水槽」「レジオネラ」のどれも1件も出てきません。歯科点数表の通知でも同じ結果です。
つまり、施設基準の届出を出していることと、院内の水をどう管理しているかは、制度の上では別の話です。施設基準に沿って届出の書類を整えても、水の手順はどこにも求められていません。水の手順は届出とは別に院内の手順書にまとめるもの、と分けておけば、どこに書くかで迷わずに済みます。
届出様式に書くのは4つ(滅菌の体制・1日平均患者数・機器の保有数・研修の受講歴)
届出に使う様式(別添7 様式2の6)で記入する項目は、次の4つです。どれも水とは別の項目です。
- 滅菌の体制:診療室内に設置した滅菌器を使用/中央滅菌部門(病院に限る)/外部の業者において滅菌
- 1日平均患者数(歯科訪問診療の患者を含む)
- 保有する機器:歯科用ハンドピースの保有数と、歯科用ユニットの保有数
- 常勤歯科医師の研修の受講歴(4年以内の受講)
施設基準の6項目は、滅菌と研修と掲示のこと
施設基準そのものは6項目です。口腔内で使う歯科医療機器等の、患者ごとの交換や専用の機器を用いた洗浄・滅菌処理の徹底。感染症の患者さんに対する診療の体制。常勤の歯科医師の研修(4年に1回以上、受講を確認できるものを保管)。職員を対象とした院内研修。院内感染防止対策を実施している旨の院内掲示。その掲示事項の、原則としてのウェブサイトへの掲載。
中心にあるのは、器具の処理と、人の研修と、患者さんへの掲示です。届出には実績を要しないことも、通知に明記されています。点数との関係は、別の記事「届出がないと初診料272点→245点」にまとめています。
では、水の手順は何を根拠に決めるのか
施設基準に水の項目がないので、院内の水の手順は、ほかの根拠から組み立てます。根拠にできるのは次の4つです。
- ユニットのメーカーの取扱説明書:通水、ラインの洗浄と消毒、部品の交換の指示
- 院内の取り決め:誰が、いつ、どの蛇口とチェアを流し、何を記録するか
- 建物の給水の管理:受水槽のあるビルなら、槽の清掃と検査は設置者の側の管理
- 水道事業者と保健所の案内:断水や濁水のときの動き
海外の指針を参考にする場合
米国の食品医薬品局(FDA)は、患者ごとに水と空気のラインを最低20〜30秒流すことを示しています。これは米国の指針で、日本の制度の定めではありません。手順書に取り入れる場合は、出どころを添えて院内の取り決めとして書きます。
朝と患者ごとの通水を、手順として書ける形にする
通水の手順は、いつ、どこを、どれだけ、誰が、の4つを決めれば書けます。流す時間は、ユニットのメーカーの指示があればそれに合わせ、指示がない部分は院内で決めた長さを書きます。休診日明けは止まっていた時間が長いので、平常日の朝と分けて書いておくと迷いません。
書き方の例は次のとおりです。「毎朝の診療前に、担当の衛生士が全チェアの注水とコップ給水を、メーカーの取扱説明書の指示どおりに流す。休診日明けは、あわせて院内の全蛇口を流す。流した時刻と担当を記録表に書く」。秒数の出どころと考え方は「朝と休診日明けのフラッシングは何分か」でくわしく扱っています。
断水・濁水のときの手順
水道法に定められているのは、水道事業者による給水の緊急停止と、その水を使うことが危険である旨の周知です(水道法第23条)。断水や濁水のときの判断は、水道事業者と保健所の案内に従い、院内の手順書には、その案内をどこで確かめ、誰が何を止め、復旧したらどこを流すかを書いておきます。
自治体の案内は、濁った水は透明になるまで流してから使う、という形が中心です。止まったときの院内の決めごとと、復旧したあとに流す範囲は「断水と濁水のとき、診療をどうするか」に並べました。
記録として残すもの
水の記録は、手順を実際に行ったことを後から確かめられる形で残します。1枚の表にまとめると、担当が替わっても続きます。
| 記録 | 頻度 | 書くこと |
|---|---|---|
| 朝の通水 | 毎診療日 | 時刻・担当・流したチェアと蛇口 |
| 休診日明けの通水 | 休診日明けごと | 時刻・担当・水の色やにおいの様子 |
| ラインの洗浄と消毒 | メーカーの指示の間隔 | 日付・使った薬剤・担当 |
| 部品の交換 | 交換のたび | 日付・部品・外した部品の内側の様子 |
| 断水・濁水 | 起きたとき | 時刻・止めたこと・復旧後に流した範囲 |
元栓に UFB DUAL® を付けた場合に、手順書のどこが書き換わるか
当社が扱う UFB DUAL® を水道の元栓に取り付けた場合、手順書で書き換わるのは、院内の設備の一覧に1行が加わるところだけです。電源、動力、薬剤を使わず、可動部と消耗品がないので、保守点検や部品交換の記録の行は増えません。保守の対象として台帳に登録し、予定を管理する事務も生じません。
通水の手順は、そのまま残します。減水率は約5%で、水圧と水量をほぼ保つので、朝に流す量も時間もいまと同じ書き方で足ります。変わるのは、院内に流れる水そのものが、汚れが剥がれやすく付きにくい性質になることです。手順が受け持つ汚れの量が小さくなる、という位置づけで設備の欄に書き加えます。保証は計10年(メーカー保証2年と筆頭正規特約店 株式会社ライヴスの延長保証8年)です。
よくあるご質問
施設基準の届出に、水の管理は書く必要がありますか
届出様式の記入項目は、滅菌の体制、1日平均患者数、機器の保有数、研修の受講歴の4つで、水の欄はありません。水の手順は、院内の手順書に書いておくものです。
水の手順は何を根拠に書けばよいですか
ユニットのメーカーの取扱説明書の指示と、院内の取り決めが根拠になります。断水や濁水のときは、水道事業者と保健所の案内に従います。
患者ごとの通水は何秒と書けばよいですか
日本の施設基準に秒数の定めはありません。米国の FDA は20〜30秒を示しているので、参考にする場合は出どころを添えて、院内の取り決めとして書きます。
水の記録は何を残せばよいですか
朝と休診日明けの通水、ラインの洗浄と消毒、部品の交換、断水や濁水のときの対応です。時刻と担当を書く表を1枚用意すれば続けられます。
元栓に UFB DUAL® を付けると、記録は増えますか
増えません。UFB DUAL® は可動部と消耗品がないので、保守点検や部品交換の記録は要りません。設備の一覧に1行加えるだけです。
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