「錆の性質を変える」とは、何をしているのか

「錆の性質を変える」とは、何をしているのか

この記事の結論

「錆の性質を変える」とは、配管の中の錆を溶かしたり削ったりするのではなく、これから育つ錆を、もろく剥がれて赤水になる赤錆から、緻密で金属に密着する黒錆(マグネタイト)の側へ変えていくことです。黒錆は水と鉄のあいだの膜として残るので、腐食が深く進みにくくなります。

この目的に使われる方式には、薬剤、磁気、電気、セラミックスの流動、内面を樹脂で覆う工法などがあります。どれを選ぶ場合も、飲料水の系統に使ってよいかと、導入前後の鉄分をどう測るかの2つを確かめます。

配管の延命をうたう機器の説明を読んで、何をしているのか腑に落ちないという設備のご担当者さま・管理組合の理事さま・オーナーさまに向けて、方式を並べて整理しました。

目次

鉄が錆びるというのは、鉄が電子を手放すことです

鉄が水と酸素に触れると、鉄の側から電子が出ていきます。出た先で水と酸素が受け取り、鉄はイオンになって水に溶け出します。これが腐食です。

この反応は、金属の表面で場所ごとに進みます。電子が出ていく側と受け取る側ができて、その間に電位の差が生まれます。錆の話が電気の言葉で語られるのは、このためです。

錆に働きかける方法は、薬剤で表面に膜を作る、電気で表面の状態を変える、錆の育ち方そのものを変える、といった形をとります。

赤錆と黒錆で、体積と溶けやすさが違う

溶け出した鉄が水中の酸素とすぐに結びつくと、水酸化物やオキシ水酸化物になります。これが赤錆です。かさばってもろく、水に溶け出し、剥がれた面をまた水と酸素にさらします。

同じ鉄でも、酸素が届きにくい条件では、緻密なマグネタイトが育ちます。これが黒錆です。赤錆より体積が小さく、水に溶けず、金属の面に密着して残ります。

腐食が進みにくくなるのは、この膜が水と鉄のあいだに入るからです。錆をなくすのではなく、錆の種類を変えて膜にする、という考え方です。

黒錆が育ちやすい条件と、変化に月の単位がかかる理由

黒錆(マグネタイト)は、酸素が届きにくい条件で育つ錆です。放っておけば赤錆の側に傾く給水管の中で、育つ錆を黒錆の側へ寄せていくのが、延命と呼ばれる方式の狙いです。

変化が月の単位でしか進まないのも、ここから来ています。すでに付いている錆を溶かす作用ではなく、これから育つ錆の側に働くからです。

くわしいご案内給水管の赤水・赤錆対策|更新・更生・延命の3つを費用と工期で比べる

方式は1つではありません

どれが優れているかという並べ方はしません。相手にするものと、続く費用と、確かめ方が違うだけです。自分の建物の条件に合うかどうかで選びます。

方式 何をしているか 確かめるところ
薬剤(防錆剤・分散剤) 水に薬剤を入れて、金属の表面に膜を作る 薬剤費と水質管理が続くこと。飲料水の系統で使える薬剤か
磁気・電磁 磁場をかけて、結晶のでき方に働きかける 効き方が流速や条件に左右されないか
電気(外部電源) 電源から電位を与える 電源と制御が要ること。電気代と点検
セラミックスの流動層 水の流れでセラミックスを動かし、水と触れさせる 働く水質の範囲。電源・薬剤が要らない構造か
内面を覆う工法(更生) 錆と水のあいだに樹脂の層を入れる 削る分の肉厚が残っているか。保証の年数と対象

emiiR® がしていること

当社が扱う emiiR®(エミール)は、ステンレスの筒の中に粒径の違う特殊セラミックスを詰めた装置です。装置の下から水を通すと、水流でセラミックスが流動し、水と接触しながら動き続けます。

この筒を通った水が流れる配管の中で、育つ錆がもろい赤錆から安定した黒錆(マグネタイト)へ変わっていき、膜として面に残ります。水に何かを足す装置でも、成分を抜く装置でもありません。

電源も配線も要りません。セラミックス同士がぶつかって自浄するので、消耗品の交換もありません。保証は設置後10年で、10年後に検査を受けるとさらに10年、最長20年になります。

どの方式でも共通して確かめる2つ

1つめは、飲料水に使ってよいものかです。給水の系統に入れる機器なら、水圧に耐えるか(耐圧性能)と、水に有害な物質が出ないか(浸出性能)が確かめられているかを、登録番号で引いて読みます。認証は効果を認めたものではないので、そこは分けて考えます。

2つめは、効果の測り方です。導入前の数値が無ければ、あとから確かめる方法がありません。鉄、濁度、色度を、決めた場所と時刻で測っておくことが、いちばん確かな確かめ方です。

水質によって変わること

セラミックスの流動を使う emiiR® は、中性からアルカリ性の水で働きます。強酸性の水では働きません。温泉の泉質のように低いpHの水は対象外です。

相手にするのは鉄の面です。樹脂管や銅管が主体の建物では、働く面そのものがありません。赤水が出ているのに鉄の管が見つからないときは、受水槽の中や、改修で残った鉄系の系統を先に確かめてください。

この2つの条件に当てはまらない建物では、別の手を選ぶことになります。どの方式でも、条件に合うかを先に確かめてから金額の話に進むほうが早いです。

よくあるご質問

磁気を使う方式と、何が違うのですか

磁場をかけるのではなく、水の流れでセラミックスを動かし、水と触れさせる方式です。電源が要らない点は同じで、違うのは働きの作り方と、働く水質の範囲です。どの方式でも、導入前の数値を測っておくことが確かめ方になります。

電気は要りますか

要りません。動かしているのは通る水の流れそのものです。電源も配線も無く、可動する部品もないので、電気代と点検の費用が増えません。

水に薬剤が入りますか

入りません。水に何かを注入する装置ではなく、成分を取り除く浄水器でもありません。水中のミネラルはそのままで、析出や付着の振る舞いが変わります。

効果はいつ分かりますか

月の単位で見ます。導入前、3か月、6か月、12か月と同じ条件で測ると、経過として読めます。給水系の測定例では、鉄分が設置前の約1mg/Lから1年後に約0.05mg/Lまで下がりました。

どんな水でも効くのですか

中性からアルカリ性の水で働きます。強酸性の水では働きません。相手にするのは鉄の面なので、樹脂管や銅管が主体の建物では働く面がありません。

アリージェンス合同会社 代表 沼倉孝秀

沼倉 孝秀(ぬまくら たかひで)

アリージェンス合同会社 CEO。UFB DUAL®・emiiR®(エミール)・α-HT® の正規一次販売店として、製品の選定から設置、設置後の窓口までを担当しています。

アリージェンス合同会社

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