等級が落ちる原因を、栽培の後ろから見る

等級が落ちる原因を、栽培の後ろから見る

この記事の結論

等級が落ちる原因は、出荷調製から育苗へさかのぼると、どの工程で入ったばらつきかで分けられます。泥や付着物のように出荷前の洗いで取り返せるものと、苗の大きさの差のように後から取り返せないものがあります。

単価を上げるには、苗の揃い、収穫基準の統一、出荷前の洗いの順に見直します。この順番は、かかる費用の小さい順でもあります。

収量は取れているのに、規格外と下位等級が多くて手取りが伸びない。どの段階でばらつきが入るのかを工程順に並べ、取り返せる場所と取り返せない場所を分けました。

目次

等級を決めている項目

ご存じのとおり、出荷規格は産地と品目ごとに違いますが、見られる項目は大きさ、形、色、傷、汚れでおおむね共通しています。

このうち大きさと形は、生育の段階でほぼ決まります。色は収穫の時期と貯蔵の条件、傷と汚れは収穫と出荷調製の扱いで変わります。つまり、手を入れられる段階が項目ごとに違います。

産地の規格書を手元に置いて、自分の出荷分がどの項目で落ちているかを数えるところから始めます。落ちた理由の内訳が分かると、手を入れる段階が決まります。

同じ圃場でも、出荷の時期によって落ちる項目が変わります。時期ごとに分けて数えると、原因の見当が付きます。

ばらつきは、どの段階で入るか

工程を4つに分けて、どこで入ったばらつきが最後まで残るのかを見ます。育苗で入った差は、その後どれだけ手をかけても縮みません。逆に、汚れは出荷前に落とせます。

段階 ここで入るばらつき 後の工程で取り返せるか
育苗 苗の大きさ・根の量 取り返せない
生育 株ごとの大きさ・形・草勢 ほとんど取り返せない
収穫 熟度の幅・折れ・打ち傷 取り返せない
出荷調製 泥・付着物・切り口の色・結束の乱れ 取り返せる

苗の揃いが、最後まで残る

定植のときの苗の大きさの差は、収穫のときには広がって表れます。大きい株が光と養分を先に取るため、小さい株は追いつけません。

育苗は面積が小さいぶん、水の条件に手を入れやすい段階です。かん水のムラを減らし、発根の条件をそろえると、定植の時点での幅が狭くなります。苗の生育が揃いやすくなることは、圃場の段取りを立てやすくすることにもつながります。

専用の給水設備がある育苗の場では、水の条件をそろえるところから始められます。苗全体に均一に届き、比べる試験もしやすい環境です。

育苗を外部から買っている場合も、届いた苗の大きさを測って記録してください。年ごとの差が分かると、定植後の管理の組み方が変わります。

くわしいご案内同じ面積と同じ人数で、収量を上げる|かん水の水を変えた圃場で起きたこと

収穫時期の判断がそろわないとき

収穫は人が判断します。人が変わると基準が変わり、熟度の幅が広がります。写真を貼った基準を作業場に置くだけで、下位等級に落ちる分が変わります。

生育が早い株と遅い株が混ざっていると、1回で収穫できません。収穫の回数が増え、人手も増えます。苗の揃いは、単価だけでなく作業の量にも影響します。

基準を作るときは、上位等級に入ったものと落ちたものを並べて写真を撮ります。言葉で説明するより早く伝わり、人が増えても基準が変わりません。

出荷前の洗浄と、切り口の色

泥と付着物は、落ちるかどうかで等級が変わります。ウルトラファインバブル(直径1マイクロメートル未満の泡)を含む水では、マイナスに帯電した泡が汚れに吸着して付着力を弱め、水流で離れやすくなります。細いすじや葉の重なりにも入り込みます。

切り口の色も等級に出ます。出荷までの時間が長い品目では、褐変と酸化の進み方が、届いたときの見た目を左右します。カット野菜と果汁では、この2つが抑えられることが報告されています。

泥が落ちやすくなれば、洗浄の回数と水量を組み替える検討材料にもなります。同じきれいさに届くまでの手間が変わるためです。

洗い場の水の量も見ておきます。同じきれいさに届くまでに使った水と時間を書き留めておくと、変えたときの差が読めます。

単価を上げるために見直す順番

1番目は苗の揃いです。苗がそろうと、大きさ・形・収穫の回数もそろいやすくなります。2番目は収穫の基準をそろえること。人の判断を紙に落とすだけで済みます。

3番目が出荷前の洗浄と扱いです。汚れと傷による格落ちは、この工程で減らせる余地があります。4番目に、生育中の環境制御と施肥の微調整が来ます。

この順番は、費用の小さい順でもあります。設備を増やす前に、揃えることと落とすことから見てください。

そのうえで、等級の内訳を毎作記録します。数字が残っていれば、翌作でどこに手を入れるかを迷わずに決められます。

よくあるご質問

等級を上げるのに、いちばん効果が大きいのはどこですか

苗の揃いです。定植時の差は収穫時に広がるため、後の工程で取り返せません。育苗は面積が小さく、かん水の条件をそろえやすい場所でもあります。

洗い場の水の出方は変わりますか

ほとんど変わりません。UFB DUAL® の減水率は約5%で、いまのホースやノズル、洗い方の手順はそのまま使えます。変わるのは、泥や付着物の離れやすさです。

残留農薬は落ちますか

残留農薬を落とすことを目的にした装置ではありません。見直せるのは、泥や付着物の落ち方と、器具や洗い場の汚れの付き方です。

鮮度が保てるという話の範囲はどこまでですか

カット野菜や果汁で、酵素による褐変と酸化が抑えられることが報告されている範囲です。品目と保管の条件で出方が変わるので、出荷ロットを分けて見比べるのが確かです。

洗い場だけに入れることもできますか

できます。取り付けは元栓一括のほか、洗浄用のラインだけ、加工場だけといった区間を限った設置も選べます。口径は給水管の太さで決まります。

アリージェンス合同会社 代表 沼倉孝秀

沼倉 孝秀(ぬまくら たかひで)

アリージェンス合同会社 CEO。UFB DUAL®・emiiR®(エミール)・α-HT® の正規一次販売店として、製品の選定から設置、設置後の窓口までを担当しています。

アリージェンス合同会社

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