工場の水道代を下げる|使う水と、捨てている水を分けて数える

工場の水道代を下げる|使う水と、捨てている水を分けて数える
この記事の結論

工場の水は、製品や作業に使う水と、濃くなったから捨てている水に分かれます。先に手が入るのは、捨てている水です。

洗浄工程の水を絞ると作業の時間に跳ね返りますが、冷却の系統で捨てている水を減らしても、誰の作業も変わりません。

工場の水道代を下げるよう言われて、どの工程から手を付けるかを探している設備・生産管理の方に向けて、水の数え方を2つに分ける枠組みを書きました。

目次

工場の水は、使う水と捨てる水に分かれます

水の使用量を工程別に並べると、たいていは洗浄と冷却の2つが大きく出ます。この2つは性質が違うので、同じ節水の枠で考えると判断を誤ります。

洗浄の水は、汚れを落とすために使っています。量を減らすと落ちる汚れの量も変わるので、工程の時間や仕上がりに跳ね返ります。冷却の系統で出ている水のうち、濃くなったから捨てている分は、冷やすことにも使うことにも関わっていません。

先に手を付けるのは、後者です。減らしても誰の作業も変わらないからです。

系統 水の役割 絞ったときに出る影響 手を付ける順番
洗浄工程 汚れを落とす 工程の時間と仕上がりが変わる 後
冷却の系統(蒸発分) 熱を運び出す 冷える力が落ちる 手を付けない
冷却の系統(捨てている分) 濃さを下げるため 作業への影響がない 先
手洗い・トイレなど 人が使う 使い勝手が変わる 後

洗浄工程で減らせるもの

洗浄の側で公表されている事例では、水処理を手がける事業者が工場の水使用量を23%下げ、年1千万円の費用を減らしたという数字を出しています。日用品のメーカーが、製造工程の洗浄水を回収して再利用し、使用水量を年間18万トン減らしたという公表もあります。

環境省が公開している算定ガイドラインの事例集には、節水型の水栓に替えてエネルギーと二酸化炭素と費用が60%減ったという試算も載っています。

いずれも各社・各省が公表している数字で、当社が測ったものではありません。共通しているのは、水を回収して使い回すか、出てくる量を絞るか、という組み立てです。回収の側は設備投資が要り、絞る側は作業への影響を確かめてから決めることになります。

公表されている取り組み 公表されている効果
工場の水処理の見直し 水使用量が23%減、費用が年1千万円減
洗浄水の回収と再利用 使用水量が年間18万トン減
節水型の水栓への交換 エネルギー・二酸化炭素・費用が60%減という試算

出典:水処理事業者・日用品メーカー・環境省の公開資料(2026-09-27 確認)。いずれも各社・各省が公表している数字で、当社の実測値ではありません。

冷却の系統で減らせるもの

工場にも、建物を冷やすための冷却塔があります。事務棟や検査室の空調、電気室の冷却に使われている系統です。ここでは水が蒸発して熱を捨て、濃くなった水を一部排水しています。

この排水の分が、減らせる水です。濃くなっても成分が硬い結晶として固着しないようにすれば、濃いまま回して捨てる量を絞れます。循環水量とブロー率と年間運転時間が分かれば、動く水量はその場で計算できます。

当社が対象にしているのは、この空調用の冷却塔です。射出成形の金型冷却やオイルクーラーのように、生産設備に直結した製造プロセス系の冷却塔は扱っていません。工程の温度と品質に直接つながる系統なので、水の側だけで判断できないためです。

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上水・工業用水・井戸水で、話の重心が変わる

同じ水量を減らしても、金額が動く幅は水の種類で変わります。上水を使っている工場では、単価がそのまま効きます。自治体が公表している単価例では、上水が1㎥あたり620円という数字があります。

工業用水と井戸水では、1㎥あたりの単価が小さくなります。水量を減らしても金額の側が動きにくいので、節水そのものを目的にすると効果が見えにくくなります。

水の種類が分かれば、節水で追うべきか、別の費目を追うべきかが先に決まります。請求書の名義と単価を見るところから始めてください。

下水道の側にかかっている分

水の代金が小さい工場でも、下水道使用料はかかっていることがあります。多くの自治体が、下水道に流した量を測らずに、使った水量をそのまま汚水量とみなして計算しているためです。

