この記事の結論
更生工事は、給水管を残したまま内面を研磨して樹脂で覆う工事で、覆った面からは鉄が水に出なくなり、壊す範囲が小さい分、更新より工期が短く、住戸への立ち入りも少なく済みます。研磨で削る分の肉厚が残っている管にしか使えないので、選べるかどうかは抜管調査で決まります。
施工後に何年もつかは、工法・水質・施工の条件で変わるため、工法ごとの保証の年数と対象(漏水・膜の剥離・赤水の再発のどれか)で確かめます。管そのものは新しくならないので、次の更新までの中継ぎとして計画に載せます。
更新工事の前に更生工事を検討している管理組合の理事さま・オーナーさま・設備のご担当者さまに向けて、できることと条件を整理しました。
更生工事は、管を残して内面を作り直す工事です
手順は、系統の水を止めて管の中を乾かし、研磨材を通して内面の錆を削り、そのあと樹脂を流して内面に膜を作り、硬化させるという流れです。工法によって使う材料と工程の数が変わります。
管そのものは撤去しません。ですから壁や床を壊す範囲が小さく、住戸に入る日数も更新より少なくなります。仕上げの復旧が減る分が、金額の差になって出てきます。
工事が終わって残るのは、内面にできた樹脂の層です。鋼管そのものが新品になるわけではないため、位置づけは次の更新までの中継ぎになります。
公表されている費用と、工期の見方
工期は、系統の数と区間の長さで決まります。研磨と塗布のあいだ、その系統の水は使えないので、区間ごとに水を止める時間帯が出ます。何系統に分けて、どの順で回すのかを工程表で示してもらってください。
住戸の器具まわりに手を入れる工法では、在宅をお願いする日が出ます。ここも工期と住民の負担に直結するので、範囲を先に確かめます。
| 公表されている工法 | 1戸あたりの金額 | 示されている条件 |
|---|---|---|
| 配管の交換(更新) | 53万〜145万円 | 専有部の給水管と排水管を、どちらも施工した場合 |
| ライニング(更生) | 30万〜50万円 | 同上 |
出典:配管保全センター株式会社「費用比較」(2019年時点の金額。同ページは、その後の資材費・人件費の上昇を注記しています)
更生工事が選べる配管の条件
前提は、研磨で削る分の肉厚が残っていることです。錆が深く進んで薄くなった管は、削ると穴が開きます。ここを決めるのは築年数ではなく抜管調査です。
錆こぶで断面が狭くなりすぎた管、曲がりと継手が続く区間、樹脂管のように内面が錆びていない管は、対象から外れます。対象に入るかどうかは、工法ごとに条件が違うので、候補の工法ごとに確かめてください。
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施工後の年数は、保証の形で確かめます
「何年もつのか」は、工法と水質と施工の条件で変わります。ですから年数の話は、一般の目安を探すのではなく、その工法が保証として示している年数と対象で見ます。
確かめるのは3つです。保証の年数、保証の対象(漏水か、膜の剥離か、赤水の再発か)、そして保証する会社です。この3つがそろって書かれていない年数は、判断の材料になりません。
2回目はできるのか
研磨は肉厚を削る作業なので、2回目ができるかどうかは、1回目のあとに残った肉厚で決まります。同じ管に何度でもかけられる工事ではありません。
そのため、1回目のときに肉厚の数値と施工の記録を残しておくと、次の理事会が判断するときに、2回目が選べるのか、更新に進むのかを数字で見られます。
更新との組み合わせ
全系統を同じ工法でそろえる必要はありません。肉厚が薄い立て管は更新、まだ残っている横引きは更生、というように系統ごとに分けられます。
分けると、1回の工事の金額と工期が小さくなり、積立金の山も分散します。総会に出すときは、系統ごとの表にして、どの年にどこをやるのかを並べてください。
判断の順番
錆の性質に働く延命は、この順番のどこにでも置ける手です。更生の前に導入すれば更新までの時間を稼ぐ側で働き、更生のあとに導入すれば、覆えなかった継手や器具まわりの鉄の面に働きます。
当社が扱う emiiR®(エミール)は、更生の前後どちらでも、給水元に1台付けるだけで導入できます。作業は3時間〜半日程度、水を止めるのは1〜2時間程度で、住戸には立ち入りません。保証は設置後10年で、10年後に検査を受けるとさらに10年延び、最長20年です。
- 調査(抜管・内視鏡)で、系統ごとの肉厚と内面の状態を出す
- 候補の工法を絞る(削る肉厚が足りる系統はどこか)
- 範囲をそろえて見積もりを取る(共用部だけか、専有部まで含むか)
- 保証の年数と対象を、工法ごとに並べる
- 資金の時期と、総会の日程に合わせて年を決める
よくあるご質問
更生工事のデメリットは何ですか
削る分の肉厚が残っていないと選べないこと、同じ管に何度もかけられないこと、管の年齢そのものは戻らないことです。工期中は系統ごとに水を止める時間帯が出ます。
更生をすれば、赤水は止まりますか
覆われた面からは鉄が出なくなります。残るのは、覆えなかった箇所と、受水槽や器具まわりです。施工の範囲に入らない部分がどこかを、見積もりの段階で確かめてください。
うちの管は更生できますか
抜管調査で肉厚を見れば分かります。調査の前に分かるのは、材質と築年からの見当までです。工法ごとに条件が違うので、候補の会社に調査の結果を渡して判断してもらいます。
更生と延命は、両方できますか
できます。更生は覆う工事、延命は覆えない鉄の面に働く手なので、相手が別です。順番はどちらからでも構いません。どちらを先にするかは、いま出ている赤水の強さで決めます。
保証は誰が出すのですか
更生工事の保証は、施工する会社か工法を持つ会社が出します。機器の保証は製造元と販売店です。当社が扱う emiiR® は、製造元がエミール・ジャパン株式会社で、正規一次販売店である当社が窓口をお受けします。
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