この記事の結論
受水槽の有効容量が合計10㎥を超える建物(簡易専用水道)では、蛇口の水の色・濁り・におい・味に異常を認めたとき、必要な水質検査を行うことが、水道法にもとづく管理の基準で設置者に求められています。10㎥以下の建物でも、水道事業者の給水条例(供給規程)で、同じような管理が求められていることがあります。
飲んでよいかどうかは建物の側だけで決めず、検査の結果をもとに所轄の水道局や保健所に連絡して指示を受けます。受け付けた時点の記録(日時・住戸・蛇口・見え方)が、その出発点になります。
受水槽のある建物で赤水や濁りの申し出を受けた管理組合の理事さま・オーナーさま・設備のご担当者さまに向けて、法令上の求めと現場の手順を並べました。
「異常を認めたとき」は、4つの見え方で判断します
判断の入口は、色、濁り、におい、味です。数値ではなく、日常の点検で気づけるものが入口に置かれています。赤水や濁りは、この入口にまっすぐ当たります。
誰が気づいたかは問いません。入居者さまからの申し出でも、清掃で入った方の気づきでも、管理する側が知った時点から手順が始まります。
ですから、受け付けた時点の記録が出発点になります。いつ、どの住戸の、どの蛇口で、どういう見え方だったか。ここが残っていないと、あとの検査の結果を読み解けません。
求められているのは、必要な水質検査です
水道法施行規則第55条第3号は、簡易専用水道の管理の基準として、給水栓における水の色、濁り、臭い、味などから異常を認めたときは、水質基準の項目のうち必要なものについて検査を行うことを定めています。
「必要な」という言い方になっているのは、症状によって測る項目が変わるからです。赤水なら鉄と濁度、色度が中心になります。何を測るかは、検査を頼む先に症状を伝えて選んでもらうのが確実です。
検査は、登録検査機関か分析会社に頼みます。採水の場所と時刻、流す前か後かを記録して、同じ条件で2回以上測ると経過が読めます。
出典:水道法施行規則第55条(e-Gov 法令検索)
受水槽の規模で、根拠になる決まりが変わります
受水槽の有効容量の合計が10㎥を超える建物は、簡易専用水道として、全国共通の決まりで毎年の検査を受けます。10㎥以下は簡易専用水道には当たらず、水道事業者の給水条例(供給規程)で扱われるので、清掃や検査について何が求められるかは地域で変わります。
自分の建物がどちらかは、受水槽の有効容量を設備台帳か竣工図で確かめれば分かります。複数の水槽がある建物では、合計で見ます。
| 区分 | 規模 | 根拠 | 義務の出どころ |
|---|---|---|---|
| 簡易専用水道 | 水槽の有効容量の合計が10㎥を超える | 水道法第3条第7項、水道法施行令第2条 | 毎年の法定検査(水道法第34条の2第2項)。管理の基準は省令 |
| 小規模な水槽の建物 | 有効容量の合計が10㎥以下 | 水道法第14条第2項第5号 | 水道事業者の給水条例(供給規程)。内容は自治体ごとに違います |
出典:水道法、水道法施行令(e-Gov 法令検索)
くわしいご案内貯水槽のある建物に義務づけられていること|清掃・検査・記録
誰が判断するのか
飲んでよいかどうかを、建物の側だけで決める形にはなっていません。検査の結果をもとに、所轄の水道局と保健所に連絡して指示を受けます。判断の窓口がどちらになるかは地域で違うので、平常時に連絡先を調べておいてください。
当社がお手伝いできるのは、出どころの切り分けと、配管の側で打てる手をお示しすることです。
使用を止める判断と、周知
水が人の健康に関わるおそれがあると分かったときは、使用を止めて、関係する方に知らせる必要が出てきます。手順と範囲は所轄の指示に従います。
止める判断をするかどうかにかかわらず、周知の文面は先に用意しておくと迷いません。いま分かっていること、分かっていないこと、いつ次の連絡をするか。この3つだけで足ります。
記録の残し方
この6つを1枚にまとめると、次に同じことが起きたときの手順書になります。理事が交代する建物では、この1枚が引き継ぎの中心になります。
- 受け付けた日時、住戸、蛇口の場所、見え方
- その場で撮った写真(水そのものと、容器に取った状態)
- 採水の記録(時刻、流す前か後か、採水した場所)
- 連絡した先と、受けた指示
- 検査を頼んだ先、項目、結果
- 入居者さまへの周知の文面と、出した日
先に気づくための日常の点検
異常を認めてから対応を始めると、どうしても後手に回ります。先に気づく手段としては、朝いちばんの通水で色を見る、空室の系統を定期的に流す、受水槽まわりを見回る、年に1回か2回、同じ条件で水を測る、といったものがあります。
赤水がくり返す建物では、点検で先に気づいても、出どころは残ります。配管の材質と肉厚を調べたうえで、更新、更生、錆の性質に働く延命の3つを並べて決める段階です。
当社が扱う emiiR®(エミール)は、給水元の1か所に付けて、もろい赤錆を安定した黒錆に変えていく装置です。水に薬剤を加えるものではなく、成分を取り除く浄水器でもありません。飲料水の系統に使える型式は、日本水道協会の認証登録品として、登録番号(Z-372)で確かめられます。
よくあるご質問
どの程度から「異常」になりますか
色、濁り、におい、味で気づく変化が入口です。程度の線引きは示されていないので、気づいた時点で記録を取り、必要な水質検査を行う流れになります。迷うときは所轄の水道局に相談してください。
水質検査は、どこに頼めばよいですか
登録検査機関か分析会社に頼みます。症状を伝えて項目を選んでもらってください。赤水なら鉄、濁度、色度が中心です。採水の場所と時刻、流す前か後かを必ず記録に残します。
入居者さまに、飲まないようお伝えすべきですか
飲用の可否は、検査の結果と所轄の指示で決まります。伝えるべきは、いま分かっていること、確かめている最中のこと、次に連絡する時期です。この3つを書いた掲示を早く出すほうが、問い合わせが落ち着きます。
10㎥以下の受水槽でも、義務はありますか
自治体の給水条例(供給規程)で定められていることがあります。10㎥以下の水槽は水道法の簡易専用水道には当たらず、清掃や異常時の水質検査などの管理は、水道事業者ごとの定めで求められます。内容は自治体ごとに違うので、所轄の案内でご確認ください。
記録は何年残す必要がありますか
水道法の簡易専用水道の管理の基準(施行規則第55条)には、保存の年数は定められていません。5年と決まっているのは、建築物衛生法の対象の建物(特定建築物)の帳簿書類(同法施行規則第20条)と、登録検査機関の検査の帳簿(水道法施行規則第56条の9)です。法定検査では掃除や点検の記録が整理・保存されているかが見られるので、少なくとも前回の検査からの分はそろえておきます。
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