この記事の結論
無電源の水処理装置は、配管を流れる水の勢いだけで中のセラミックスの玉を動かし、スケールが固着しにくい状態にする装置です。電気で動かす部品が1つもないので、電源工事が要らず、停電で止まることも制御盤が故障することもありません。
スケールを抑える薬剤のタンクとポンプも減らせます(殺藻剤は続けます)。装置そのものに電気代や部品代はかかりませんが、冷却塔の用途では、冷却水の水質を確かめる保守点検のサービスを別に用意しています。
設備を増やすたびに点検と故障の対応が増えていく、と感じている設備管理の方に向けて、電源を使わない水処理装置を「止まるものが無い」という運用の面から説明します。
電源が要らないのは、動かす部品が無いから
水処理の装置には、ポンプで薬剤を送るもの、電極に電気を流すもの、磁石やコイルを使うものなど、いろいろな作りがあります。電気を使う装置では、電気で何かを動かしたり、働かせたりしています。
emiiR®(エミール)には、電気で動かす部品がありません。ステンレスの筒と、その中のセラミックスの玉だけでできています。働いているのは玉と水で、玉を動かす力は外から持ち込まず、配管の水の流れから借りています。
水の流れそのものが、玉を流動させている
筒は、水が下から入って上へ抜けるように配管へ組み込みます。下から押し上げる水の勢いで、中の玉が浮き上がり、筒の中を動き回ります。水が止まれば玉も沈んで止まり、流れ出せばまた動き出します。
水が流れているときにだけ働き、流れていないときには何もしない装置です。水を使った分だけ処理され、使わないあいだに何かを消費することもありません。
必要な流速の目安
玉を持ち上げ続けるには、筒の断面を水が秒速10〜12cmほどで上がっていく必要があります。これより遅いと玉は底で休んだままになり、速すぎると上のほうへ押し付けられて動きが鈍ります。
この速さが出るように、通る水の量から筒の太さと型式を決めます。冷却塔なら冷却水の循環水量、給水なら配管の口径と使う水の量が、決める材料になります。流量が季節で変わる設備には、大小2種類の玉を混ぜて少ない流量でも動くようにした型式を使います。
電源が無いと、何が起きなくなるか
電源を使わないことは、電気代の節約として受け取られがちですが、違いが大きく出るのは運用の面です。電気を使う装置にはついて回る、次の3つがなくなります。
停電で止まらない
停電や瞬時の電圧低下で装置が止まり、復電のあとに手で立ち上げ直す、という手間がありません。水が流れていれば働き、非常用電源の割り当てを考える必要もありません。
制御盤が壊れない
基板や表示部、リレーといった電気の部品は、年数とともに故障が出てきます。部品の供給が終わると装置ごと入れ替えることもあります。emiiR® にはその部品がないので、この種の故障が起きません。
電気工事が要らない
取り付けは配管のつなぎ込みだけです。電源を引く工事、配線の経路、分電盤の空きを確かめる必要がありません。電気室から遠い場所や、屋外の配管にも組み込めます。
薬剤タンクとポンプが要らないということ
冷却水を薬剤で管理している設備には、薬剤のタンクと薬注ポンプが置かれています。薬剤の補充、ポンプの点検、濃度の確認が、定期的な作業として続きます。タンクが空になれば管理が途切れます。
emiiR® は水に何も足さないので、スケールを抑える薬剤のタンクとポンプを減らせます。藻とバイオフィルムを抑える殺藻剤は続けるので、薬注の設備がすべてなくなるわけではありません。受け持つ薬剤が減る分、補充と点検の手間が軽くなります。
置き場所の条件
置き場所に求められるのは、電源ではなく配管の条件です。筒の下から上へ水が抜けるように組むので、筒を立てて置ける場所が要ります。冷却塔なら戻り配管、給水なら建物やトイレの給水元のように、守りたい範囲の手前に置きます。
取り付けは、元の配管にバルブ付きのバイパスを組んで行うのが基本です。弁を切り替えれば、装置を通す流れと通さない流れを選べます。のぞき穴から玉の動きを確かめられるよう、人が近づける位置にします。
給水系統に使う型式は、日本水道協会の認証Z-372を受けています。認証が確かめているのは、水圧に耐えることと、水に有害な物質が溶け出さないことで、飲み水の配管に組み込める装置であることの確認です。
毎年の費用が立たない構造
電気を使わず、薬剤も足さず、交換する部品もない。この3つがそろうので、導入後に装置のために毎年かかる費用がありません。点検の予定に載せるのは、のぞき穴から玉の動きを見ることくらいです。
冷却塔の用途では、水質と運転条件を確かめる保守点検のサービスを別に用意しています。装置の手入れではなく、冷却水の状態を見るためのものです。
製品の保証期間の中で、この装置のために部品の交換や買い替えの年を別に取っておく必要はありません。設備の更新計画に載せるのは、配管そのものの更新の時期だけで済みます。
よくあるご質問
水が流れていないときは、どうなりますか
玉が沈んで止まります。水が流れ出せばまた動き出すので、止まっているあいだに何かが劣化したり、立ち上げ直しが要ったりすることはありません。
屋外の配管にも付けられますか
電源が要らないので、屋外の配管にも組み込めます。凍結のおそれがある場所では、ほかの配管と同じように保温を考えます。
電源を使う方式と比べて、効果は劣りませんか
電源の有無で効果の優劣は決まりません。方式によって働き方が違うためです。emiiR® は、流量が変わっても玉が動くように大小の玉を混ぜ、処理のむらを減らす作りを特許として登録しています。
点検では何をしますか
のぞき穴から、玉が動いているかを見ます。冷却塔の用途では、冷却水の水質と運転条件を確かめる保守点検のサービスを別に用意しています。
ボイラーの給水にも使えますか
設備ごとに確かめてからのご案内になります。ボイラーの給水は軟水器と薬注で管理するのが一般的で、emiiR® の主な用途は、空調用の冷却塔、給水管の赤錆、トイレの尿石、給湯設備のスケール対策です。
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