この記事の結論
スケールと水垢は、成分がほとんど同じです。水に溶けていたカルシウムなどが固まったもので、家庭の蛇口や鏡に付けば水垢、配管や熱交換器の中に付けばスケールと呼ばれています。
違うのは付く場所と混ざりもので、家庭の水垢には石けんの成分や皮脂が混ざり、設備のスケールはほぼ無機物だけです。スケールは配管や機器の中で見えないまま育ち、熱の通りを悪くして消費電力を増やすので、設備では付く速さを遅くする対策が要ります。
スケールと水垢という2つの呼び名を見かけて、同じものなのか別のものなのかが気になった方に向けて、呼び名の違いを付く場所から説明します。
成分はほとんど同じで、呼び方が場所で分かれている
蛇口から出る透明な水の中にも、ごく少量のミネラルが入っています。コップの水を窓辺に置いておくと、乾いたあとの底に白い輪が残ります。あの輪と、蛇口の根元の白いうろこと、配管の内側の硬い層は、同じ成分からできています。
呼び名が2つあるのは、話す人の立場が違うからです。家庭で掃除をする人は水垢と呼び、設備を管理する人はスケールと呼びます。言葉は違っても、指している層は同じです。
ただ、家庭で水垢と呼ばれるものには、石けんの成分や皮脂が混ざっていることが多く、設備のスケールは成分がほぼ無機物だけです。混ざりものの分だけ、落とし方が少し変わります。
家庭で「水垢」と呼ぶもの
蛇口の根元の白いうろこ、浴室の鏡の曇り、電気ケトルの内側の白い粒。家庭で水垢と呼ばれるのは、水滴が乾いた跡に成分が残ったものです。
濡れて乾くことを繰り返す場所ほど厚くなります。浴室では、石けんの成分とカルシウムが結びついた石けんカスが混ざり、灰色がかった層になることもあります。
見える場所にあるので、薄いうちに気づけます。クエン酸などの酸で拭き取れば、多くは落ちます。
設備で「スケール」と呼ぶもの
冷却塔の充填材、熱交換器の伝熱面、ボイラーの缶の内側、給湯器の熱交換部。設備でスケールと呼ばれるのは、配管や機器の内側に付いた層です。
設備では、水が温められたり、蒸発して濃くなったりする条件がそろっています。家庭の蛇口より速く、厚く育ちます。成分によっては、炭酸カルシウム系のほかに、酸で溶けにくいシリカ系の層ができます。
設備の話で困るのは、層が熱を通さないことです。炭酸カルシウム系のスケールの熱伝導率は約0.6〜2.0 W/m·Kで、銅の約400と比べると、きわめて熱を通しにくい層です。
見えるところと、見えないところ
水垢とスケールのいちばん大きな違いは、目に入るかどうかです。水垢は毎日目にする場所にあり、気になったときに拭けます。スケールは配管や機器の中にあり、分解するか、効率の落ち方で気づくまで見えません。
見えないあいだにも層は育ちます。熱交換器の効率が下がる、流れる水の量が減る、清掃のたびに削る量が増える。こうした形で表に出てきたときには、すでに厚い層になっています。
落とし方が違ってくる理由
家庭の水垢は薄く、表面にあるので、クエン酸で緩めて拭き取れば落ちます。石けんカスが混ざっているときは、アルカリ性の洗剤で油分を先に落とすと、酸が届きやすくなります。
設備のスケールは厚く、配管の中にあるので、拭き取れません。系統を止めて除去剤を循環させる、機器を分解して削る、高圧洗浄をかけるといった作業になります。シリカ系の層は酸でほとんど溶けないので、削る工程が入ります。
作業が大きくなる分、費用も手間もかかります。設備の側では、落とす回数をどう減らすかが問題になります。
| 水垢(家庭) | スケール(設備) | |
|---|---|---|
| 付く場所 | 蛇口・鏡・ケトル | 配管・熱交換器・冷却塔 |
| 見えるか | 見える | 分解するまで見えない |
| 混ざりもの | 石けんの成分・皮脂 | ほぼ無機物だけ |
| 落とし方 | 酸で緩めて拭き取る | 除去剤の循環・分解・高圧洗浄 |
設備の側で放っておいたときに起きること
設備のスケールを放っておくと、熱の通りが悪くなります。0.5mm前後の薄い付着で、15〜60%規模の消費電力の増加が生じ得るという測定例があり、報告ごとに条件が違うので幅があります。
配管の中では、通る断面が細くなり、流れる水の量が落ちます。ポンプの負荷が増え、弁や曲がりで詰まりが出ることもあります。
家庭の水垢は、こまめに拭けば厚くなりません。設備のスケールは拭けないので、水の側で付きにくくする手を打つことになります。当社が扱う emiiR®(エミール)は配管の途中に取り付ける筒で、水の流れだけを使って、スケールが壁に固着しにくい状態にします。
設備の担当の方がスケールという言葉で調べ始めたときは、落とし方と一緒に、付く速さを遅くする方法も並べて見ておくと、清掃の周期を決め直す材料になります。
よくあるご質問
水垢とスケールは、同じ洗剤で落ちますか
炭酸カルシウム系なら、どちらも酸で落ちます。家庭の水垢に石けんカスが混ざっているときは、先にアルカリ性の洗剤で油分を落とします。設備のシリカ系のスケールは、酸ではほとんど溶けません。
カルキと水垢は違うものですか
カルキは、もともと水道の消毒に使う塩素の薬剤を指す言葉です。白い跡をカルキと呼ぶこともありますが、白い層の正体はカルシウムなどの成分で、塩素ではありません。
家庭の給湯器の中にもスケールは付きますか
付きます。水を温める部分では成分が出てきやすく、硬い水の地域ほど付きやすくなります。見えない場所なので、お湯の出方や温まり方の変化で気づくことが多いものです。
スケールが付きやすい水と、付きにくい水がありますか
あります。カルシウムやマグネシウムが多い硬い水ほど付きやすくなります。お住まいの地域の水の硬さは、水道事業者が公表している水質検査の結果で確かめられます。
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