この記事の結論
物理的な水処理には、磁気を使う方式、電気を使う方式、超音波や紫外線を使う方式、セラミックスを水の流れで動かす方式があります。仕組みも、相手にするもの(スケール、藻や菌など)も、電源が要るかどうかも、方式ごとに違います。
同じ方式の中にも、確かめる材料を出している装置とそうでない装置があります。比べるときは方式の名前ではなく、特許の登録番号、認証の範囲、効果が出る水質の条件、導入前に試せるかを見ます。
薬剤を使わない水処理を調べていて、方式がいくつもあることに気づき、それぞれ何が違うのかを整理したい設備担当の方に向けて、区分を示します。
薬剤を使わない水処理は、1つの方式ではない
物理的水処理と呼ばれるものは、水に薬剤を足さずに、何らかのエネルギーや材料を水に作用させる方式の総称です。何を作用させるかで、仕組みがまったく違います。
外から磁石や電気を当てるもの、音や光を当てるもの、水の流れの中に材料を置くもの。相手にしているものも、スケールだったり、藻や菌だったりと分かれます。まとめて1つの枠で語られることが多いのですが、比べるときは方式ごとに分けて見ます。
| 方式 | 水に何を作用させるか | 電源 | 主な相手 |
|---|---|---|---|
| 磁気を使う方式 | 磁石・コイルの磁場 | 方式による | スケール |
| 電気を使う方式 | 電極・電場 | 要る | スケール・腐食 |
| 超音波を使う方式 | 音の振動 | 要る | 伝熱面の付着 |
| 紫外線を使う方式 | 光 | 要る | 藻・菌 |
| セラミックスを流動させる方式 | 流れの中で動く玉 | 要らない | スケール・赤錆・尿石 |
磁気を使う方式
配管の外や中に磁石やコイルを置き、磁場の中を水に通す方式です。取り付けが簡単なものが多く、古くから使われてきました。
磁場が水の中の成分にどう働くかについては、研究によって結果が分かれてきました。効き方が流速や水質に左右されやすいと言われ、決まった条件の中でしか効かない場合があります。選ぶときは、どの流速・どの水質で確かめたのかを具体的に聞くことになります。
電気を使う方式
水の中に電極を入れて電気を流したり、配管のまわりに電場をかけたりする方式です。電極の上にあらかじめスケールを出させて取り除く型や、電場で成分の出方を変えるとする型があります。
電気を使うので、電源と制御盤が要ります。電極を使う型では、電極の点検や交換、たまった付着物を取り除く作業が加わることがあります。停電のときに止まることも、運用の前提に入れておきます。
超音波・紫外線を使う方式
超音波は、振動で伝熱面に付着物が落ち着くのを妨げる使い方をします。紫外線は、水に光を当てて藻や菌を抑える使い方が中心です。
どちらも、スケールの成分そのものの出方を変える方式とは相手が違います。紫外線は光が届く範囲にしか働かず、濁った水では効果が落ちます。スケール対策の装置を探しているなら、これらは別の目的の装置として分けて考えます。
セラミックスを流動させる方式
当社が扱う emiiR®(エミール)がこの方式です。ステンレスの筒に焼き固めたセラミックスの玉を約半分まで入れ、下から通した水の勢いで玉を動かします。玉は水の中で互いにこすれ合い、水はそのあいだを抜けていきます。
外から何かを当てるのではなく、水の通り道に材料を置いて、動かしながら水と触れさせる点が、ほかの方式と違うところです。電源は使いません。筒の中を通る水の速さは、秒速10〜12cmほどが目安です。
玉が止まった層では、水が通りやすい道だけを抜けてしまいます。玉を動かし続けるのは、どの水も同じように玉に触れるようにするためです。
過去に何が問題になったか(規格の無さと、行政の調査)
薬剤を使わない水処理の装置は、活水器という名前で家庭向けにも売られてきました。この分野には、浄水器のような公の規格や試験方法が定められていません。
行政も、この分野の表示には目を向けてきました。2005年2月には、東京都生活文化局が、「水のクラスターが小さくなる」などと表示していた活水器について、事業者に根拠を求めて検証した結果を公表しました。同じ年の12月には、公正取引委員会が、水道水を活性化させるとうたう家庭用の装置を販売していた3社に、景品表示法にもとづく排除命令を出しています。2008年8月には、国民生活センターが磁気活水器6銘柄を試験し、トリハロメタンや残留塩素を取り除く効果はどれにもなかったと公表しました。
いずれも、表示と中身が合っていなかったことが問題にされた例です。方式そのものではなく、確かめていないことを確かめたように見せる表示に向けられたものとして読むのが正確です。
方式ではなく、その装置が何を示せるかで見る
方式の名前だけでは、良い装置かどうかは分かりません。同じ方式の中にも、確かめる材料を出している装置と、出していない装置があります。見るのは、その装置が何を示せるかです。
特許の登録番号は公開データベースで照会できます。水道用の認証は、何を確かめた認証なのかまで読めます。効果が出ない水質の条件が書かれているか、導入前に自分の設備で試せるかも、材料になります。
emiiR® の場合は、特許第7578981号など3件の登録番号、給水系統向け型式の日本水道協会の認証Z-372(耐圧性能・浸出性能)、中性〜アルカリ性の水で働くという条件、冷却塔での3か月の無償デモを示しています。
よくあるご質問
物理的水処理と化学的水処理は、どちらがよいですか
減らしたいものによって変わります。薬剤は効き方を濃度で確かめやすく、物理的水処理はスケールを抑える薬剤の費用が毎年かかりません。どちらを選んでも、冷却塔では藻を抑える殺藻剤を続けます。
磁気を使う装置は効果がないのですか
方式だけでは判断できません。効果が流速や水質に左右されやすいと言われているので、どの条件で確かめたのかを具体的に聞いて判断します。
紫外線の装置でスケールは減りますか
紫外線は藻や菌を抑える使い方が中心で、スケールの成分の出方を変える装置ではありません。スケール対策とは分けて考えます。
流動セラミックス方式は、どんな設備に向いていますか
水が中性〜アルカリ性で、電源を増やしたくない設備に向いています。空調用の冷却塔、建物の給水管、トイレの給水系統で使われています。
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