この記事の結論
断水や濁水のとき、営業を続けるか止めるかは、水道事業者と保健所のお知らせをもとに店が決めます。店で先に決めておくのは、仕込みと提供をどこまで続けるか、製氷機と食洗機をいつ止めるか、水が戻ったあとにどこから再開するかの3つです。
水が戻ったら、自治体の案内どおり、濁りが透明になるまで蛇口で流します。澄んだのを確かめてから製氷機や食洗機の給水を戻し、手洗いと器具の洗浄、仕込みの順に再開します。
水道の断水や、蛇口から濁った水が出たときに営業をどうするかを決める店長さま、オーナーさまに向けて、法令と自治体の案内を土台に、厨房で先に決めておくことを整理しました。
水道法が定めているのは、給水の停止と周知
断水には、工事で前もって知らされるもの、水道管の事故や災害で急に起きるもの、水の安全に問題が見つかって止められるものがあります。
3つ目の、水の安全に問題が見つかった場合に備えて、水道法第23条は水道事業者の義務を定めています。健康を害するおそれのある水だと分かった時点で、給水を直ちに止め、その水を使うのは危険だと関係者へ知らせる措置をとる、というものです。
米国には、水を煮沸してから使うよう呼びかける boil water advisory という仕組みがあります。日本の水道法が定めているのはそれとは別の、この給水の停止と周知で、店が拠り所にするのは、水道事業者と保健所が出すお知らせです。
断水と濁水で、厨房の何が止まるか
飲食店の厨房では、水は料理に入るだけでなく、手洗いと器具の洗浄を支えています。水が止まると、料理を作る工程より先に、洗う工程と手を洗う工程が止まります。
濁水は、断水より判断が難しい状態です。水は出るので、使うか止めるかを店が決めなければなりません。
受水槽のある建物では、水道の断水がすぐには店の断水になりません。槽に貯まっている水があるあいだは蛇口から出ますが、槽の水が尽きれば止まります。管理会社さまのお知らせで、建物の水がどうなっているかを確かめてください。
- 調理の前後とトイレのあとの手洗い
- 食材と器具の洗浄、洗い場の予洗い
- 炊飯、だし、茹で湯、スープの仕込み
- 製氷機と食洗機の給水
- 客席のトイレ
仕込みと提供を続けるか止めるかを決める材料
決める材料は3つです。水道事業者と自治体のお知らせの中身(いつまで、どの地域か、飲み水に使えるか)、保健所の案内、そして店に確保できる水の量です。
手洗いと器具の洗浄に使う水をどこまで確保できるかで、続けられる範囲が決まります。汲み置きの水や買い置きの水で、どの工程を何時間まかなえるかを、ふだんのうちに数えておきます。
続ける場合の手は、水をあまり使わないメニューに絞る、使い捨ての器に切り替える、といったものです。どれを選ぶかは、業態と、給水が戻るまでの見込みの長さで決まります。
| 決めること | 判断の材料 | 店の取り決め |
|---|---|---|
| 営業を続けるか | お知らせの中身・保健所の案内・確保できる水の量 | |
| 出すメニュー | 水を使う工程の少なさ | |
| 器 | 洗浄に使える水の量 | |
| 手洗いの水 | 汲み置きの量と置き場所 | |
| お客様への案内 | 営業時間とメニューの変更 |
くわしいご案内洗い場に人を張り付けなくて済むように|厨房の作業時間を、水の側から
製氷機と食洗機は、水が戻る前に止めておく
製氷機と食洗機は、給水が戻ると自動で水を取り込みます。濁った水が来ているあいだに取り込むと、その水で氷を作り、タンクを満たしてしまいます。
断水や濁水のお知らせを受けたら、製氷機は運転を止めるか給水の止水栓を閉め、食洗機もタンクへの給水を止めておきます。スチームコンベクションや、給水につないでいる炊飯器も同じです。止め方は、機種ごとに取扱説明書で確かめてください。
濁りに気づく前後に作られた氷と、タンクに入っていた水をどう扱うかは、保健所の案内をもとに、店の取り決めとして決めておきます。
