この記事の結論
スケールが内側に付くと、配管の通り道が細くなって流量が落ちます。内径25mmの管に厚さ2mm付くだけで、通れる断面はおよそ7割になります。
詰まり方には、細くなった管がそのまま詰まる場合と、剥がれたスケールの破片が弁や曲がりに引っかかる場合の2つがあります。詰まっている管はまず洗浄などで通し、そのうえでスケールが付く速さを遅くする対策を加えると、次に詰まるまでの期間を延ばせます。
配管の流量が落ちてきた、弁やストレーナーの詰まりが増えたと感じている設備担当の方に向けて、スケールによる詰まりの起き方を2つに分けて説明します。
内側に付くと、通る断面が小さくなる
配管の内側に付いたスケールは、そのまま通り道を狭めます。断面積は内径の2乗に比例するので、厚さの割に流れへの影響が大きく出ます。
内径25mmの管の内側に、ぐるりと2mmの層が付くと、内径は21mmになります。断面積で比べると、(21÷25)の2乗で約0.71、つまり通れる面積がおよそ7割に減ります。層は平らに付くとは限らず、ざらついた面は水の流れをさらに乱します。
細い管ほど、同じ厚さの層で失う割合が大きくなります。枝管や機器につながる細い配管から先に症状が出るのはこのためです。
流量が落ちると、どこに負荷が移るか(ポンプ・熱交換器)
通り道が細くなっても、設備は同じ量の水を回そうとします。ポンプは抵抗の増えた配管に押し込むために、より高い圧力で運転することになり、狙った流量が出なくなります。
流量が落ちた先では、熱交換器が困ります。流れる水が減ると、運べる熱の量が減り、同じ仕事をするのに時間がかかります。伝熱面にも同じスケールが付いていれば、熱の通りの悪さと流量の少なさが重なります。
給水の系統では、末端の蛇口や機器で水の勢いが弱くなります。高い階や遠い系統から先に、出方が変わってきます。
詰まりが出る場所(曲がり・絞り・弁)
スケールは、配管の中で均一には付きません。流れが向きを変える曲がり、急に細くなる絞り、流れが乱れる弁のまわりは、層が育ちやすく、流れも止まりやすい場所です。
温度が上がる場所も要注意です。熱交換器の出口側、給湯器の熱交換部、冷却塔の散水の配管は、成分が出てきやすく、層が厚くなります。
| 場所 | 詰まりやすい理由 |
|---|---|
| 曲がり(エルボ) | 流れが向きを変え、外側に層が育つ |
| 絞り・径違い | 急に細くなり、流れが乱れる |
| 弁・ストレーナー | すき間が狭く、流れてきた片が引っかかる |
| 熱交換器の細い管 | 温度が高く層が育ち、断面ももともと細い |
気づくときの症状
スケールの詰まりは、ある日突然ではなく、数字のじわじわとした変化から始まります。ポンプの吐出側の圧力が上がる、流量計の値が下がる、熱交換器の出入口の温度差の付き方が変わる、といった形です。
現場で目に見えるのは、そのあとです。弁の動きが重くなる、ストレーナーの掃除の間隔が短くなる、末端の水の出が弱くなる。こうした症状が出たときは、配管の中でかなり層が育っています。日々の記録の中に、先に表れている変化がないかを見返してください。
剥がれた片が詰まる、という別の起き方
もう1つの起き方は、剥がれた片による詰まりです。薬品で層を落としたとき、温度の変化で層が浮いたとき、厚くなった層が自重で割れたときに、片が流れて下流の弁やストレーナーに引っかかります。
スケールの付き方を変える装置を導入したときも、既に付いていた硬い層が脆くなって剥がれてきます。emiiR®(エミール)では、剥がれた分は細かい状態で水に運ばれ、冷却塔では下部の水槽に沈みます。それでも導入後の数か月は、ストレーナーや水槽の底を見る頻度を上げておくと安心です。
剥がれた片の行き先を先に決めておけば、詰まりを防ぎやすくなります。水槽の底の清掃と、ストレーナーの点検の予定を、変化が出る時期に合わせて組みます。
付く量を減らす側の手
詰まりが出ている配管は、まず物理的に通すことが先です。そのうえで、次に細くなる速さを遅くします。当社が扱う emiiR® は、電源も薬剤も使わず、水の中のカルシウムなどが管の壁に硬く積もりにくい状態にする装置です。
詰まった配管を元に戻す装置ではなく、付く量を減らす方向に働く装置です。冷却塔なら戻り配管にバイパスで、給水なら建物やトイレの給水元に取り付けます。
詰まりが出ている系統の配管の口径と、ストレーナーの掃除の頻度をお知らせいただければ、付ける場所と型式の見当をお出しします。
よくあるご質問
スケールで詰まった配管は、薬品で通せますか
炭酸カルシウム系の層なら、酸の除去剤で溶かして通せることがあります。シリカ系が混ざっていると溶けにくく、削るか配管の交換になります。先に層の成分を確かめます。
剥がれた片で詰まらないようにするには、どうすればよいですか
下流のストレーナーと水槽の底を、変化が出る時期に合わせてこまめに見ることです。片の行き先を先に決めて、そこから取り除く段取りを組んでおきます。
emiiR® を付ければ、詰まった配管が元に戻りますか
元には戻りません。詰まりが出ている配管は、まず洗浄などで通します。すでに付いた層は時間をかけて脆くなっていき、そのうえで次に細くなる速さを遅くするのが emiiR® の役割です。
配管の中の様子は、どうやって確かめますか
内視鏡で中を見る方法と、配管の一部を切り取って断面を見る方法があります。流量や圧力差の記録で、どの系統から調べるかを絞ってから行うと、調べる箇所が少なく済みます。
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