入居者に「水が茶色い」と言われたとき、何をどう説明するか

入居者に「水が茶色い」と言われたとき、何をどう説明するか

この記事の結論

入居者から「水が茶色い」と言われたら、その場では、どの蛇口で、いつから、流すと澄むかの3つを聞き、原因と飲んでよいかは断定せずに、調べる手順と次に連絡する日を伝えます。

飲めるかどうかは、水質検査の結果をもとに所轄の水道局や保健所に相談して決めるもので、オーナーさまや管理会社がその場で判断するものではありません。

建物の給水管や貯水槽が原因なら、調べる費用も直す費用も、原則として貸す側が負担します(民法第606条)。

入居者から水の色について申し出を受けたオーナーさまと管理会社のご担当者さまに向けて、最初の会話で聞くこと、伝えること、知らせる文面の組み立てを並べました。

目次

最初に聞くのは、蛇口・時間・澄むまでの3つ

申し出を受けたら、まず3つを聞きます。どの蛇口で出たか、いつから、どの時間帯に出るか、流し続けると澄むか、澄むならどのくらいで澄むかです。答えによって、出どころの候補が変わります。

  • 台所だけか、洗面や浴室でも出るか:1か所だけなら、その蛇口までの枝管か水栓の部品
  • 朝いちばんや、留守にしたあとだけか:水が止まっていたあいだに管の底に沈んだ錆
  • 水かお湯か:お湯だけなら給湯器か給湯管
  • 流すと澄むか:澄むなら管にたまっていた分、澄まないなら建物の広い範囲か建物の外

写真を1枚お願いする

白いコップか器に水を取って、撮ってもらいます。色の濃さを、あとでほかの住戸や、対策のあとの水と比べられます。撮った時刻が分かるようにしておきます。

その場で伝えることと、伝えないこと

その場で伝えるのは、確かめる手順と、次に連絡する日です。「ほかの住戸と共用の配管を確かめます。○日までに結果をお知らせします」のように、日付を入れて伝えます。

伝えないのは、原因と安全についての断定です。「古い管の錆なので害はありません」と言ってしまうと、調べた結果が違ったときに説明が変わり、そこから信用が崩れます。原因は調べてから、安全は検査の結果と所轄の判断をもとに伝えます。

当面の使い方を聞かれたら、色の付いた水は飲んだり調理に使ったりせず、澄むまで流してから使ってもらうようお願いします。

飲んでよいかは、水質検査と所轄の窓口で決まります

水道水の基準は、水道法にもとづく水質基準に関する省令で定められています。赤水に関わる項目では、鉄が0.3mg/L以下、色度が5度以下、濁度が2度以下です。基準に合っているかは、水を採って検査しないと分かりません。

相談する先は、所轄の水道局か保健所です。どちらが受け持つかは地域と建物の給水方式で違うので、平常時のうちに、建物ごとの連絡先を管理の記録に書いておくと慌てません。

入居者には、「飲めるかどうかは、検査の結果をもとに所轄の窓口に確認してからお知らせします」と、誰が、どの順番で判断するかを示します。

くわしいご案内給水管の赤水・赤錆対策|更新・更生・延命の3つを費用と工期で比べる

記録の残し方

申し出の記録は、出どころを絞り込む材料になり、同じ申し出がほかの住戸から来たときに比べる基準にもなります。

  • 申し出を受けた日時、その住戸の番号、どこの蛇口か
  • 出る時間帯と、澄むまでにかかった時間
  • 水を取った器の写真(白い背景で、撮った時刻が分かるもの)
  • 採水したときは、時刻、流す前か後か、採った蛇口
  • 伝えた内容と、次に連絡すると約束した日

採水は2回に分ける

蛇口を開けた直後の水と、しばらく流したあとの水を分けて取ると、管にたまっていた分なのか、流れてくる水そのものなのかを見分けられます。

調べる順番と、返事をする日

返事の日は、調べる順番から決めます。最初に確かめるのは、ほかの住戸や共用の水栓でも同じことが起きているかどうかで、時間のかからない確認です。

1戸だけなら、その住戸の水栓と枝管、給湯器を見ます。複数の住戸なら、貯水槽や共用の配管、近くの水道工事の有無を確かめます。水質検査を頼むときは、結果が出るまでの日数を依頼先に聞き、それに合わせて返事の日を決めます。

途中で分かったことがあれば、約束の日を待たずに一度知らせます。連絡が途切れること自体が、次の苦情のもとになります。

費用はどちらが負担するか

民法第606条第1項は、貸す側が、使うために必要な修繕をする義務を負うと定めています。建物の給水管や貯水槽が原因の赤水なら、調べる費用も直す費用も、原則として貸す側の負担です。

入居者の責めに帰すべき事由で修繕が必要になったときは、この限りではありません(同項ただし書き)。給水管の錆は、入居者の使い方ではなく、管の材質と年数で進みます。

赤水が続いて水回りの一部が使えない状態になると、民法第611条により、使えない部分の割合に応じて家賃が減額されます。見通しを早く示すことが、話をこじらせないいちばんの手です。

知らせる文面は、4つの段落で組み立てる

掲示やメールで知らせるときは、次の4つの段落で組み立てます。原因の見立てを書く場合は、「〜の可能性を調べています」と、調べている段階であることが分かる形にします。

  • 起きていること:いつから、どの範囲で、どういう色の水が出ているか
  • 確かめていること:ほかの住戸と共用部の確認、水質検査の依頼など
  • 当面のお願い:色の付いた水は飲用や調理に使わず、澄むまで流してから使うこと
  • 次の連絡:何日に、どの方法でお知らせするか

繰り返すようになったら

朝だけだった赤水が繰り返し出るようになったら、説明で収める段階を過ぎています。管を替える更新、内面を覆う更生、錆の性質を変える延命の3つの比べ方は、くわしいご案内の記事にまとめています。

よくあるご質問

「飲んでも大丈夫ですか」と聞かれたら、何と答えればよいですか

検査の結果と所轄の窓口の判断を待つことを伝えます。それまでのあいだは、色の付いた水を飲用や調理に使わず、澄むまで流してから使ってもらうようお願いします。

1戸だけの申し出でも、ほかの住戸に知らせるべきですか

先にほかの住戸と共用の水栓を確かめ、同じことが起きていれば知らせます。1戸だけなら、その住戸の水栓や枝管の確認が先です。

水質検査の費用は、誰が持ちますか

建物の設備が原因かどうかを確かめる検査なので、貸す側が手配して負担します。検査の結果が出たら、入居者にも内容を知らせます。

入居者が自分で測った結果を持ってきました

採った日時と蛇口、流す前か後かを確かめて、建物側の記録と並べます。同じ条件で建物側でも採水すると、結果を比べられます。

お湯だけが茶色いと言われました

給湯器か給湯管が候補です。水の蛇口で澄んでいれば、給湯器の点検を先に手配します。給湯器が入居者の持ち物か貸す側の設備かも、あわせて確かめます。

アリージェンス合同会社 代表 沼倉孝秀

沼倉 孝秀(ぬまくら たかひで)

アリージェンス合同会社 CEO。UFB DUAL®・emiiR®(エミール)・α-HT® の正規一次販売店として、製品の選定から設置、設置後の窓口までを担当しています。

アリージェンス合同会社

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