カルシウムのスケール|硬い水で出やすく、酸で溶けるもの

カルシウムのスケール|硬い水で出やすく、酸で溶けるもの

この記事の結論

カルシウムのスケールは、水に溶けているカルシウムが炭酸カルシウムとして固まった白い層で、設備で見つかるスケールの多くを占めます。硬い水ほど、また水が温まったり蒸発で濃くなったりするほど出やすく、熱交換器や給湯器の伝熱面に集中して付きます。

酸で溶けるので、付いたものは除去剤で落とせます。ただし同じ水を使えば同じ速さでまた付くので、落とす回数を減らすには、薬剤か物理的な水処理で結晶に育ちにくくする手を加えます。

配管や機器に付いた白い層がカルシウムのスケールだと言われ、どういうもので、どう扱えばよいのかを知りたい設備担当の方に向けて書きました。

目次

炭酸カルシウムが、いちばん多く出るスケール

給水・給湯・冷却水の設備で見つかる白い層は、多くが炭酸カルシウムを主成分にしています。原料になるカルシウムが、日本の水道水にも地下水にも、ほぼ必ず含まれているからです。

水の中のカルシウムは、炭酸水素イオンと組になって溶けています。この組が崩れると、水に溶けない炭酸カルシウムになって出てきます。崩れるきっかけは、温度が上がること、水が蒸発して濃くなること、pHが上がることの3つです。

設備の中ではこの3つが重なる場所がいくつもあります。給湯器の熱交換部、冷却塔の充填材、熱交換器の伝熱面が代表です。

どうして温度が上がると出るのか

多くの塩は、お湯のほうがよく溶けます。炭酸カルシウムはその逆で、温度が上がるほど溶けにくくなります。そのうえ温めると、水に溶けていた二酸化炭素が抜けていき、炭酸水素イオンが崩れて炭酸カルシウムが出てきます。

やかんの底やポットの内側に白い層が付くのはこのためです。設備では、熱を受け渡す面がいちばん温度が高く、そこに集中して付きます。熱を伝えたい面に限って、熱を通さない層が育つということです。

冷却塔では、温度に加えて蒸発で水が濃くなります。温度と濃さの両方が効くので、運転の条件しだいで付く速さが大きく変わります。

マグネシウムのスケールとの違い

水にはカルシウムと一緒にマグネシウムも溶けていて、両方を合わせた量を硬度と呼びます。マグネシウムもスケールになりますが、出てくる条件が少し違います。

マグネシウムは、温度がより高いときや、pHが高いときに水酸化マグネシウムとして出てきやすくなります。水にケイ酸が多いと、ケイ酸マグネシウムとして硬い層を作ることもあります。後者は酸で溶けにくく、扱いがシリカ系に近くなります。

成分 出やすい条件 酸での溶け方
炭酸カルシウム 温まる・濃くなる・pHが上がる よく溶ける
水酸化マグネシウム 高温・高いpH おおむね溶ける
ケイ酸マグネシウム ケイ酸の多い水で濃くなる 溶けにくい
シリカ(参考) ケイ酸の多い水で濃くなる ほとんど溶けない

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見た目と硬さ

カルシウムのスケールは、白から薄い灰色で、表面がざらついています。薄いうちは粉をふいたように見え、育つと層が重なって、爪では削れない硬さになります。鉄分を含む水では、茶色く色が付くこともあります。

同じ炭酸カルシウムでも、ゆっくり育った層ほど結晶が詰まって硬くなります。何年も手を入れていない熱交換器や冷却塔のルーバーでは、ケレンで削らないと落ちない層になっていることがあります。

見分けの目安は酸です。層のかけらに酸をたらして泡が出れば、炭酸カルシウム系が主体です。泡が出ないなら、シリカ系や別の成分を疑います。

酸で溶ける(だから除去剤が効く)

炭酸カルシウムは酸と反応して、水に溶けるカルシウムと二酸化炭素に分かれます。スケール除去剤の多くが酸でできているのは、相手の多くがこの炭酸カルシウムだからです。

薄い層ならクエン酸でも落ち、厚い層は設備用の酸を系統に回して落とします。酸は金属にも反応するので、腐食を抑える成分が入った除去剤を、決められた濃度と時間で使います。

当然ですが、落としても付かなくなるわけではありません。落としたあとの面は荒れることがあり、次の結晶が引っかかりやすくなるので、同じ水を使えば同じように育ってきます。

結晶に育たせない方法

次の層を止めるには、炭酸カルシウムが出てくるときの出方を変えます。1つは薬剤で、結晶の表面に取り付いて育つのを邪魔し、粒を散らしておく方法です。薬剤は水と一緒に出ていくので、入れ続けます。

もう1つが、薬剤を使わずに、装置の中を通る水に働きかけて出方を変える方法です。当社が扱う emiiR®(エミール)は、カルシウムを水から取り除かないまま、硬い結晶として壁に育ちにくい状態にします。出てきた分は細かい粒として水に運ばれていきます。

既に付いている層にも時間をかけて働き、硬い層が脆く、剥がれやすくなる傾向があります。付いてから落とす回数を減らしたいときは、結晶に育たせない側の手を並べて考えてください。

よくあるご質問

白い層がカルシウムかどうか、どうやって確かめますか

かけらに酸をたらして泡が出れば、炭酸カルシウム系が主体です。泡が出ない、または表面だけ溶けて芯が残るなら、シリカ系が混ざっています。正確に知りたいときは、業者に成分の分析を頼みます。

カルシウムのスケールは、どのくらいの速さで付きますか

水の硬度、温度、濃縮の度合いで大きく変わります。同じ建物でも、夏の冷却塔と冬の給湯では速さが違います。前回落としてから何か月でどれだけ付いたかを記録しておくと、自分の設備の速さが分かります。

軟水器を導入すれば、カルシウムのスケールは付きませんか

付きにくくなります。軟水器はカルシウムを別の成分と入れ替えて水から減らすので、スケールの元が減ります。そのかわり、塩の補充と樹脂の管理が続きます。量の多い冷却水では、運用の手間を合わせて比べます。

酸で落とすと配管は傷みませんか

傷むことがあります。酸は金属にも反応するので、腐食を抑える成分の入った設備用の除去剤を、濃度と時間を守って使います。古い鉄の配管では、落としたあとに漏れが見つかることもあるので、先に配管の状態を確かめます。

アリージェンス合同会社 代表 沼倉孝秀

沼倉 孝秀(ぬまくら たかひで)

アリージェンス合同会社 CEO。UFB DUAL®・emiiR®(エミール)・α-HT® の正規一次販売店として、製品の選定から設置、設置後の窓口までを担当しています。

アリージェンス合同会社

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