井戸水・工業用水の建物では、冷却塔の水処理はどこまで効くのか

井戸水・工業用水の建物では、冷却塔の水処理はどこまで効くのか
この記事の結論

水の代金が小さいので、水量を減らしても金額の動きは小さくなります。重心は薬剤費・清掃・電気の側に移ります。

ただし下水道使用料は、井戸水の建物にもかかっていることがあります。かかっているなら、そこは効きます。

井戸水や工業用水で冷却塔を回している建物の設備担当・総務の方に向けて、水の単価が小さいときに何が残り、何が小さくなるのかを先に分けました。

目次

水の単価が変わると、話の重心が動きます

冷却塔の水処理の話は、たいてい水量の削減から始まります。自治体が公表している単価例では、上水が1㎥あたり620円という数字があります。ここに下水道の単価が乗るので、水量が減ると金額が大きく動きます。

井戸水と工業用水では、1㎥あたりの単価がこれよりずっと小さくなります。同じ水量を減らしても、金額の側の動きが小さくなります。

つまり、井戸水の建物で「水道代が大きく下がります」という説明を受けたら、前提が合っていません。水の代金は元から小さいので、そこから大きく引くことはできません。話の重心は別のところにあります。

水の代金が小さい建物で、それでも残る3つ

水の単価と関係なく残るものが3つあります。薬剤費、清掃の作業量、そして伝熱面の状態による電気の使用量です。

薬剤費は、水の単価とは無関係に発生します。スケールの分散剤の数量は、循環水量と濃縮の運転で決まります。ここは井戸水でも上水でも同じです。

清掃も同じです。建築物衛生法の対象になる建物では、清掃が1年以内ごとに1回、汚れの点検が1月以内ごとに1回と定められています。この回数は水の種類で変わりません。1回の作業の量を決めているのは付着物の固さで、固着が硬いと工具でこそげ落とす工程が入ります。

電気の側は、伝熱面の状態で動きます。伝熱面に付着が進むと、同じ熱を捨てるのに必要な力が増えます。ここも水の単価とは関係ありません。

費目 水の単価で変わるか 何で決まるか
上水道の代金 変わる(単価が小さいと動きが小さい) 補給水量と単価
下水道使用料 建物によって変わる 汚水量とみなされている水量と単価
薬剤費 変わらない 循環水量と濃縮の運転、薬剤の種類
清掃の作業量 変わらない 付着物の固さと、必要な工程の数
電気の使用量 変わらない 伝熱面の付着の状態と負荷

出典:自治体が公表している単価例(2026-09-27 確認)

下水道使用料は、井戸水の建物にもかかることがあります

ここを見落としている建物があります。上水を使っていないから水道の請求は来ない、という建物でも、下水道に流していれば下水道使用料は発生します。

測り方も確かめてください。多くの自治体が、下水道に流した量を実測せずに、使った水量をそのまま汚水量とみなして計算しています。井戸水を使っている建物では、井戸に付けたメーターの数字が汚水量とみなされる形が一般的です。

ここに冷却塔の蒸発分が紛れ込んでいます。空へ出ていった水は下水道を1滴も通っていないのに、みなしの計算では汚水と同じ扱いになります。申告して認定が下りれば、その水量は計算から抜けます。

引き算の形は、補給した水量から下水道へ出した水量を差し引く、というものです。ブロー水を絞れば差し引く数が小さくなるので、認定される水量はそのぶん伸びます。井戸水の建物でも、この筋では効きます。

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水質そのものの条件

金額の話とは別に、水質そのものの線があります。当社が扱う emiiR®(エミール)が働くのは中性からアルカリ性の範囲で、酸性が強い水では働きません。

井戸水は地域によって性質の幅が大きく、硬度が高い地域では上水より結晶が析出しやすい条件になっていることがあります。鉄やマンガンを多く含む井戸水では、スケールとは別に、析出物と着色の話が入ります。

