築古物件の売却と、配管の評価

築古物件の売却と、配管の評価

この記事の結論

築古物件の売却で、買う側が給水管について見るのは、材質と更新の履歴、長期修繕計画での給水管の扱い、積立金の残高、漏水と苦情の履歴の4つです。知りたいのは、買ったあとにいつ何にいくらかかるかで、配管は開けて見られないため、書類がそろっていない建物は分からない分を悪いほうに見積もられます。

売る前には、調査の結果、水の測定値、工事や機器の記録を1か所にそろえておきます。価格を決めるのは査定する不動産会社ですが、書類で答えられる状態にしておけば、交渉が止まりません。

築年数の経った物件を手放す予定があり、給水管の状態をどう扱うか迷っているオーナーさま・管理組合の理事さまに向けて整理しました。

目次

買う側が配管で見ている4つ

買う側が知りたいのは、いまの状態そのものではありません。買ったあとに、いつ、何に、いくらかかるのかです。配管はその金額がいちばん大きく動く部分なので、真っ先に確かめられます。

この4つは、買う側が自分で調べにくい順に並んでいます。立地や間取りは内見で分かりますが、配管は開けて見られません。だからこそ、売る側が出す書類の量がそのまま判断の確かさになります。

  • 材質と更新の履歴:鉄系の管が残っているのか、どの系統まで替わっているのか
  • 長期修繕計画:給水管の行が何年に置かれ、いくらで見込まれているか
  • 積立金の残高:その工事の時期に、払える見通しがあるか
  • 漏水と苦情の履歴:同じ系統に集まっていないか

重要事項説明で触れられること

売買の場では、管理の状態や修繕の履歴が示されます。何をどこまで書くかは、仲介する会社の書式と、管理会社さまが出す管理に関する報告の内容で決まります。

ですから、売る側でできるのは、その報告に載る材料をそろえておくことです。調査をしていない建物は「不明」と書かれ、買う側はその不明を自分の見積もりで埋めます。

管理組合の場合は、管理に関する報告に長期修繕計画と積立金の状況が載ります。理事会としてできるのは、そこに書かれる内容を平常時から整えておくことです。売却が出てから慌てて作る書類は、日付でそれが分かります。

更新済み・更生済み・未実施で、示せるものが変わる

いちばん下の行だけが、金額の交渉に不利です。上の4つは、どれも「次に何が来るか」を数字で話せる状態になっています。

配管の状態 買う側に示せる書類 そのとき聞かれること
更新済み 工事の範囲と施工年、保証書 専有部まで替えたのか、共用部だけか
更生済み 工法名と施工年、保証の年数と対象 2回目ができるのか、次の更新はいつか
延命の機器あり 型式、設置位置、設置日、保証の期限、水の測定値 更新の予定はどうなるのか
未実施(調査済み) 調査の報告書、長期修繕計画の該当行 いつ、いくらでやる計画か
未実施(調査なし) 築年と材質の見当のみ 状態が分からないまま、いくら見ておけばよいか

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延命の機器を導入している場合の説明のしかた

機器を導入していることは、それだけでは材料になりません。買う側が見るのは、何を、どこに、いつ付けて、いつまで保証があるのかです。

当社が扱う emiiR®(エミール)が付いている建物なら、型式、設置した位置、設置日、保証の期限の4つを1枚にまとめて買主さまに渡します。保証は設置後10年で、10年後の検査でさらに10年、最長20年です。

あわせて、導入の前後で測った水の数値を並べてください。給水系の測定例では、鉄分が設置前の約1mg/Lから1年後に約0.05mg/Lまで下がった記録があります。自分の建物の数値があれば、それがいちばん強い材料になります。

売る前にそろえておく書類

この7つは、売却のために新しく作る書類ではありません。理事会やオーナーさまの手元に元からあるものを、1か所にまとめるだけです。まとめる作業を売却の直前にやると、足りないものを補う時間がありません。

  • 竣工図の給水設備図と、設備台帳
  • 改修の履歴(どの系統を、いつ、どこまで)
  • 調査の報告書(抜管・内視鏡)と、写真
  • 水質検査の結果(採水の場所と時刻が書かれたもの)
  • 受水槽の清掃と法定検査の記録
  • 入っている機器の型式・設置日・保証の期限
  • 長期修繕計画の該当する行と、積立金の残高

評価を決めるのは、査定する会社です

配管に手を入れれば価格が上がる、という話ではありません。価格を決めるのは立地と築年と管理の状態で、査定するのは不動産の会社です。

できるのは、聞かれたときに答えられる状態にしておくことです。買う側の質問は決まっています。管は何か、どこまで替わっているか、次はいつか、いくらか。この4つに書類で答えられれば、話が止まりません。

よくあるご質問

売る前に更新工事をしたほうが有利ですか

工事の金額がそのまま価格に乗るとは限りません。判断の材料は、いま出ている苦情の強さと、買う側に示せる書類がそろっているかです。まず調査で状態を数字にしてから、工事をするかを決めてください。

調査をすると、悪い結果が出たときに不利になりませんか

分からないままのほうが不利になります。買う側は不明な部分を自分の見積もりで埋めるので、実際より悪く見られることがあります。結果が出れば、いつ何にいくらかかるのかを数字で話せます。

設置してある機器は、買主に引き継げますか

設置してある機器はそのまま建物に残ります。保証を買主さまに引き継げるかは、型式と設置日をお知らせいただければ、製造元に確かめてご案内します。

中古で買う側として、配管は何を確かめればよいですか

管の材質と改修の履歴、長期修繕計画の給水管の行、積立金の残高、そして漏水の履歴です。この4つのうち1つでも「不明」と言われたら、そのぶんを自分の予算に見ておいてください。

水質検査の結果は、売却の資料に使えますか

使えます。ただし採水の場所と時刻、流す前か後かが書かれていない数値は比べる相手になりません。同じ条件で2回以上測った数値が並んでいると、経過として読めます。

アリージェンス合同会社 代表 沼倉孝秀

沼倉 孝秀(ぬまくら たかひで)

アリージェンス合同会社 CEO。UFB DUAL®・emiiR®(エミール)・α-HT® の正規一次販売店として、製品の選定から設置、設置後の窓口までを担当しています。

アリージェンス合同会社

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