この記事の結論
かん水に使う井戸水なら、鉄、マンガン、硬度、pH、電気伝導率(EC)、溶存酸素の6項目を測れば、設備と作物の両方の判断ができます。鉄・マンガン・硬度はフィルターや出口の詰まりやすさを、pHとECは液肥の作り方を、溶存酸素は根の働きへの影響を見る材料です。
判断の根拠にする1回は検査機関に依頼し、日々の変化はpH・EC・溶存酸素・硬度の簡易測定器で追う使い分けが現実的です。
井戸水でハウスをやっていて、水質を調べたほうがよいと言われた方へ。どの項目を測れば設備と作物の判断ができるのか、採水のしかたから結果の読み方までをまとめました。
測る項目と、そこから分かること
水質検査は、項目を選んで依頼します。全部測ると費用が上がるので、何を判断したいのかを先に決めます。かん水の水では、次の6つが判断につながります。
| 項目 | 関わる先 | 分かること |
|---|---|---|
| 鉄 | 設備 | 酸化した粒による目詰まりの起こりやすさ |
| マンガン | 設備 | 黒褐色の付着とぬめりの起こりやすさ |
| 硬度 | 設備 | スケールとして固まる成分の量 |
| pH | 作物・設備 | 養分の吸われやすさと、金属の溶け方 |
| 電気伝導率 | 作物 | もともと入っている塩類の量(施肥の計算に関わる) |
| 溶存酸素 | 作物 | 根の呼吸に使える酸素の量 |
設備に関わる項目と、作物に関わる項目を分ける
鉄・マンガン・硬度は、配管と出口に何が付きやすいかに関わります。ここが高いと、フィルターの洗浄と出口の詰まりに人手が取られます。設備側の課題です。
電気伝導率とpHは、施肥の計算に直結します。もともと塩類が入っている水で、規定どおりに液肥を作れば、狙いより濃い液になります。作物側の課題です。
溶存酸素は、根の働きに関わる項目です。低い水を使い続けているハウスでは、根の勢いと夏の傷み方に表れやすくなります。
どこに頼むか
水質検査は、登録を受けた検査機関と分析会社が受け付けています。自治体の相談窓口、JA、農業資材の販売店から紹介を受けることもできます。
費用は、項目数と依頼先によって変わります。見積もりを取るときは、測りたい項目名を書いて出すと、比べられる形で返ってきます。
簡易の測定器でも、pH・電気伝導率・溶存酸素・硬度は自分で測れます。日々の変化を追うのは簡易測定器、判断の根拠にする1回は検査機関、という使い分けが現実的です。
採水の容器と記録用紙は、依頼する機関が用意してくれることが多いです。項目を足したいときは、採水の前に相談してください。容器が変わることがあります。
くわしいご案内井戸水でハウスをやるときの、水の話|鉄・マンガン・硬度・酸素
採水のしかたと時刻
ポンプを止めていたあとの水は、配管に溜まっていた分です。数分流してから採ります。容器は検査機関から届くものを使い、内側を手で触らないようにします。
採る場所は、かん水として実際に使う出口です。ポンプの直後とラインの末端の2か所を採ると、途中で何が加わっているかが分かります。
時刻もそろえます。使用量が多い時間帯と少ない時間帯で数字が変わることがあるため、記録に時刻を残してください。採水から搬入までの時間は、機関の指示に従います。
同じ日に2か所を採るときは、容器に場所と時刻を書きます。あとで見比べるときに、どちらの数字か分からなくなるのを防げます。
結果の読み方
まず、設備側の3項目を見ます。鉄とマンガンが出ていれば、フィルターの設計と洗浄の間隔を考える出発点になります。硬度が高ければ、スケール対策を優先します。
次に電気伝導率です。数字が入っていれば、その分を引いて液肥を作ります。ここを直さないまま施肥を増やすと、塩類集積を進めてしまいます。
pHは、養分の吸われやすさの前提になります。極端に寄っていれば、施肥の設計と、資材の選び方が変わります。
数字は、基準値と比べるだけでなく、自分の設備で起きていることと突き合わせて読みます。フィルターの詰まり方や出口の量の落ち方と並べると、何が主な原因かがはっきりします。
数字を見てから、打つ手を決める
鉄とマンガンが主な原因なら、取り除く設備か、付きにくくする方法のどちらかです。処理水量と濃度が分かっていれば、どちらの見積もりも取れます。
溶存酸素が低く、根の勢いと夏の傷みが課題なら、かん水の回数と量の設計から入ります。そのうえで、かん水に使う水の状態を見直すのが順番です。
UFB DUAL® は、水道の水圧だけで直径1マイクロメートル未満の泡を作る構造で、水質そのものを変える装置ではありません。検査の数字は変わりませんが、ラインと器具の内側への汚れの付き方は変わり、付着物が固まりにくく、剥がれやすくなります。
検査は1回で終わらせず、手を打ったあとに同じ項目で測り直します。対策の効果が数字で残るので、次の判断が早くなります。
よくあるご質問
水道水を使っていても、検査は必要ですか
多くの項目は、自分で検査しなくても確かめられます。鉄、マンガン、硬度、pHは水道の水質基準の項目なので、水道事業者が公表している水質検査の結果で分かります。電気伝導率と溶存酸素は基準の項目にないため、簡易測定器で測ります。
飲用の水質検査と同じですか
違います。飲用は健康に関わる項目が中心です。かん水では、設備に付くもの(鉄・マンガン・硬度)と、施肥の計算に関わるもの(電気伝導率・pH)を見ます。
どのくらいの頻度で測ればよいですか
判断のための検査は、水源を変えたときと、詰まりや生育の症状が変わったときです。pHと電気伝導率、溶存酸素は簡易測定器で日常的に追えます。
自分で測れる項目はありますか
あります。pH、電気伝導率、溶存酸素、硬度は簡易測定器で測れます。同じ場所と時刻で続けて記録すると、季節の幅が見えます。
結果をどう使えばよいですか
設備側の3項目で、フィルターと洗浄の設計を決めます。作物側の2項目で、液肥の作り方を直します。溶存酸素は、かん水の回数と量、そしてかん水に使う水の状態を見直す材料になります。
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