この記事の結論
スケール対策の水処理装置は、薬剤を入れ続けて抑える方式と、薬剤を使わずに水の性質を変える方式のどちらかから選びます。薬剤の方式は長く使われてきて効き方を濃度で確かめやすいものの、薬剤費が毎年かかります。水の性質を変える方式は薬剤費や電気代がかからず、効果が出るのは中性〜アルカリ性の水です。
どちらを選んでも殺藻剤は続くので、比べるときは、効果が出る水質・電源・消耗品・認証・保証・導入前に試せるかの6つを並べると、自分の設備に合うほうが決まります。
スケール対策の水処理装置を比べていて、何を物差しに選べばよいか迷っている設備担当・購買の方に向けて、選ぶ軸を6つにまとめました。
水処理装置は、大きく2つの考え方に分かれる
スケールを付かなくする水処理装置は、水に何かを足して抑えるか、水に何も足さずに性質を変えるかで分かれます。前者の代表が薬注装置、後者が物理的水処理の装置です。
どちらが上ということではなく、得意な設備が違います。比べる前に、自分の設備で何を減らしたいのか、薬剤費なのか、捨てる水なのか、清掃の手間なのかを決めておくと、選ぶ軸がぶれません。
薬剤で抑える方式|効き方が分かりやすく、薬剤費が毎年かかる
薬剤で抑える方式は、防止剤を決まった濃度で入れ続けます。濃度を測れば効いているかどうかが分かり、長く使われてきた実績があります。
買った薬剤は、捨てる水に混じって系統の外へ出ていきます。冷却塔を回すほど薬剤の在庫は減り、発注・受け入れ・タンクへの補充という事務と作業が、年間を通して定期的に発生します。
水の性質を変える方式|毎年の費用がかからず、効果が出る水質に条件がある
水の性質を変える方式は、成分を取り除かずに、スケールの成分が固着しにくい状態にします。当社が扱う emiiR®(エミール)もこちらで、電源も薬剤も使わず、交換する部品もありません。
条件は水質です。emiiR® が働くのは水が中性〜アルカリ性のときで、強い酸性の水では効果が出ません。また、既に付いている硬い層は時間をかけて脆くなっていくので、変化が見えるまでに一定の期間がかかります。
どちらを選んでも、藻を抑える薬剤は残る
ご存じのとおり、冷却塔の水は日光と空気に触れて藻やバイオフィルムが育ちます。これを抑えているのが殺藻剤で、スケールとは相手が違います。薬注装置の防止剤を増やしても、物理的水処理の装置に替えても、藻の話は残ります。
レジオネラ対策の基本は、菌の温床になるバイオフィルムを抑えることです。emiiR® はバイオフィルムが付きにくい状態を後押ししますが、殺菌・消毒は殺藻剤と衛生管理で行う前提です。
薬剤費は小さくなっても、0円にはならない
薬剤を使わない方式を導入したときに減るのは、スケールを抑える防止剤と分散剤の分です。殺藻剤は続き、防食剤は配管の材質と水質で扱いを決めます。薬剤の行は小さくなりますが、0円にはなりません。
比べるときは、いまの薬剤費を3つの内訳に分けてから、どの内訳が消えて、どの内訳が残るかを書き出してください。その差が、方式を替えたときに下がる金額です。
選ぶときに見る6つ
方式の名前ではなく、次の6つを横に並べて比べます。売り手に同じ6つを聞けば、答えの有無そのものが判断の材料になります。
| 見るもの | 確かめること | emiiR® の場合 |
|---|---|---|
| 効く水質 | どのpH・硬度で働くか | 中性〜アルカリ性 |
| 電源 | 電気が要るか、停電でどうなるか | 不要 |
| 消耗品 | 毎年買い足すもの・交換部品 | なし(殺藻剤は別に続く) |
| 認証 | 何を確かめた認証か | 給水系統向け型式がJWWA認証Z-372(耐圧・浸出) |
| 保証 | 何年で、誰が出すか | 設置後10年。10年後の検査でさらに10年 |
| 試せるか | 導入前に確かめる方法 | 冷却塔は3か月の無償デモ |
スケールが付きにくくなると、捨てる水も減る
冷却塔では、スケールが付く濃さの手前で水を捨てて薄めています。捨てる量を決めているのは濃縮の上限です。スケールが付きにくくなれば上限を上げられ、捨てる水と補給する水が一緒に減ります。
捨てる水を絞ると、補給する水と下水道へ流す水が同じだけ減ります。蒸発分を下水道使用料から外す減量認定を受けている建物でも、請求に残るのは下水道へ流した分なので、その分の料金が下がります。方式を比べるときは、薬剤費と並べて水の費目も見てください。
元に戻せるようにしておく(バイパスでの取り付け)
新しい方式を導入するときにいちばん気になるのは、うまくいかなかったときにどうなるかです。emiiR® は元の配管にバルブ付きのバイパスを組んで取り付けるので、弁を切り替えれば元の流れに戻せます。
薬剤も、一度に止めずに段階的に下げます。数字が思わしくなければ、薬剤の量を元に戻せます。元に戻せる進め方なので、決裁の場でうまくいかなかったときの説明がつけやすくなります。
決める順番(測る → 3か月試す → 決める)
まず、いまの数字を測ります。薬剤の使用量、補給水量とブロー水量、電気伝導率、伝熱面の付着の状態です。次に、冷却塔なら3か月の無償デモで実機にデモ機を付け、同じ数字を取ります。最後に、前後の数字を並べて決めます。
導入を決めたあとの支払いは、買い切りと、初期費用をいただかずに削減できた額の一部をお支払いいただく成果報酬型から選べます。冷却能力・循環水量・運転時間の3つをお送りいただければ、デモの準備を始められます。
よくあるご質問
薬注装置と物理的水処理は、併用できますか
併用できます。物理的水処理の装置を付けたあと、防止剤の量を段階的に下げていく進め方が一般的です。殺藻剤は続けます。
井戸水の冷却塔でも選び方は同じですか
6つの軸は同じです。井戸水は硬度やpHの幅が広いので、効果が出る水質の軸を先に確かめます。また水道料金がかからない分、下がる費目の内訳が変わります。
価格はどちらが安いですか
何年で比べるかで変わります。薬注は初期費用が小さく毎年の薬剤費が続き、emiiR® は初期にまとまった額がかかる一方、装置の維持費はかかりません。投資回収は、個別の試算の前の目安として約2〜3年です。いまの薬剤費と水の費目を出したうえで、お見積もりをお出しします。
効果が出なかったときは、元に戻せますか
戻せます。バルブ付きのバイパスで取り付けるので、弁を切り替えれば元の配管の流れに戻ります。薬剤も段階的に下げるので、数字を見ながら元の量に戻すことができます。
デモの申し込みには何が要りますか
冷却塔の冷却能力(RT)、循環水量、年間の運転時間の3つです。水質検査表があれば、pHや電気伝導率などの数値もあわせてお知らせください。
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