この記事の結論
ビルの貯水槽(受水槽)の水を使っている飲食店では、槽の清掃と水質検査を行うのは、設置者である建物のオーナーさまです。テナントの店がすることは、その実施の時期と結果を確かめ、記録に残しておくことです。
根拠は槽の大きさで変わります。有効容量の合計が10立方メートルを超えると水道法の簡易専用水道として定期の検査が義務づけられ、10立方メートル以下は水道事業者の給水条例や供給規程で決まります。回数や中身は自治体ごとに違います。
ビルや商業施設に入っている飲食店のオーナーさま、店長さまに向けて、建物の貯水槽の清掃と水質検査について、テナントとして何を確かめればよいかをまとめました。
自分の店の水が、貯水槽を通っているか
ビルの水の送り方は、大きく2つです。水道管の水をそのまま各階へ送る直結の方式と、いったん建物の貯水槽に貯めてから、ポンプや屋上の高置水槽で各階へ送る方式です。
後の方式の建物では、店の蛇口から出る水は、建物の槽を通ってきた水です。水道の水は水道メーターを通って槽に入り、そこから先の槽と配管は、建物の側で管理するものになります。
どちらの方式かは、管理会社さまに聞くのが確かです。地下や屋上、敷地の隅に大きなタンクがあれば、貯水槽のある建物です。
10㎥を境に、清掃と検査の根拠が変わる
水道法は、水道から供給を受ける水だけを水源とする建物の水道のうち、水槽の有効容量の合計が10立方メートルを超えるものを簡易専用水道と定めています(水道法第3条第7項、水道法施行令第2条)。簡易専用水道の設置者は、国の定める基準に従って管理し、定期に、地方公共団体の機関か国の登録を受けた機関の検査を受けなければなりません(水道法第34条の2)。
10立方メートル以下の槽は簡易専用水道に当たらず、小規模貯水槽水道などと呼ばれます。水道法第14条は、水道事業者が定める供給規程に、貯水槽水道の設置者の責任を定めるよう求めていて、清掃や点検の中身は、各地の給水条例や供給規程で決まります。
たとえば千葉県は、10立方メートル以下の槽についても、定期の清掃と、水に異常を感じたときの水質検査を案内しています。回数と中身は自治体ごとに違うので、店のある地域の案内を確かめてください。
| 区分 | 槽の大きさ | 根拠 | 決まっていること |
|---|---|---|---|
| 簡易専用水道 | 有効容量の合計が10㎥を超える | 水道法第3条第7項・施行令第2条・第34条の2 | 設置者による管理と、定期の検査 |
| 小規模貯水槽水道など | 10㎥以下 | 水道法第14条第2項第5号にもとづく供給規程・給水条例 | 中身は自治体ごと |
設置者はオーナーさま。テナントが確かめること
清掃と検査の義務を負うのは、槽を設けている設置者で、テナントのビルでは建物のオーナーさまです。テナントの店が自分で槽を清掃したり、検査を頼んだりすることは、ふつうはありません。
それでも店が確かめておくのは、蛇口の水がお客様の料理と飲み物に直接入るからです。検査が行われているか、結果に問題がなかったかを知っておけば、お客様や本部から水について尋ねられたときに答えられます。
槽から店までの配管と、店の中の配管をどちらが管理するかは、賃貸借契約と管理規約で決まります。契約書で、受け持ちの線を確かめておきます。
くわしいご案内洗い場に人を張り付けなくて済むように|厨房の作業時間を、水の側から
オーナーさま・管理会社さまに聞く5つのこと
聞いた答えは、日付と一緒に店の記録に残します。店長が替わっても、同じ答えを引き継げます。多店舗チェーンさまでは、出店の物件調査の項目に入れておくと、入居の前に確かめられます。
- 店の水は、直結か、貯水槽を通っているか
- 槽の有効容量の合計は10立方メートルを超えるか
- 清掃と検査は、いつ、どこが行ったか。結果の書類を見せてもらえるか
- 清掃や点検で水が止まる日は、いつ、どう知らせてもらえるか
- 水の色・濁り・においに異常を感じたときの連絡先
清掃と検査の日に、店で起きること
槽の清掃の作業中は、槽の水を抜くため、建物の水が止まる時間が出ることがあります。予定が決まったら早めに知らせてもらい、その時間に仕込みや洗い物が重ならないように段取りを組みます。
清掃のあとに水が戻ったときは、はじめに濁りや空気が出ることがあります。厨房の蛇口を開けて透明になるまで流し、製氷機と食洗機の給水は、そのあとで戻します。
営業時間と重なる場合は、汲み置いておく水の量と、製氷機の氷をどこまで貯めておくかも、前日までに決めておきます。
生の魚介を扱う店と、食品製造用水
刺身や寿司のように魚介類を生で出す店については、食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)が、魚介類を生食用に調理するときは食品製造用水で十分に洗浄するよう定めています。
告示のいう食品製造用水は、水道事業、専用水道、簡易専用水道から供給される水か、一般細菌、大腸菌群、濁度など26の項目の規格に合う水です。10立方メートルを超える槽の水は、簡易専用水道の水として、この定義の中に名前が出てきます。
自分の店の水がどれに当たり、どう扱えばよいかは、店のある地域の保健所に確かめてください。この基準の所管は、令和6年4月から消費者庁に移っています。
工事のとき、テナントは断水しない
UFB DUAL® を貯水槽のある建物に付けるときは、水道メーターと貯水槽のあいだに取り付けます。工事で止めるのはこの区間だけなので、そのあいだも槽に貯まっている水が各テナントへ送られ、店の蛇口は止まりません。
建物の水がまとめて変わるので、取り付けを決めるのは設置者のオーナーさまです。槽の清掃と検査はこれまでどおり続け、UFB DUAL® はその水に重ねて使う設備です。
建物に貯水槽があるかどうかと、分かれば水道メーターの口径をご相談内容の欄にお書きください。オーナーさまへのご説明に使える、本体と工事費の内訳を分けたお見積もりをお出しします。
よくあるご質問
テナントに、貯水槽の清掃や水質検査の義務はありますか
ありません。義務を負うのは槽の設置者で、テナントのビルでは建物のオーナーさまです。テナントの店は、実施の時期と結果を確かめ、記録を残しておく立場です。
水質検査の結果は見せてもらえますか
オーナーさまか管理会社さまにお願いしてください。検査を受けているのは設置者なので、結果の書類も設置者の側にあります。
10立方メートル以下の槽なら、決まりはないのですか
あります。10立方メートル以下の槽は、水道事業者の給水条例や供給規程で設置者の責任が定められています。清掃や点検の中身は自治体ごとに違うので、店のある地域の案内を確かめてください。
清掃は年に何回行うものですか
槽の区分と自治体の決まりで変わります。10立方メートルを超える簡易専用水道では、定期の検査が水道法で義務づけられています。店のある地域の水道事業者の案内と、建物の管理の計画を、管理会社さまに確かめてください。
水が濁ったり、においがしたりしたらどうしますか
すぐに管理会社さまへ連絡し、その蛇口の水を調理や飲み水に使うのを止めます。いつ、どの蛇口で、どんな様子だったかを記録しておくと、原因を調べるときの手がかりになります。
あわせて読みたい記事
この記事に書いていないことは、直接お聞かせください。
お気軽にお問い合わせください。