水が戻ったら、透明になるまで流してから使う
断水のあとに水が戻ると、管の中の錆や砂が動いて、濁った水が出ることがあります。蒲郡市や新潟市などの自治体が出している案内は、濁りが出たら透明になるまで流してから使う、というものです。
煮沸は、濁りを取る方法としてではなく、においを和らげる方法として案内されています。京都市上下水道局は、沸騰させたあと蓋をとって5〜6分煮沸すると臭気を低減できること、一度沸騰させた水道水は消毒の効果がなくなるので早めに使うことを案内しています。
流す量は時間で決めず、白い容器に汲んで色を見て、濁りが消えたところで止めます。案内の中身は自治体ごとに違うので、店のある地域のお知らせを必ず先に確かめます。
再開の順番(蛇口 → 機器 → 仕込み)
蛇口を流すときは、元栓に近い蛇口から始めて厨房の奥へ進める順番にしておくと、どこまで流したかを記録しやすくなります。
UFB DUAL® を付けている店舗でも、再開の順番は同じです。電源を使わない設備なので、断水のあとに装置の側でする操作はありません。水が戻れば、そのまま水道の水圧でウルトラファインバブルをつくります。減水率は約5%なので、濁りを流すときの水の勢いもほとんど変わりません。
- お知らせで、給水の再開と、飲み水に使えるかどうかを確かめる
- 厨房の蛇口を1つずつ開け、透明になるまで流す
- 機器の取扱説明書の再開の手順を確かめ、製氷機・食洗機・スチームコンベクション・炊飯の給水を戻す
- 手洗いと器具の洗浄から再開し、そのあとで仕込みに入る
- 流した時刻と、機器を戻した時刻を記録する
手順を先に紙にしておく
断水や濁水は、起きてから考えると判断が遅れます。ここまでの取り決めを1枚の紙にまとめ、厨房の目につく場所に貼っておきます。
- お知らせを確かめる場所と、保健所・管理会社さまの連絡先
- 止める機器と、その止め方
- 汲み置きの水の置き場所と量
- 続ける場合のメニューと器
- 再開の順番と、記録の欄
もっと詳しく — 多店舗チェーンさまでの紙の作り方
本部で型を作り、店舗ごとに機器の止め方と連絡先を書き込む形にすると、店舗の設備に合った手順になります。建物の給水の方式(直結か、受水槽を通るか)も店舗ごとに書いておくと、断水の知らせを受けたときに、すぐ店の水が止まるのかどうかが分かります。
給水の設備の見直しもあわせてご検討の際は、店舗の所在地と水道メーターの口径をご相談内容の欄にお書きください。建物の給水の方式を確かめるところからご案内します。
よくあるご質問
断水のお知らせが来たら、まず何をしますか
お知らせで時間と地域、給水が戻るまでの見込みを確かめ、製氷機と食洗機の給水を止めます。そのうえで、手洗いと洗浄に使う水を汲み置き、営業を続けるかどうかを決めます。
濁った水で調理してもよいですか
濁っているあいだは使わず、透明になるまで流してから使うのが自治体の案内です。飲み水や調理に使えるかどうかは、水道事業者と保健所のお知らせに従ってください。
煮沸すれば使えますか
煮沸で濁りは取れません。煮沸は、においを和らげる方法として自治体が案内しているものです。使えるかどうかは、お知らせと保健所の案内で判断してください。
UFB DUAL® を付けていると、断水のあいだも水が出ますか
出ません。UFB DUAL® は水道の水圧で泡をつくる設備で、水を貯めたり、きれいにしたりする働きは持っていません。断水のあいだは、ほかの店舗と同じように水が止まり、再開の手順も同じです。
受水槽のある建物では、何が違いますか
水道の断水がすぐには店の断水になりません。槽の水があるあいだは蛇口から出ますが、尽きれば止まります。管理会社さまのお知らせで、建物の水の状態を確かめてください。
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