この記事の結論
水道水のスケールの出方をいちばん大きく左右するのは、水に溶けているカルシウムとマグネシウムの量(硬度)です。硬度は水源の違いで地域ごとに差があり、同じ設備でも硬度の高い地域ほど速く厚く付きます。
ほかに、水を温める温度や、冷却塔で蒸発して濃くなる度合い、pHでも出方は変わります。自分の地域の硬度は、水道事業者が公表している水質検査の結果の「硬度」の行で確かめられます。
同じ機器を使っているのに、ある拠点だけスケールが多いと感じている施設の担当の方に向けて、水の硬さの見方と、自分の地域の数字の確かめ方をまとめました。
同じ設備でも、地域によって出方が違う
複数の拠点で同じ給湯器や同じ冷却塔を使っていると、拠点によって白い層の付き方がまるで違う、ということが起きます。機器の差でも使い方の差でもなく、入ってくる水の違いであることがほとんどです。
水道水は、川の水、ダムの水、地下水など、その地域の水源から作られています。水が地層を通ってきた時間や、通ってきた岩の種類で、溶けているカルシウムとマグネシウムの量が変わります。地下水を多く使う地域ほど、多く溶けている傾向があります。
水道の水質は基準を満たしていても、その範囲の中で硬さに差があります。スケールの出方の差は、この範囲の中の差から生まれます。
硬度という数字で見る
硬度は、水に溶けているカルシウムとマグネシウムの量を、炭酸カルシウムに換算してmg/Lで表した数字です。数字が大きいほど硬い水で、スケールの元が多く入っています。
水道水の硬度は、水質基準に関する省令で300mg/L以下と定められています。これとは別に、水の味などの観点から目標として10mg/L以上100mg/L以下という値も示されています。基準の300mg/Lは上限で、実際の水道水はそれより低いところに分布しています。
設備の側で見るときは、基準に収まっているかより、同じ基準の中で自分の水がどのあたりにあるかを見ます。
| 項目 | 値 | 見方 |
|---|---|---|
| 硬度の水質基準 | 300mg/L以下 | 水道水として守られている上限 |
| 硬度の目標値 | 10mg/L以上100mg/L以下 | 味などの観点から示された範囲 |
| 自分の水の硬度 | 水質検査の結果で確認 | 数字が大きいほどスケールの元が多い |
井戸水を使っている場合
井戸水は、水道水よりも硬度が高いことが多い水です。地中に長くとどまるあいだに、岩からカルシウムやマグネシウムを多く溶かし込むためです。井戸によって数字は大きく違い、同じ敷地でも深さで変わります。
井戸水には、水道事業者の検査の結果がありません。自分で検査を頼まないと、数字が手元にない状態です。井戸水を設備に使っているなら、硬度とpHと鉄分を含む検査を一度頼んでおくと、スケールや赤錆の話を数字で進められます。
水道水と井戸水を切り替えて使っている建物では、どの設備にどちらの水が入っているかを配管図で確かめておきます。
自分の水の硬度を知る方法(水道事業者の水質検査結果)
水道事業者は、水質検査の計画と結果を公表しています。お住まいの市町村や水道企業団のホームページで「水質検査結果」を探すと、浄水場ごと、または給水区域ごとの数字が載っています。
表の中で見るのは「カルシウム、マグネシウム等(硬度)」の行です。あわせて「pH値」と「蒸発残留物」の行も見ておくと、水の性質がつかめます。蒸発残留物は、水を蒸発させたあとに残るものの量で、スケールの元になる成分全体の目安になります。
同じ市内でも、浄水場ごとに数字が違うことがあります。建物がどの浄水場から給水されているかも、給水区域の地図で確かめてください。
拠点がいくつもある会社なら、拠点ごとの硬度を1枚の表に並べておくと便利です。スケールで困っている拠点と数字の高い拠点が重なっていれば、機器の不具合を疑う前に水から手を打つ、という判断ができます。
硬い水の設備で、先に手を打っておくこと
硬度が高い地域の設備では、同じ清掃の周期でも、次の清掃までに付く量が多くなります。清掃の周期を、機器の説明書どおりではなく、自分の水の硬さに合わせて見直しておくと、効率が落ちきる前に手を入れられます。
もう1つは、付き方そのものを変える手です。当社が扱う emiiR®(エミール)は、硬度の成分を水から取り除かずに、壁に硬く固着しにくい状態にする装置で、電源も薬剤も使いません。働くのは水が中性〜アルカリ性のときで、水道水はこの範囲に入ります。
建物の給水元に付ければ、その先の給水・給湯の系統全体が対象になります。水質検査の結果の硬度とpH、給水管の口径をお知らせいただければ、合う型式をお出しします。
よくあるご質問
硬度が高い水は、飲んでも問題ありませんか
水道水であれば問題ありません。水道水は、硬度を含めて水質基準を満たしたうえで届いています。硬度が高いと味の感じ方が変わることはありますが、設備で問題になるのはスケールの付きやすさのほうです。
硬度は季節で変わりますか
水源の水量や、浄水場で混ぜる水源の割合によって変わることがあります。水質検査の結果は年に何回か公表されるので、並べて見ると変動の幅が分かります。
硬度が低い地域なら、スケール対策は要りませんか
要る場合があります。硬度が低くても、水を温める設備や、蒸発で濃くなる冷却塔では成分が集まって付きます。付く速さが遅いだけで、ゼロにはなりません。
建物の給水元に付けると、どこまでが対象になりますか
給水元より先の給水・給湯の系統全体が対象になります。トイレの給水元に付ければ、そのトイレの系統だけが対象です。守りたい範囲から付ける場所を決めます。
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