築年数から見た給水管の残り時間

築年数から見た給水管の残り時間

この記事の結論

築年数から分かるのは、どの材質の管が入っている可能性が高いかという見当までで、給水管の残り時間はそれだけでは決まりません。残り時間は、材質に加えて、水質、水が止まっていた時間、流速や継手の状態で変わり、最後は抜管調査や内視鏡で管の中を見て判断します。

赤水や漏水が出ていない段階なら、更新・更生・延命の3つとも選べます。日中も赤水が出る段階になると、調査の結果を見て更生か更新を決めることになります。

長期修繕計画の見直しで給水管をどう扱うか決めたい管理組合の理事さま・オーナーさま・設備のご担当者さまに向けて、築年数という数字の使い方を整理しました。

目次

築年数で分かるのは、材質の見当までです

給水管に使われる材質は、建てられた年代で移り変わってきました。ですから築年数を聞けば、鉄系の管が入っている可能性が高いか、樹脂系で計画された建物かの見当は付きます。

付くのは見当までです。同じ年に建った2棟でも、片方だけ先に赤水が出ることがあります。材質が違えば内面で起きることが違い、材質が同じでも置かれている条件が違います。

自分の建物の材質は、竣工図の給水設備図か、管理会社さまが持っている設備台帳で確かめられます。改修の履歴があれば、どの系統まで替わっているかも一緒に見てください。

出回っている年数は3種類あって、意味が違います

配管の年数の話がかみ合わないのは、由来の違う数字が同じ「何年」として並ぶからです。

  • 税法上の耐用年数:減価償却の計算に使う年数で、使える年数のことではありません
  • 長期修繕計画の修繕周期:計画を組むための目安です。国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインに配管の修繕時期が示されているので、数字は最新版の原本で確かめてください
  • 管の実際の残り:管の中を見て、残っている肉厚と内面の凹凸から判断するもの

総会で使えるのは3つめだけです

1つめと2つめは、いつ検討を始めるかの目印になります。替えるか替えないかの根拠になるのは3つめだけで、ここが無いまま議案を出すと、年数の解釈の議論に時間が流れます。

同じ築年でも残り時間が変わる3つの条件

水質

溶けている成分の量、pH、残留塩素は地域ごとに違います。同じ仕様で建った建物でも、供給されている水が違えば内面の傷み方が変わります。

水が止まっていた時間

止まっている管のほうが、流れている管より先に傷みます。空室へ向かう枝管や季節で使わない系統では、沈んだ粒がその場に積もったままになり、久しぶりの通水でまとめて出てきます。

流速と継手

ポンプの直後や曲がりが続く箇所は、水に削られて先に薄くなります。ねじを切った継手も、切ったところで鉄がむき出しになるため、管の真ん中より先に錆びます。

くわしいご案内給水管の赤水・赤錆対策|更新・更生・延命の3つを費用と工期で比べる

何年目かではなく、どの段階かで選べる手が変わります

残り時間を段階で見ると、選択肢の数がはっきりします。上の段にいるほど選べる手が多く、下の段に行くほど、やることが決まってしまいます。

いまの段階 選べる手の数 先に決めること
赤水も漏水も出ていない 3つとも選べる 給水方式と、給水元の口径
朝いちばんだけ赤い 3つとも選べる。調査を同時に進める 肉厚がどれだけ残っているか
日中も赤い。複数の住戸で出ている 更生か更新。延命はそのあと 調査の結果と、資金がそろう時期
漏水が起きている 更新。系統に順番を付ける どの系統から着手するか

残り時間を数字に変える2つの記録

調査を入れる前でも、手元の記録から見当は付きます。1つは漏水の履歴です。同じ系統に漏水が集まっていれば、そこから手を付ける順番が決まります。

もう1つは水の鉄分です。朝いちばんの水と、しばらく流したあとの水を分けて測ると、管の中に溜まっている量の見当が付きます。測った値を記録しておけば、対策の前後で比べる基準にもなります。

管の中を実際に見る抜管調査と内視鏡は、更生工事が選べるかどうかの判断に直結します。頼み方と結果の読み方は、調査の記事に分けて書いています。

更新の時期を後ろにずらすという選び方

更新が数年先の予定として計画に載っている建物では、決めることが変わります。替えるかどうかを議論するのではなく、その数年をいまの管で通せるかどうかを見ることになります。

当社が扱う emiiR®(エミール)は、給水元に1台だけ付けて、もろい赤錆を安定した黒錆に変えていく装置です。電源も配線も薬剤も要らず、消耗品がないので、毎年の費用がかかりません。保証は設置後10年で、10年後に検査を受けるとさらに10年、最長20年になります。

工事は給水元の1か所で、作業は3時間〜半日程度、水を止めるのは1〜2時間程度です。住戸には立ち入りません。計画への書き込み方は、長期修繕計画の記事に分けています。

よくあるご質問

築何年で更新するものですか

築年数だけでは決まりません。材質を確かめ、管の中を見た結果で決めます。同じ築年でも、鉄系の管の建物と樹脂系の建物では残り時間が違います。

竣工図が見つからないときは、どうしますか

管理会社さまの設備台帳、過去の修繕の見積もりや報告書、メーターまわりやパイプスペースで目に見える管から手がかりを取ります。それでも分からないときは、抜管調査で1本切り取り、材質と肉厚を一度に確かめます。

延命の装置を導入すると、更新は何年ずらせますか

年数はお約束していません。管の状態と水質で変わるためです。判断の材料になるのは、鉄分の測定値と、調査で分かった肉厚の推移です。導入前の数値を記録に残しておくと、あとで比べられます。

空室が多い建物では、何から手を付けますか

使われていない枝管から傷むので、空室へ向かう系統の通水を定期の作業に入れてください。内見の前に水を流しておくだけでも、最初に出る水の色は変わります。

調査はどこに頼めばよいですか

給水装置の工事を手がける水道工事会社や、管理会社さまが使っている設備会社が受けます。受水槽の清掃を頼んでいる先にあわせて聞くのが早いです。お問い合わせのあと、担当からメールでご連絡します。写真をそのメールに添付してご返信いただければ、当社でも型式の見当をお出しできます。

アリージェンス合同会社 代表 沼倉孝秀

沼倉 孝秀(ぬまくら たかひで)

アリージェンス合同会社 CEO。UFB DUAL®・emiiR®(エミール)・α-HT® の正規一次販売店として、製品の選定から設置、設置後の窓口までを担当しています。

アリージェンス合同会社

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