判定は分析表で付きます。井戸水を使っている建物では、水質検査の記録を残していることが多いので、pHと硬度、鉄とマンガンの値を見せていただければ、条件が合うかどうかをお答えできます。

自分の建物がどれに当たるか、先に分ける

手を打つ前に、3つの書類を並べてください。水道と下水道の請求書、井戸の水量の記録、そして水質検査の記録です。

請求書で見るのは、上水と下水のどちらに、いくらかかっているかです。井戸の記録で見るのは、年間に何㎥汲んでいて、そのうち冷却塔にどれだけ入っているかです。水質検査で見るのは、pHと硬度です。

この3つで、4つのうちどこに当たるかが決まります。上水と下水の両方がかかっている建物、井戸水だが下水道使用料がかかっている建物、井戸水で下水道の対象外の建物、工業用水の建物です。

建物の型 水量を減らして動くもの 先に見る費目
上水と下水の両方がかかっている 上水道の代金と下水道使用料 請求書の2つの行
井戸水だが下水道使用料がかかっている 下水道使用料(減量認定を含む) 汚水量とみなされている水量
井戸水で下水道の対象外 動きは小さい 薬剤費・清掃の工程・電気の使用量
工業用水 単価が小さいので動きは小さい 薬剤費・清掃の工程・電気の使用量

下水道使用料の算定方法は自治体ごとに定められています。

分けたあと、どこから手を付けるか

上水と下水の両方がかかっている建物は、水量の削減から入るのが早いです。捨てているブロー水を絞ると、請求書の2つの行が同時に動きます。

下水道使用料がかかっている井戸水の建物は、減量認定の事前相談から入ります。認定は申告した日から先の分にしか効かないので、動き出しが遅れた期間は戻りません。

水の側で動きが小さい建物は、薬剤費と清掃の工程から数えてください。100RTクラスの冷却塔1台で、薬品費とブロー水関連の合計が約86%減という試算がありますが、この試算は上下水道の料金がかかることを前提にしています。水の代金が小さい建物では、この割合はそのまま当てはまりません。分散剤の数量と清掃の工程の数で、自分の建物の数字を組んでください。

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よくあるご質問

井戸水だけを使っている建物では、水道料金はかかりませんか

上水道の代金はかかりません。ただし下水道に流していれば下水道使用料が発生します。多くの自治体が、井戸に付けたメーターの数字をそのまま汚水量とみなして計算しているので、請求書の内訳を確かめてください。

井戸水でも下水道料金の減量認定は受けられますか

下水道使用料がかかっている建物なら、対象になり得ます。判定の物差しは「下水道へ行ったかどうか」の一点で、汲んだ水が上水か井戸水かではありません。要件と様式は自治体ごとに違うので、管轄の下水道局へ事前に相談してください。

井戸水の水質で、効果が出ないことはありますか

あります。強酸性の水では働きません。鉄やマンガンを多く含む井戸水では、スケールとは別に析出物と着色の話が入ります。pHと硬度、鉄とマンガンの値を含む水質検査の記録を見せていただければ、条件が合うかどうかをお答えできます。

上水と井戸水を併用している建物では、どう考えればよいですか

冷却塔の補給がどちらの系統につながっているかで変わります。上水側につながっているなら、水量の削減がそのまま代金に効きます。井戸側なら、下水道の扱いと薬剤費・清掃の側から数えます。系統図で先に確かめてください。

工業用水の工場では、何を見ればよいですか

薬剤費と清掃の工程、そして伝熱面の状態による電気の使用量です。この3つは水の単価と関係なく発生します。分散剤の納品書の数量と、去年の清掃の工程、空調の電気の使用量を並べるところから始めてください。

アリージェンス合同会社 代表 沼倉孝秀

沼倉 孝秀(ぬまくら たかひで)

アリージェンス合同会社 CEO。UFB DUAL®・emiiR®(エミール)・α-HT® の正規一次販売店として、製品の選定から設置、設置後の窓口までを担当しています。

アリージェンス合同会社

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