この記事の結論
井戸水に溶けている鉄とマンガンは、汲み上げて空気に触れると酸化して粒になり、フィルターとかん水チューブの出口にたまります。出口から出る量が落ちると末端の株に水が届かなくなり、同じハウスの中で生育がばらつきます。
対策は、除鉄・除マンガンの設備で取り除くか、付着しにくくして洗浄の間隔を延ばすかの2つで、鉄とマンガンの濃度と1日に使う水の量を測ってから選びます。
井戸水でハウスをやっていて、カナケが出る、かん水チューブが詰まる、除鉄の装置を勧められたが判断できない。その材料を、設備と作物の両方から並べました。
鉄とマンガンは、どこから来るのか
どちらも地層に含まれている金属で、地下水に溶けた形で入っています。酸素の少ない地下では溶けたままでいられるため、井戸の水は汲み上げるまで透明です。
濃度は地域と深さで変わります。同じ集落でも、井戸の深さが違えば数字が違います。だから他の農場の対策がそのまま当てはまるとは限りません。
井戸を掘ったときの水質の記録が残っていれば、それが出発点になります。年数が経っているなら、いま一度測り直してください。
空気に触れると、何が起きるか
汲み上げて空気に触れると、溶けていた鉄が酸化して細かい粒になります。赤茶色の濁りや、乾いたあとに残る粉は、これです。マンガンは黒褐色になり、鉄よりゆっくり進みます。
この粒は、水の中を漂いながらフィルターに引っかかり、通り抜けた分は出口に溜まります。さらに、鉄を利用する細菌が増えると、ぬめりのある層になって粒を抱え込みます。
つまり、詰まりの中身は1種類ではありません。鉄の粒、マンガンの粒、それらを抱えたぬめりが混ざった状態です。
かん水の設備に付くもの
詰まりは、決まった順に進みます。まずフィルターが目詰まりし、洗浄の回数が増えます。次に通り抜けた粒が末端の出口に溜まり、出る量が落ちます。最後に、出口が完全に塞がります。
厄介なのは、見た目では分からないところです。水は出ているのに量が落ちている状態が続き、末端の株の生育で気づくことになります。
液肥を通しているラインでは、粒とぬめりが混ざって進みが速くなります。肥料が、ぬめりを作る側の栄養にもなるためです。
くわしいご案内井戸水でハウスをやるときの、水の話|鉄・マンガン・硬度・酸素
作物に表れること
いちばん大きいのは、水が届く量の差です。末端の株だけ生育が落ちる、同じハウスの中でばらつく、という形で出ます。等級と収穫回数にも影響します。
葉面に散水している場合は、乾いたあとに付着の跡が残ることがあります。出荷前に洗う手間として返ってきます。
液肥を通しているラインでは、詰まりが偏ると施肥の量も偏ります。水の届く量の差が、そのまま養分の差になります。
取り除く方法と、選ぶときに見る数字
除去は、酸化させて粒にしてからろ過する方式と、イオン交換で取る方式が中心です。どちらも設備の大きさは、水質の濃度と1日に使う水の量で決まります。だから見積もりを取るときは、この2つの数字を先に用意します。
| 方法 | 何を減らすか | 選ぶときに見るところ |
|---|---|---|
| 酸化+ろ過 | 鉄・マンガンの粒 | 処理できる水量・逆洗の水と手間・設置の場所 |
| イオン交換 | 溶けている成分 | 再生の作業と資材・排水の行き先 |
| フィルターの多段化 | 通り抜ける粒 | 交換の頻度・洗浄の手間 |
| 付きにくくする | 壁面と出口への付着 | 洗浄の間隔の変化・記録の取り方 |
付きにくくする方法
UFB DUAL® は、水道の水圧だけで直径1マイクロメートル未満の泡を作ります。泡はマイナスに帯電していて、壁面に付こうとする汚れの付着力を弱め、水流で離れやすくします。壁面を泡が覆うことで、離れたものが戻りにくくなる働きも期待できます。
溶けている鉄そのものは減りません。水質を変える装置ではないので、除鉄の設備やフィルターは引き続き必要です。導入後も洗浄は続きますが、付着物は固まりにくくなり、すでに付いた分も剥がれやすくなって水流で流れていきます。変わるのは洗浄の作業ではなく、次の洗浄までの間隔です。
取り付けるのは給水側で、元栓、貯水タンクの手前、個別のかん水ラインのいずれかです。電源も薬剤も使わず、可動部と消耗品がありません。
どちらを選ぶかの判断
濃度が高く、葉面散水も行っている農場では、取り除く設備が必要になります。水質検査の数字を持って、処理水量に合う設備の見積もりを取ってください。
濃度がそれほど高くなく、困っているのが洗浄の手間と末端のばらつきなら、付きにくくする方法から試せます。効果を確かめるためのレンタル品があるので、洗浄までの日数を記録して比べられます。
両方を入れる選び方もあります。除去の設備で粒を減らし、そのうえで付着の速さを落とす形です。順番は、いま何に時間を取られているかで決めます。
よくあるご質問
鉄やマンガンは取り除けますか
UFB DUAL® では取り除けません。水質を変える装置ではないので、除去には酸化とろ過、あるいはイオン交換の設備が必要です。変わるのは、壁面と出口への付き方と、洗浄までの間隔です。
いまのフィルターは外せますか
外さないでください。粒を止める役割は変わらず必要です。洗浄の間隔を見直すのは、出口の量とフィルターの圧力差の記録が出てからの順番になります。
何を測れば判断できますか
鉄とマンガンの濃度、硬度、pH、そして1日に使う水の量です。この4つがそろえば、除去の設備の見積もりも、付きにくくする方法の効果の見方も決まります。
カナケのにおいや色は変わりますか
変わりません。溶けている成分は減らないためです。変わるのは、ラインと器具の内側に付いたものの落ちやすさです。
取り付け位置はどこになりますか
井戸ポンプから先の給水側です。貯水タンクがある農場ではタンクの手前、無い農場では元栓か個別のかん水ラインに入れます。口径は給水管の太さで決まります。
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