ここに、冷却塔で蒸発した水が混ざっています。蒸発した水は大気へ出ていって下水道に入っていないのに、計算の中では汚水として数えられています。申告して認定を受けると、この水量が計算から外れます。

対象になる水量は、補給水量から下水道への排出水量を引いた分です。捨てている水を絞ると引く数が小さくなるので、認定される水量が大きくなります。井戸水を使っている工場でも、下水道使用料がかかっているなら、ここは効きます。

減らせる水量の数え方

冷却の系統で動く水量は、循環水量、ブロー率、年間運転時間の3つで出ます。循環水量は冷却塔の銘板かポンプの仕様書、運転時間は稼働記録、ブロー率は弁の設定か水質管理の報告書から取れます。

洗浄の側は、工程ごとの使用量を測っていないと数えられません。主要な工程の給水ラインに、簡易なメーターを1つずつ付けるところから始める工場が多いものです。どの工程が大きいかが分かれば、手を付ける順番も決まります。

水量が出たら、請求書の単価をかけて年額にします。上水と下水の両方の単価が要ることに注意してください。

どこから手を付けると早いか

順番は3段です。1段目は、いま何をどこで使っているかを分けること。使う水と捨てる水を、系統ごとに紙に落とします。2段目は、捨てている水に手を入れること。作業への影響がないので、工程側の合意を取らずに進められます。3段目が、洗浄工程の見直しです。

2段目の入口として、当社では実際の冷却塔に装置を取り付けて3か月測っていただく無償のデモをご用意しています。当社が扱う emiiR®(エミール)は、電源も薬剤も使わず、水が特殊セラミックスの間を流れることで成分が硬い結晶に育ちにくい状態に変える装置です。分散剤は減らせますが、藻と細菌に使う殺藻剤は続きます。

中性からアルカリ性の水質で働きます。強酸性の水では働かないので、水質の分析表を先に見せていただければ判定できます。お見積もりは無料です。

よくあるご質問

製造工程に直結した冷却塔も対象になりますか

当社が対象にしているのは、建物の空調用の冷却塔です。射出成形の金型冷却やオイルクーラーのように、生産設備に直結した製造プロセス系の冷却塔は扱っていません。工程の温度と製品の品質に直接つながる系統なので、水の側だけで判断できないためです。

井戸水の工場でも意味がありますか

下水道使用料がかかっている工場では意味があります。水の代金が小さくても、使った水量をそのまま汚水量とみなして計算されているので、蒸発分を申告して計算から外せます。水の代金だけを見ると効果は小さくなります。

工業用水を使っていると、どこが変わりますか

1㎥あたりの単価が小さくなるので、同じ水量を減らしても金額の動きが小さくなります。そのぶん、薬剤費と清掃の工程、伝熱面の状態による電気の使用量といった別の費目の比重が上がります。請求書の単価を見て、追う費目を決めてください。

洗浄水の回収と、冷却の系統と、どちらを先にやるべきですか

冷却の系統で捨てている水が先です。工程の合意を取らずに進められ、作業の時間も仕上がりも変わらないためです。洗浄水の回収は設備投資と工程の検証が要るので、先に社内の段取りが必要になります。

使用水量は、どこで分かりますか

全体は水道の請求書で分かります。工程ごとの内訳は、主要な給水ラインにメーターを付けないと出ません。冷却の系統だけなら、冷却塔の銘板にある循環水量と、年間の運転時間から計算で見当が立ちます。

アリージェンス合同会社 代表 沼倉孝秀

沼倉 孝秀(ぬまくら たかひで)

アリージェンス合同会社 CEO。UFB DUAL®・emiiR®(エミール)・α-HT® の正規一次販売店として、製品の選定から設置、設置後の窓口までを担当しています。

アリージェンス合同会社

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